Thu 090305 女満別空港に到着 北見の街の寂れ方 参考書原稿→注意すべき比較表現 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 090305 女満別空港に到着 北見の街の寂れ方 参考書原稿→注意すべき比較表現

 それにしても、北見がこれほど遠いとは予測していなかった。飛行機で2時間近くかかるのだ。その飛行機も、横1列に5人しか座れない小型の飛行機である。上の棚に荷物を入れられずに、みんなひどく困っている。隣の席のオジサンや、後ろの席のオバサンが「他の番号の席の棚に荷物を入れてもいいのだろうか」という純朴な質問をしてくる。おお、なんと純朴な。無言でどさっと投げ込んで、迷惑な顔をされると親のカタキでも睨むようなコワい顔をする都会人とはワケが違う。


 こういう純朴さに感動すると、突如として思わず泣きそうになって、どんどん手伝ってあげる困った優しさがこのクマどんにはあって、何人かの乗客におせっかいを焼いては、荷物をどんどん棚に上げてあげ、棚の中もいろいろ工夫して整理してスペースを作り、さらに困っている他の人の荷物をそのスペースに詰め込んであげる。迷惑な乗務員気取りなのだが、そうなるともうなかなかストップはきかなくて、頼まれるまま、預けられるままに、しばらくの間そこいら中を動き回って、大いに楽しかった。


 女満別空港到着14時半。よく晴れて、暖かい。もちろん東京と比較すれば寒いに決まっていて、気温は0℃。しかし、流氷祭の最中の道東に来れば、最初から「寒い」ということを身体全体で覚悟しているから、少々の寒さでは寒いとは思わない。こういうのを株式の世界では「織込み済み」というのだろう。しかも、この2~3日東京では寒い日が続き、3月3日の荒川沖講演会の後は雪とミゾレに震えながら帰ったのだ。あれに比べれば、3月の暖かい午後の日光を受けた女満別なら、驚くほど暖かく感じて当然なのである。出迎えていただいた北見の塾長先生や東進スタッフの話でも「今年の北見は暖かくて」ということだった。


 女満別から北見までクルマで40分ほど。少ない雪だが、一面の雪の下は全部タマネギ畑なのだそうだ。北海道というと、ペパーミントとかラベンダーとかライラックとか、そういうミント系のいい香りでいっぱいで、ミツバチが飛んで、ミルク&ハニーで、というイメージだが、あろうことか「一面のタマネギ」である。もちろんタマネギだって悪くないし、タマネギは大好きだし栄養もいっぱいあって、オニオンスライスだけでいくらでも酒が飲めるほどである。ましてやいつもの授業や講演会で「受験生の理想的な姿はタマネギさんとゴボウ君だ」と力説しているのであるから、タマネギ畑と聞いてガッカリしていてはいけないのだが、北海道の一般的イメージとは少しだけズレているかもしれない。

 

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(ホテルベルクラシックから見た北見の街)


 イメージの違いは他にもいろいろあって、宿泊先のホテルの引き出しを開けたらわんさと出てきた「クラブ」「スナック」「キャバクラ」の広告写真もその1つ。宿泊先は「ベルクラシック北見」、結婚式場がメインの、北見では1番のキレイな高級ホテルなのだが、引き出しの中に入っていた「北見観光案内」という小冊子の大半をそういう広告写真が占めている。私はこの手の店には全く興味がない、というか、代ゼ時代にはこういう店が好きな同僚がいて、無理やり連れて行かれたことが2回か3回ないことはないのだが、入った瞬間から異常なほど疲れて、ウンザリしてムカつくだけである。要するにイヤなのだ。


 趣味も興味もこの種の店にない分、返って見ているだけで楽しくなって、その小冊子をじっくり研究してみたのだが、正直に申し上げて、こういう広告を出し、従業員の写真なんか載せれば載せるほど、むしろ客足は遠のきそうで気の毒な感じがした。全く実情を知らない素人としての感想なのだが、せめて初々しさとか清純さとか、そういうのがあった方がいいと思うのだが、うーん、人生のすべてを知りつくした感じのベテランの方の写真が圧倒的に多いのだ。おお、ミントの甘やかな香りが、ミツバチの可愛らしい唸り声が、高原を吹き抜ける爽やかな風が、みんな夢の向こうに消えていく。何でこんな冊子を高級なはずのホテルの引き出しに入れておくのか、優しくマジメなサトイモどんには、理由がよくわからない。


 講演開始までには3時間もあったが、ホテルの部屋で原稿を書いたり、色紙10枚に「宇宙征服。」のサインを書いたり、そういうコマゴマとした仕事をキチンとこなしているうちに時間はあっという間に過ぎた。たいへんありがたいことに、何時になってもホテルは静まり返って、「他に宿泊客はいるのか」と不思議になるほどである。窓を開けて、北見の街を見下ろしてみると、確かにひどく寂れた雰囲気。この雰囲気は、昭和40年代の秋田で慣れ親しんだ実に懐かしい雰囲気であって、ホテルに宿泊客がいないのも決して驚くにはあたらないことなのだ。非力ではあるが、せめて今日の講演会に出席する高校生200名だけでも元気づけて、そのことで北見の街にほんのわずかでも活気を与えたい、飲み屋の広告ばかり目立つような状況を少しでも変えられたら、と考えて、また泣きそうになった。


 と、いうわけで、以下は「怠けてないよ」の証明。「ちゃんと書いてるから、心配しないでね」というお知らせだから、読む必要は全くありません。

 

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(北見の街。何だか空も寂れた感じ)


         

(「原稿」部分省略)