Thu 090101 新年のご挨拶 不景気の大合唱 あらかじめ結論のある報道への嫌悪 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 090101 新年のご挨拶 不景気の大合唱 あらかじめ結論のある報道への嫌悪

 明けましておめでとうございます、と、とりあえず新年でもあるし、殊勝なことも言ってみて、すべてはそれからである。殊勝なことや決まり文句や常套句を言わないで新年のスタートをしてしまえば、何となく決まりが悪いだろうし、感じも良くない。感じの良くない新年は、やはり感じが良くないし、感じが悪くなっては困るから、酔いに任せて慣れない常套句から始めることにする。


 朝からよく晴れて、たいへんおめでたい。初日の出も見られたし、元旦から温かいお酒もどんどんはかどって、これ以上おめでたいことはない。昨日近くの酒屋(升本酒店。なぜかこのあたりには「升本」という酒屋が多い。何か理由がありそうだが、面倒だから調べていない)で買った山形の酒「初孫」を、1分だけお燗して飲むのだが、新年に相応しい甘口の酒で酔いも速いし、気持ちの暖まり方も速い。


 「酒は辛口でないと」などと面倒なことを言う人が多いが、そういうのはまだまだ酒については素人である。一日も休まず酒を飲んで20年以上になれば(正月には必ず父親とともに大いに飲み、大いに気勢を上げていたわけだから)、いちいち「辛口だ」とか「甘口だ」とか言って、酒を作ってくれる人たちにワガママを振り回したりはしない。要するに酒というものは、楽しく旨く飲んでいればそれが一番であって、せっかく旨い酒を飲んで楽しんでいるところへ、甘いとか辛いとか面倒な品評会を持ち込んで蘊蓄を傾けたりするのは、趣味が悪いか、頭が悪いか、性格が悪いのである。正月で、おめでたくて、よく晴れて、お風呂に入れたネコ2匹もすっかり乾いてご機嫌であれば、酒は甘くても辛くてもいい。

 

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(ニャゴ姉さんの謹賀新年)


 それに引き換え、世の中は不況と不景気の大合唱であって、テレビのニュースを見ていると、何だか非常事態宣言でも発令されたかのようである。ヨーロッパの大きなホテルに泊まれば、NHKの国際放送でリアルタイムの日本のニュースが見られるのだが、そのほとんどが不景気の話。ロシアのニュース番組、ドイツ・イタリア・スペイン・フランスのニュース番組、アルジャジーラ、CNN、BBC、どれを見ても世界は意外なほどに落ち着いていて、世界同時不況とは言っても「どっこい、まだまだ」という感じで持ちこたえている


 ところが、日本のニュースにチャンネルを合わせた瞬間「もう何もかも崩壊」「大企業も中小企業も全部ダメ」「食糧も日用品も手に入らない」という色彩で画面が彩られ、まるで大恐慌時代のような報道の仕方に変わる。そのくせ、ニュースが終われば、全くの別世界。ちっとも面白くないお笑い芸人が司会で、「あまーい」「やわらかーい」「ほっくほく」「プリップリの食感」「ジューシー」「肉汁がジュワ」以外の反応はほぼ期待できないグルメ番組と、温泉につかってお楽しみの夕食以外何もしない中高年の旅番組とが、何時まででも延々と連続する。


 まず、マスコミがこの不況ではしゃぎすぎなのである。報道番組の時間も長過ぎる。与えられた余りにも長い放送時間を埋めることに必死で、同じ不況のニュースを何度も何度も繰り返し垂れ流し、キャスターたちも不況だ不景気だ解散総選挙だと暗い表情で繰り返しすぎである。不景気とは、本来人々の気分の問題なのであって、額にシワを寄せて「ダメですね」「景気が悪いですね」「景況感が急激に悪化しています」とキャスターが繰り返せば、繰り返した回数に比例してどんどん景気が悪化して当然である。必要以上の景況感の悪化を、マスコミがはしゃいで作り出している部分もあるような気がする。


 いや、事実として景気はどんどん悪化している、世論調査もした、街の声もインタビューで集めた、おそらくマスコミ各社は口を揃えるのであるが、1日に10回も20回も「景気が悪化しています」というニュースを見せられた人がインタビューを受ければ、ほとんど暗示にかかったように「景気は悪いです」と答えるに決まっている。いま街頭でマイクを向けられて「いやあ、景気はいいですよ」「別に不景気なんて感じません」と、マジメに答えるような人間がいるだろうか。しかも「どうですか、景気は?」とマイクを突きつける報道側の人間も「悪いです」という答えだけを全身で期待しているのだし、万が一「好景気です」と答える人間がいたとしても、その部分は「カット」という暴力でなかったことにされるのは目に見えている。


 「景況感が急激に悪化している」という結論が先にあって、それを証明するために電話調査もし、「悪化している」「どちらかと言えば悪化している」が圧倒的に多かった、などと言ってみる。しかし、先に結論がある調査でのデータ集めほど悪質なものはないので、今の雰囲気の中で突然マスコミから電話がかかってきて「景気は良くなっている」などと回答することはまず考えられないのである。

 

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(謹賀新年・拡大図)


 内閣支持率の電話による世論調査も同じ。これだけ首相を小バカにする報道があふれ、どのチャンネルにかえても「政治災害だ」「呆れましたね」「政府の無策が原因だ」と同じコメントを垂れ流している状況で、かかってきた電話に向かって「麻生内閣を支持します」と回答する人がいるとしたら、その方が驚きである。現在、支持率20%弱であるが、ということは、5人に1人が「支持します」と答えていることになる。私には、そのことが奇跡的に見えるのだが、いかがなものであろうか。私は別に今の内閣も首相も支持するのではないが、とにかく、前もって決めた結論があって、その結論に持っていくために事実を必要以上に歪曲したり、世論を煽ってその方向に捩じ曲げるような報道の姿勢を嫌悪するのである。


 マスコミがこぞって不景気をあおり、それを証明するために結果の見えた調査を行い、ほらほら数字もありますよ、こんなに急激に悪化の一途をたどっています、そういう暗い表情にもう1本余計にシワを深く刻んで、「歳末商戦も財布のヒモがカタくなりました」とあらかじめ書いた原稿を読み上げ、財布のヒモがカタくない人へのインタビューはまたまたカットしてしまう。そういう構造がキライなのだ。


 景気が気分の問題なら、テレビニュースに割かれる時間をカットすれば景気はそのぶん良くなりそうである。年末にNHKは教育テレビの放送を半日休んで、そのことによって二酸化炭素の排出量を削減し温暖化防止に貢献したと言っているが、もし不況から脱出したいなら、もっといいのはニュースショーとグルメ番組と旅番組の削減である。

1E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/
EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 1/2
2E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/
EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 2/2
3E(Cd) RUSSIAN MEDIEVAL CHANT
4E(Cd) Philip Cave:CONONATION OF THE FIRST ELIZABETH
5E(Cd) Rachel Podger:TELEMANN/12 FANTASIES FOR SOLO VIOLON
6E(Cd) Sirinu:STUART AGE MUSIC
7E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 1/2
8E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 2/2
9E(Cd) Anne-Sophie Mutter:VIVALDI/DIE VIER JAHRESZEITEN
10E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 1/2
11E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 2/2
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