Sun 081123 理科と社会を後回しにするな 理社科を遠慮するな | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 081123 理科と社会を後回しにするな 理社科を遠慮するな

 もちろん、実際の入試ではある程度の配点の違いはあるが、だからといって「理科社会ばかりよくても何にもならない」「英語数学が悪いんじゃ本末転倒」など、勉強する本人やそれをサポートする親や教師が、科目と科目の間に妙な優先順位をつけるべきではない。数学も英語も、理科も社会も、比重はほとんど同じである。よければ大いにほめ、大いに自信をもつべきだ。実際、中学受験なら難関校になればなるほど、「主要教科」算数国語と「暗記科目」理科社会の得点は平等になる傾向がある。大学入試でも事情は同じで、難関校になればなるほど科目間の配点比率に差はなくなる。「算数」「数学」「英語」にばかり熱心で、それ以外に冷ややかな目を向けるのは、受験生本人や入試実施サイドより、周囲の大人たちの方なのである。


 だから、受験勉強を開始するときに、「まず算数」「まず英語」とやたらに強調し、「理科や社会は後回しにしろ」「今から暗記科目をやっても、どうせ忘れちゃうぞ」「暗記科目は直前の追い込みで間に合う」「暗記科目なんかでいい成績をとっていると、最後の追い込みで追い抜かれるぞ」などとアドバイスするのは、正直言ってシロートである。


 理科がスキなら、どんどん理科をやりたまえ。社会がスキなら、遠慮はいらない。どんなに周囲がうるさいことを言っても、無視してどんどん社会の成績を上げたまえ。理科でも社会でも、遠慮なくいくらでも勉強して、模擬試験に「成績優秀者一覧」があったら、バンバン名前を載せて、賞品の図書カードでも何でもガンガンもらって、大いに周囲を悔しがらせたまえ。悔しくてたまらないヤツらが、彼らの親の受け売りで「暗記科目がよくても、何にもならないんだって」とか言ってきたら、「フムフム、わかった。でも、キミも表彰されて図書カードもらったら?」と言ってやりたまえ。

 

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(ネコは悩む)


 算数・数学・英語は、確かに成績を上げるのに時間がかかる。時間がかかるものだから、受験勉強を始めたらすぐにこれらの科目に取り組まなければならないのは当たり前である。しかし、言うまでもないが、こういう科目は時間がかかるから、成績はなかなか上がらない。なかなか上がらない科目ばかりやって、だから総合点もなかなか上がらなくて、「いったい、いつになったら成果が結果に表れるのだろう」「入試までに間に合うんだろうか」という不安にさいなまれつつ、夏が来て、夏が過ぎ、秋が来て、木の葉が色づき、やがて落ち葉がハラハラ舞い始め、それでも総合点は上がらなくて、先生に相談にいくと「必ずいつか上がるぞ」と慰められ、11月も末になり、まだ理科も社会もあまり手をつけていなくて、数えてみたら入試まであと60日、「それって、8週間ってこと?」と気づき、そこまで追いつめられて塾の面談があり「どの科目もダメですね。志望校には届きません。志望校変更が望ましいです」とか、担当の先生が平然と言い出す、それがダメな塾&予備校の指導である。


 私は、こういうダメな塾や予備校が大嫌いである。3月4月の入塾時と、11月末の受験校選定時とで、態度が余りにも違うからである。「4月からでは遅いです」「前の年の12月からスタートしても、それでも遅すぎるぐらいです」と、本当のことをビシッと言ってくれる予備校なんか、ほとんど存在しない。「単語集をキチンとやりなさい」「英文法をキチンとやりなさい」「毎回の確認テストや定期テストをチャンとこなして、着実に成績を上げていくしかありません」と、そういう本当のことを言うガッツがないのだ。

 

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(ネコは語り合う)


 「まだ早すぎます」「やりすぎると消化不良になります」「第一志望はゆずれない」「夢をあきらめないで」「攻める1年」とか、そういうお気楽極楽なことを春には大宣伝しておきながら、11月の受験校決定時になると突然表情を硬くして、模擬試験の成績表を突きつけながら「志望校変更の必要があります」「ああー、この成績じゃちょっと無理ですね」「安全圏を中心に受けましょう」などと言い出すのだ。「あれっ、第一志望は、ゆずりたくありません」「夢をあきらめたくありません」「まだまだ攻め続けたいです」など、万が一受験生が口走ったとして、身のホドをわきまえないアホな受験生の戯言として一蹴されるのがオチ、親が同伴して強硬に第一志望にこだわったりすれば、それこそモンスターペアレントの記念受験扱いをされかねない。


 塾のアドバイスに従って結局こんな失敗をするより、社会がスキなキミはどんどん社会をやればいい。「得意科目、社会&理科。どちらも表彰されています。図書カード、たまってます。入試本番でも、社会と理科で稼ぐので、センター試験の英語や数学で問題形式が変更になっても余裕です」、こういう受験生は強い。社会と理科なら、よっぽど変な問題(2007年の神戸女学院中の社会など)が出題されない限り、確実に高得点が見込めるのだ。野球でもサッカーでも、守備がしっかりしていれば、どんな強豪相手でも好試合に持ち込めるのと同じである。観衆の目はフォワードのスタープレーヤーや4番バッターに向いていても、実際のゲームはバックスや内外野の地道な守備が作っているのだ。

 

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(悩みは尽きない)


 英語は、時間がかかる。だから、早いうちに単語集をやり、熟語集をやり、英文法をしっかり勉強し、やがて長文読解や自由英作文に進むために大いに基礎力をつけたまえ。算数数学も、時間がかかる。だから、早いうちから徹底して計算力をつけ、基本的な問題を数多く解いて、基本問題なら問題を見た瞬間に解答の手順が言えるようになりたまえ。しかし、そのことと「理科社会は後回し」という間違った発想とは何の関係もない。理科も社会も早いうちに得意科目にして、「バックスは整備した」「守備には自信がある」と、しっかり言えるようになればいいのだ。


 「そんなに早くから社会なんかやったら、忘れちゃうんじゃないか」という不安については明日また書くが、「忘れちゃう」かどうかはやった本人に聞いてみるのが一番早い。模擬試験も月一回あり、授業も毎週何度もあり、その予習復習もやって、それでも忘れるような人はいない、と考えるのが普通。しかも、1度記憶したことをそうやって模試や授業やその予習復習で確認し直すと、記憶がどんどん強固になるばかりでなく、より上質の記憶に変化していくのはいろいろな脳科学者がそろって主張していることである。

1E(Cd) Akiko Suwanai:DVOŘÁK VIOLIN CONCERTO & SARASATE
2E(Cd) Akiko Suwanai:SIBERIUS & WALTON/VIOLIN CONCERTOS
3E(Cd) Wand & Berliner:BRUCKNER/SYMPHONY No.4
4E(Cd) Karajan & Wiener:BRUCKNER/SYMPHONY No.7
5E(Cd) Wand & Berliner:BRUCKNER/SYMPHONY No.8 1/2
10A(α) 倉橋由美子:交歓:新潮社
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