Sat 090103 富はどこへ行ったのか、愚かなクマさんはどうしても理解できない | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 090103 富はどこへ行ったのか、愚かなクマさんはどうしても理解できない

 こういうふうで、私みたいな素人は「景気などというものは、人の気分のことなんだから、気分が上向けばどんどんよくなるんじゃないか」と考えるのである。それなら、「そんなに暗いニュースばっかり垂れ流してないで、気分が上向くようなニュースもどんどん流してくれたまえ」と思う。株価は9200円まで上昇、「油が高くて漁に出られない」と言って漁師さんたちがストライキまでしていたのに、ガソリン価格は110円まで下落。ところが、明るいニュースはニュースショーのずっと端っこに追いやられて、書き初めコンクールとか、赤ちゃんの泣き相撲とか、若者の泥んこ祭とか、晴れ着の女性が目立った初詣とか、そういうのが地元ニュースのトピックスを締めくくるだけなのだ。しかも最後にキチンと「景気が回復して、庶民の暮らしが少しでもよくなるように、願いを込めていました」とダメを押され「暗い世の中だ」と結論を確認してから終わることになっている。ガソリン価格の下落だって、「ガソリンスタンド経営が苦しい」で、悪い方に分類されてしまう。
 

 今回の世界同時不況についても、私みたいな素人はどうしても理解できないのだ。例えば、「宇宙人の大艦隊が地球を襲って、石油と鉄鉱石と食糧資源を、全て地球人の手から奪って去っていった、残された地球人はどうしたらいいのだろう」というなら、よくわかる。突然生活の糧を奪われて呆然としている、宇宙人にみんな持ち去られた、そういうことなら「こんなに貧乏になって、どうしたらいいんだ」という叫びも理解できるのだ。ところが、宇宙人や地底人が私たちから何か大切なものを強奪していったというニュースは1つもない。何にもとられていないし、何にも無駄遣いしていない、間違ってお金を残らず宇宙に捨ててきちゃったということもない。冷静に考えてみて、何もなくなっていないのだ。


 それなら、地球人だけの中で考えるのだから、誰かが貧乏になれば、誰かがお金持ちになるはずである。それがバランスシートというものであって、誰かのバランスシートがマイナスになれば、必ず誰かのバランスシートはプラスに転じているはずである。仲間たちだけでお金や資源のやりとりをしているときに、「誰も得をしないで、仲間全体が損をして、みんなのお金がなくなりました」というのは、常識では考えられない。きっと誰か悪いヤツが、みんながトイレに行っているスキにコッソリお金をくすねて、どこか木の陰か秘密の洞穴に隠しているに違いない。


 ところが、それも違うという。よその生物がよその星に奪い去っていったのでもなく、みんなで食って飲んで浪費したのでもなく、誰か悪い仲間が盗んで隠してしまったのでもない。あれえ、では、お金と資源はどこに消えたの? プラスがないのにマイナスだけあるというのは、マトモな算数では考えられないのだ。途方に暮れたツキノワさんは、大学院で相当マジメに経済学を勉強した人物に「お金はどこに消えたの?」と素直に尋ねてみることにした。疑問は、恥ずかしがらずに人に尋ねて、キチンと解決しておく方がいい。しかもこの人物は、クマさんの感じとしては、将来チャンとした大学の教員としてやっていけるのではないかと思えるほどに経済学の基礎をしっかり勉強した人物である。

 

0984
(まだまだおめでたい ニャゴ姉さん編)


 オモチが100コありました。誰かが奪っていったのでもありません。誰もむしゃむしゃ食べてしまったのでもありません。誰もコッソリ隠したりしていません。それなのに、オモチを食べられないと言ってみんな騒いでいます。「100年に一度の悲劇だ」とメソメソ泣いてる人もいるし、絶望のあまり「この世の終わりだ」と叫んでいる人もいます。どうしちゃったんでしょう。そういう問題である。クマさんが用意した仮の解答は、腐っちゃった、カビが生えちゃった、突然みんなオモチが嫌いになっちゃった、オモチを焼く機械や炭火がなくなった、その程度のものである。


 問題は、クマさんが極めて頑固であり、しかも人の話を最後まで聞かずに自分で思ったことをベラベラ喋りだすタイプの生物だということである。こういう生物を相手に混みいった経済のことを説明するのは難しい。クマさんの理解力にも問題があって、詳しい説明を聞いてもやっぱりよくわからなかった。お腹が減っていることは確かだし、オモチを食べれば元気が出ることはわかっているのだが、何故かオモチを焼いて食べようという気力と食欲をなくしている状態らしい。


