Fri090313岐阜での講演会 日本中、うらうらとして桜が咲きそう イタいほど痛快な「花串亭」 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri090313岐阜での講演会 日本中、うらうらとして桜が咲きそう イタいほど痛快な「花串亭」

 翌日の大分もうらうらとよく晴れて暖かい。大分というところが本来こんなに暖かいのか、それともすっかり温暖化が定着してしまったのか、とても3月中旬とは思えない、誠にのどかな陽気である。福岡や熊本では桜が咲き出したというから、今年の卒業式は桜満開ということになりそうだ。大いにおめでたい。ただし、「入学式が葉桜」というのはどういうものだろう。この際、温暖化に伴って入学式を2週間ぐらい前倒しに、入社式も2週間早めにしてはどうだろうか。小学校の卒業式の「よびかけ」は「満開の桜の中」「ワクワク」「ドキドキ」「ピカピカの1年生として」「初めて校門くぐりました」「くぐりました!!!」というのが定番。まさか「すっかり花の散った葉桜の下、たくさんの毛虫をよけながら、校門をくぐりました」という訳にはいかないだろう。入社式後に配属された新入社員の初仕事の定番も、「花見の場所取り」だったはず。電話の取り方さえ知らない新入社員に、いったい他のどんな仕事をさせられるというのだろう。


 昨日は岐阜で講演会。出席者300名ほど。ぎりぎりまで模擬試験を受けている岐阜高校の生徒たちも、模試が終わり次第駆けつけるというし、春日井や一宮や大垣などからもバスを貸し切って集まってくれるのだという。場所は「長良川国際会議場」、岐阜県民の税金をたっぷり使った信じがたいほど豪華な会議場である。私の講演とほぼ同時間帯に、大ホールでは野村萬作と野村萬斎の狂言の会がある。もし私が高校生なら、会場までやってきてから、きっと野村萬斎&萬作のほうに浮気して流れるところだが、今の高校生にとって、能も狂言もそれほどの魅力はないのかもしれない。300席の会場はほぼ満員、心配された遅刻者もほとんど皆無、模試を受けていた生徒たちもどうやら間に合ったらしい。

 

1153
(岐阜での講演会、長良川国際会議場で)


 18時半スタート、20時終了。「国際会議場」が余りにも立派で、聞いている生徒たちも緊張してしまったのか、または天井が高すぎて笑い声が響かなかったのか、開始からしばらくの間はなかなか盛り上がらなかった。それでも30分過ぎからはいつものペースになり、いったん水平飛行に入れば、あとはこっちのものである。今日はご父母が20名ほど同席されていて、私がペースメーカーに選ばせていただいたのは、一番後ろに陣取って少なからず難しい顔でこちらを睨んでいたお父さま。北見のときは前から4列目だか5列目だかに陣取って「絶対笑ってなんかやるもんか」という気配で硬く固まっていらっしゃった高校の先生をペースメーカーに選んだが、とにかく「反感でいっぱい」「けしからん」「こんなヤツに子供は任せられん」という雰囲気をぷんぷん発信していらっしゃる大人の人を選んで、そこを集中攻撃すると、会場は一気に温まっていく。


 むしろ危ないのは、そういうマジメな雰囲気の大人の人がいらっしゃらなくて、私のファンばかりズラッと並んでいるようなケース。調子に乗りすぎて脱線しすぎたり、舌禍事件を起こしたり、そういう危険が高まるのである。政治家の問題発言などというのも、何でもいいから拍手喝采するような取り巻きばかりに囲まれた時に発生しがち。むしろ、いつも緊張感を持たせてくれるような存在を積極的に求めたほうがいいように思う。


