Sun 090308 東進ハイスクール湘南台講演会 小田急線「快速急行」というコンセプト | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 090308 東進ハイスクール湘南台講演会 小田急線「快速急行」というコンセプト

 昨日は19時から21時まで、藤沢の東進ハイスクール湘南台東口校で講演会。17時前に代々木上原を出て、小田急線の快速急行で湘南台まで45分ほどで到着した。「快速急行」というものができたのは何年前だったか、とにかくガンガン駅を飛ばして、全く止まらない電車である。下北沢を出ると、新百合ケ丘まで止まらない。お金持ちがいっぱいの高級住宅地・成城学園前でさえ「快速急行」には相手にされない。もちろんお金持ちは電車なんかには乗らないのだから気にしないのだろうが、「すべての電車が停車する街」というステイタスがなくなるのは、何だか可哀想である。


 登戸も止まらない。南武線との乗換駅なのであるが、小田急は南武線をバカにしているか、あるいはJRがキライなのか、まあよくはわからないが、不便を感じる人も少なくはないはずである。駅のアナウンスをよく聞かずに乗っちゃった人は、下北沢を出た瞬間「ゲロゲロ」と叫んで卒倒することになっている。もう、誰が何と言っても、どんなクレームをつけても、それはお客様がいけないのであって、新百合ケ丘まで絶対に降ろしてはもらえない。快速急行サマは、たいへんお偉いヤンゴトナキ乗り物であって、向ケ丘遊園だの経堂だの、そんな駅には見向きもしないで、早春の武蔵野をひたすら疾走するのである。


 だから、町田より向こう側のヒトビトにはスゴく人気が高いらしい。町田、相模大野、大和、それから今日の湘南台。この辺のヒトビトは「快速急行」の大ファンであって、乗客はみんなウットリした表情で、満足感100%である。よおし、どの駅もみんな飛ばせ飛ばせ、飛ばしてしまえ。止まるな、止まるな、決して止まるな。耳を済ませば乗客の胸の中のそういう思いが聞こえてくる。本当なら、下北沢も代々木上原も止まらなくていい、町田市民を運んで走れ、相模原市民を運んで走れ、にっくき成城学園前、にっくき登戸、にっくきものは飛ばしてしまえ、そういうことである。

 

1142
(湘南台講演会。狭い会場超満員で盛り上がるクマどの)


 そこまでして速く走り、そこまでして速く目的地に着いて、それで何をするかといえば、そこからは実にのんびり暢気に歩くか、ケータイのメールをいじくり回しているか、要するにそれだけのこと。私には弊害のほうがはるかに大きいように思える。第一、始発の新宿駅ホームは殺気だった乗客で溢れかえるようになった。いつか新聞の投書欄に出ていたが、夜の新宿駅は割り込みが多い。ヨーロッパを旅行していると、日本の民度がどれほど高いかを実感し、列に割り込んで平気な顔をしているヨーロッパ人を見て呆れるほどだが、これほど民度の高い日本の真ん中で、列への割り込みが増えているのは悲しむべきである。


 30代ぐらいの女性が割り込みをしたので注意したら、「痴漢の被害にあった」とケータイで警察に通報され、取り調べを受けるハメになった、という投書も読んだ。ありゃま、「小田急沿線の市民はどうしちゃったの?」とも思うが、そういう問題もこの「快速急行」に乗れば理解できる。なにしろどこまでも止まらなくて、なにしろヤタラに混雑しているから、「始発駅から乗るなら意地でも座りたい」という意識が高まってしまうのだ。


 というわけで湘南台まで45分。途中の町田から乗り込んできた中学生ぐらいの不良4人組に辟易し、しかし「金八先生」か「スクールウォーズ」にでも登場しそうな余りにもクラシックなその不良ぶりに噴き出しそうになり、大和で降りていった彼らの後ろ姿に思わず声援を送りたくなり、湘南台までの長い旅を楽しむことができた。小田急線は、いつでも暖房が効きすぎて、真冬でも大汗をかくほど車内が暑い。これで苦情が出ないのか、むしろそれが不思議になるほどの暑さだが、小田急に限らず、鉄道会社というものは、「苦情なんか言うのがヘンタイ、苦情を言う者はすべてクレーマー、だからすべて聞き流して、無視するに越したことはなし」という発想のようだから、この暑さが改善されることは、まず期待できない。


 湘南台での講演会、出席者80名弱。本来45名しか入らない教室での開催で、机をすべて取り払い、椅子だけのギュウギュウづめで、何とか80名詰め込んだ。地元の有名高校が期末テスト期間中だったので欠席者が10名ほど出たが、本来は100名近くの出席予定だったのだという。80名弱の出席で、すでに教室には立錐の余地もない。生徒たちの肱と肱がぶつかり、肩と肩を寄せあい、教室の気温が上がって、じっとり梅雨のように蒸し暑い。もし欠席者なしで100名近くがしっかりと集まってしまったら、たいへんなことになるところだった。今後はもっと大きな会場が必要なのではないか、真剣にそう考えた。


 湘南台という郊外の駅前、しかも「はなの舞」などという飲食店も同居する雑居ビルのワンフロア、恵まれているとはとても言えない環境の中で、若い校舎長を中心によくこれほどの受講生を集めてくれたものだと思うし、その生徒たちもまたこれほど詰め込まれたつらい環境の中で最後まで120分にもわたって爆笑を続けてくれた。この大成功に大いに感謝する。


 なお、大学に合格したという男子生徒が挨拶に来ていて、帰りに湘南台の駅のホームで声をかけてくれた。ずいぶん遠慮した挙げ句に「写メ、いいですか?」と言い出し、酔っ払いや怪しいカップルや塾帰りの小学生たちが見守る中、男2人で写メ。たいへん怪しい光景だったとは思うが、そういう遠慮は一切無用なので、これからはどんどん声をかけていただきたいと思う。

 

1143
(湘南台講演会。そろそろ疲れきってきたイモ類男)


 で、今日もしっかり監視していただくために参考書原稿を掲載。読んでいただく必要は皆無。ただ、今井が講演会以外の場面でも努力を続けていることだけはわかっていただきたい。

(「原稿」部分省略)