 オモチが嫌いになったわけではないし、カビも生えていないが、とにかく元気が出ない。食べなさい食べなさいと勧められても、何だかダマされそうで信用できない。まず、コンロや七輪を出すのが面倒だ。1回食べたらマズかった、またマズいかもしれない。「ほとんどタダだよ」とダマされて食べてみたら、後から1個につき1万円要求された経験がある。1個食ったら、5個返せと要求されたことがある。これを食べちゃったら、将来貧しくなって食べ物がなくなった時、食べるものがなくなるかもしれない。食べるのはイケナイこと、貯蔵庫に残しておくのはいいことだ、そういう道徳を奉じている。みんな食べないよ、みんな我慢しているよ、みんなと違うことをするのはよくないよ、だから食べないよ(これは日本人に特に多いらしい)。まあ、いろいろだが、とにかく食べる元気のある人がいない。


 食べる人がみんなそうだから、オモチを作る人たちも、オモチを作ると損するから、オモチは作らない。作る作業にあたっていた人たちをどんどん解雇して、給料を払わないで、自分たちも今まで作ったオモチをひっそりと守りながら、いつかオモチがなくなる日を静かに待ち受ける。新しいオモチは出てこないし、新種のオモチを工夫して食べやすくする人もいない。周囲にはオモチのない人がどんどん増えるから、ますます食べるのはいけないこと、ためこむのはいいこと、と人々は思い、誰も食べず、誰も作らず、誰も歌わず踊らずに、誰がどのぐらい貧乏になったのか息を潜めて見つめあっている、そういうことであるらしい。だからみんな元気が出なくて、ますます青い顔で食べたくない食べたくないを呪文のようにつぶやいている。

 

0985
(まだまだおめでたい ナデシコ姫編)


 こういう中で一番いけないのは、リーダーと思われる人たちが難しい顔をして、苦しい状況です、難しい状況です、先が見えません、いつまで続くのか、どこまで落ち込むのかわかりません、そういう発言をして、人々のオモチ嫌いを募らせることだと思う。そういう難しい暗い顔をスクリーンに大映しにして、毎日みんなの目に見えるところで繰り返し放映するのもやめたほうがいい。


 逆に望ましいのは、まあ食欲は湧かないにしても、オモチをとりあえず1個口に入れてみて、旨いぞ、元気が出たぞ、キミも食ってみろ、オレはもう3個食ってみる、旨かったら、他のヤツにもすすめてくれ、元気が出て、身体が暖まってきたら、モチづくりを再開するぞ、作れば楽しいぞ、食えば嬉しいぞ、ため込んでないでどんどん作って食おうじゃないか、そういう発言と行動である。ダマされたら、ダマしたヤツを、これからみんなで殴りにいこうぜ、ヤーヤ、ヤーヤ、ヤーヤヤー(古すぎるか)である。


 クマさんの理解したところによれば、それなら「クルマが売れません」「電機が売れません」「だから減産です」「だから休業と在庫処理です」「だから解雇です」と業界のリーダーが率先して縮こまっていてはいけないだろうということである。売れないなら、売ればいいのだ。投げ売りすればモラルが低下するから、安易な値引きや価格破壊があってはいけないのは確かだが、売れるクルマを作り、売れる工夫を凝らし、売れる営業を開発し、売れる努力を積み重ねることこそ、世界を代表する自動車メーカーの責務ではないか。どこよりも先に減産と休業と解雇を発表し、トップが最初に全身で縮こまり、オレは困り果てている、モチはもうイヤだ、そういう言動に走っていいものかどうか、頭の悪いクマさんはすっかりクマってしまうのであった。

1E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3
2E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3
3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3
4E(Cd) Akiko Suwanai:SIBERIUS & WALTON/VIOLIN CONCERTOS
5E(Cd) Wand & Berliner:BRUCKNER/SYMPHONY No.8 1/2
6E(Cd) Wand & Berliner:BRUCKNER/SYMPHONY No.8 2/2
7E(Cd) Wand & Berliner:BRUCKNER/SYMPHONY No.9
10D(DvMv) BEN-HUR(1)
total m31 y31 d2269