 狙い通りのところにボールが行けば、別に豪速球を投げなくても相手を抑えられる。岩隈しかり、杉内しかりである。このところの講演会は、ずっとまさに「狙い通り」が続いていて、私自身としては豪速球を投げている気分の高まりは全くないのだが、それでも傍で眺めていれば、いかにも気持ちよく、すいすい投げ続けているように見えるようだ。という訳で、本日もまた大成功。脱線しすぎたり、調子に乗ってやたらに延長したり、そういう失敗も一切なく、時間通りの90分にピッタリ納め、一番後ろのお父様も顔を真っ赤にして爆笑の連続。会場のあちこちに散らばって座っておられたご父母の皆さんの笑い声が、さらに生徒諸君の爆笑を誘うという状況で、本日もまた大成功だった。


 終了後、岐阜駅そばの「花串亭」でお食事会、というか「打ち上げ」。今度の大不況のせいか、それとも岐阜という街の構造的な不況のせいか、岐阜一番の歓楽街・柳ヶ瀬をクルマで走り抜けると、「これがホントにあの柳ヶ瀬ブルースの柳ヶ瀬ですか?」と尋ねたくなるほどに閑散としていたが、この「花串亭」だけは大繁盛している。店内の狭さもあって、合計14人出席の打ち上げで、しかも身体の大きな男ばかりだったから、なかなかうまく全員が席に着くことができない。パズルみたいにあっちで一人立ってみたり、そのスペースに2人入り込んでみたり、いろいろ試してみたが、どうしても1人あぶれてしまう。


 しかも、入り口の鴨居が異常に低くて、身をしっかり屈めなければ店の中に入れない。私の身体の異常なほどの硬さが災いしてうまく屈むことが出来ず、「鴨居が低いぞ」「鴨居が低いぞ」と独り言を言いながら身を屈めたにもかかわらず、それでも前頭葉・生え際から10cmほど上の部分を鴨居に強打。頭髪がたくさんついた頭皮が1枚ペロリと取れてしまったことからもその激しさはわかるだろう。

 

1154
(岐阜講演会、開始30分後)


 これを書いている時点で3月19日、WBCキューバ戦を5対0で勝ち抜き、準決勝進出を決定した直後である。岩隈大明神、杉内大明神。イチローも復活して万々歳。ただ、あの鴨居との衝突の激しさは、あれから一週間経過してもいまだに衝突部分に鈍痛が走ること、あの後2~3日は患部からリンパ液が流れ出ていたことからも十分にわかるはずだ。頭髪の生えた部分には、なかなかオロナインも塗りにくい。毎日のように講演会の連続で、人前に出るのにオロナインで頭の一部分を脂ぎらせていく訳にもいかないだろう。ま、何もこんなところにまで「自己管理ができていない」とか難しいことを言ってくる御仁はいないだろうから安心して書くのだが、おお、イタかった。大分のあとは「おお、イタ」だった、などと書くと、読んでしまったヒトビトも「おお、イタ」と思うだろうが、それを書いてしまいたくなるほどに、おお、イタかったのである。


 しかし、そんな痛みの中でも、おでん、串揚げ、どれもみんな旨かった。店の入り口では巨大な鍋2つに大量のおでんがグツグツ言っており、やがて運ばれてきたダイコンのおでんは「ダイコン1本そのまんま」というほどのデカさ。日本酒をお願いすると、コーヒーのサイフォンみたいな面白い容器で出されてくるのも嬉しい。調子に乗って、久保田の萬寿を次から次へと痛飲していると、ぶつけた痛みはさっさとどこかに飛んでいって、「よおし、次の山口宇部(3月14日)も頑張って大成功するぞ」という勇ましい気分が盛り上がってくる。鴨居にぶつけた痛みぐらい、18日のWBC日韓戦完敗の衝撃に比較すれば、全く取るに足らないものである。いや、むしろ、どちらも返って励みになる痛み。こういうものをとりあげられたら、励みも何にもなくなるねえ。すっかり酔っ払って、23時半、最終の東海道線で名古屋に戻り、日付もすっかり変わる頃、宿泊先の名古屋マリオットホテルのネグラに引き上げた。おお、楽しい楽しい、痛くて痛快な1日であった。