Mon 090302 3月1日小倉講演会 大成功ではないが中成功ではある 大を中にした原因 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 090302 3月1日小倉講演会 大成功ではないが中成功ではある 大を中にした原因

 3月1日の小倉での講演会は、「大成功」と言えるほどではなかったが、まあ「中成功」、少なくとも「小成功」「まずは成功」というところまでは十分に達していたと信じる。ただし、どうしても「大」のつく成功、とまでは言えないものだったことについても、やはり正直に書いておいた方がいい。前日の熊本が余りにもよかったものだから、講師の審美眼もそのぶん贅沢になって、自分としてもいろいろ不満が発生するのは仕方のないことである。毎回毎回120%満足できる出来になるということは、さすがに考えられないのだ。会場は「小倉パークサイドホール」の大会議室、出席者100名強。今年の受験生はほぼ卒業の状態で、現高校1年2年生がこの主体とならざるをえないこの時期の講演会としては、まあ十分と言える出席者数である。スタッフの皆さんは実によく努力され、実によく受講生を集めてくださったと思う。大いに感謝しなければならない。


 では、どこがどう「大」の字のつく満足ではなかったのかと言えば、次の2点である。


(1)ミーティング不足:いつもと同じフォームで進行するものと思っているから、ついついミーティングでの確認が疎かになった。いつも通り90分の講演本体が終了して、いったん退場。再び登場して、ちょっと違った雰囲気で、講演本体で話したことのまとめを行い、「最後のメッセージ」で一気に盛り上げてクライマックスにもっていく、というのがいつものタイムスケジュール。もっと単純に終わることもあって、その場合は本編終了後もそのままステージに残り、花束をもらったあと、そのまま「最後のメッセージ」を3~4分で語る。その部分の出来次第で、受講生の評価も大きく変わってくる、重要な部分なのである。


 ところが、今日の小倉では、「いったん退場」の直後に、司会者が「これで終了」と告げてしまい、「最後のメッセージ」は「なし」、つまり「クライマックスを省略」という事態になってしまったのである。コンサートなら、アンコール曲の中にスタンダードナンバーを入れて、最後の最後にクライマックスにもっていくという手法なのだが、今日の小倉は、アンコールになる前に会場の照明がいっぱいに明るくなって、「今日はご来場ありがとうございました、お気をつけてお帰りください」のアナウンスが流れてしまったことになる。


 これは私の失策。直前のミーティングで最終盤のスケジュールの確認を怠ったのが原因である。控え室から慌てて飛び出して、「クライマックスがまだですよ」と告げ、会場に駆け込んで「最後のメッセージ」を語りはじめたが、時すでに遅し。受講生諸君が「終わったんだな」「やれやれ」「ああ、面白かった」という溜め息で大きく伸びをした後で、「もう一度座ってください、クライマックスはこれからです」と叫んでみても、完全なシラケムードになってしまう。シラケた会場でのクライマックスほどイタいものは、なかなか考えられない。


 こういう事態になった原因は、何と言っても「ミーティング不足を放置したこと」である。せめて関係者全員に印刷物としてタイムスケジュールを配布してもらい、最終確認しなければならないのに、昨日の大成功のせいか油断があって、タイムスケジュールから出席者の内訳まで、校舎責任者から口頭での軽い連絡を聞くだけで済ませてしまった。今後こういう基礎的な失敗がないように、手を抜かずに確認作業につとめなければならない。

 

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(中成功の小倉講演会。開始直後)


(2)情報不足:講演開始前に口頭で示された「出席者数の内訳」では、「中心になるのは現高2生」「ほとんどが今井先生の講座を受けつつある」ということで、そこに「ごく少数ではあるが、ご父母、高1生が入り、中3生も若干はいる可能性があるが、ターゲットの中心はあくまで現高2生。外部からの参加者はほとんどいないと考えてほしい」とのことだった。


 ところが、実施後に控え室で確認した出席者数では、中3生が25%を占めて最多。「中3生25%」ということは、中3は全て外部生なのだから、必然的に「外部生25%以上」ということであって、「外部生はほとんど参加しない」という事前の情報と全く違っている。道理で講演開始早々から「ずいぶん若々しい顔が並んでいるな」という違和感があり、今井講座の受講生なら皆が知っているはずの話をしても「それ、何のこと?」という怪訝そうな薄笑いが多く、大学受験プロパーの話がよく理解できない様子が目立った。そりゃそうだ。たったいま高校受験が終わったか終わらないか、進学する高校が決まったか決まらないか、そういう中3生諸君に「大学入試ではどんなことに注意すべきか」の話を、しかもある程度の予備知識を共有することを前提に話しても、それで強い関心を惹けることはなかなか期待できない。


 これも、私の油断で確認不足になっていたのが原因。もちろん、事前に「そういう出席者の構成だ」と正直に伝えられていれば、問題ないのである。それがわかっていれば、「口から生まれた口太郎」を自称するクマさんだ、たとえ10分前でも、いや1分前でさえも、いくらでも臨機応変に、その場で講演を新しく組み立てることが出来る。しかし、講演終了後になってから、おずおずと「実は、出席者の構成はこうでした」とメモ書きを差し出されても、もうどうすることも出来ない。


 もし、事前にこういう出席者構成が把握できていなくて、「始まってみて、やっとこうなることがわかった、主催者としても意外だった」ということなら、今回の経験を今後に活かす2つの方向性があるだろう。まず、事前に(できれば前日までに正確な一覧表を作成して)出席者構成を出来る限り正確に把握し、講演を行う者に正確に伝える努力を怠らないこと。第2に、たとえ見切り発車で講演が始まってしまっても、開始後できるだけ早い時間帯に、こっそり講師にメモ書きを手渡しにくるぐらいのことは出来るはずだということ。そのタイミングでさえ、少なくとも私ならば、いくらでも構成を変えられるし、話の内容も中3生向けにより噛み砕いたものにする努力ができる。とにかく「おかしいな、みんなよく知っているはずなのにな、どうしたんだろう、ポカンと口を開けて不思議そうにしているだけだ」と考え、焦りながら90分が終了してしまうような、不毛な結果にはならないはずだ。

 

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(中成功の小倉講演会。どうも様子が違うことに気づきはじめた頃)


 以上、改善すべきポイントは2点である。こういうふうに厳しく書いてしまうと、何だか大失敗したみたいに見えてしまうかもしれないが、それは私の書き方がキツいのと、私の基準が高すぎるだけであって、冒頭で書いた通り、他人が客観的に見たら「中成功」、どんなに厳しく見積もっても「小成功」はしたのである。その証拠に、終了後のサイン会には参加者のほとんど全てが列に並んで嬉しそうにサインを受け取っていたはずだ。


 それなのにこんなに厳しく反省するのは、一人として取りこぼしたくないし、せっかくの講演を、どうしてもすべて「大」のつく成功にしたいという欲張りのせいである。欲張りクマさんは、いつでも満足度100%がほしいのだから仕方がない。以前の私(特に殿様気分で生きていた代ゼミ時代の私)なら、ここまで貪欲ではなかったし、講演中でも授業中でも、気に入らない態度の(居眠りとか私語とか「トイレに行ってきます」とか)生徒がいれば、平気で「出て行け」をやっていたのだ。今は、違う。若いスタッフ諸君がたいへんな努力をして集めてくれた一人一人の受講生諸君を前にして、どうしても一人たりとも取りこぼしたくないし、絶対に全員の「きわめて満足」を勝ち取りたいと切望するようになった。ま、どうやら何歳になっても、成長は可能なのである。