Sat 081101 フランク永井、死去 早稲田ラグビー8年ぶりの敗戦について | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 081101 フランク永井、死去 早稲田ラグビー8年ぶりの敗戦について

 この週末には歴史的な事件が2つ起こって、私は大きなショックを受けている。1つは早稲田ラグビーの8年ぶりの敗戦であり、もう1つは歌手・フランク永井の死去である。特にフランク永井の死は、昭和がいよいよ本当に終わったことを実感させる意味で私のショックは大きかった。「有楽町で逢いましょう」「君恋し」「東京ナイトクラブ」の類いは、有楽町・夜霧・外苑・褪せたくちびる・デパート・宵闇・悩みも果てなし・ダンスホール、そこに出て来る一語一語が全て死語になりつつある、言わば昭和語。私にとってカラオケでウケをネラって歌うのには最高の歌だったし、昭和40年前後の、まだ歴史になりきれていない歴史だったのである。
 

 お盆に帰省して親に見させられる「NHK思い出のメロディー」で、歴史の一部分として登場するシワだらけのおじいちゃん歌手おばあちゃん歌手というものがいた。霧島一郎、東海林太郎、田畑義男、市丸、並木路子、三浦布美子、そういう戦中戦後の歌手については、私はその最盛期を知らないから、彼ら彼女らは既にしっかりした歴史であって、歴史の教科書に載っていても違和感のない偉人たちである。それに対してフランク永井となると、別格の現役歌手であり、「思い出のメロディー」ではおじいちゃんおばあちゃんのサポート役、いわば電車で席を譲ってあげる側の人間だったのである。松尾和子、バーブ佐竹、青江三奈、西田佐知子、奥村チヨ、ちょっと世代が違うかもしれないが、イメージとしてはそんな感じ。それが亡くなったというのだから、私のショックは大きい。「昭和の終わり」というより、「昭和後半の終わりの始まり」なのかもしれない。つまり、私もその一部分である「太平洋戦争の影のない昭和」というものがあって、それが終わり始めたということである。

 

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(続・袋)


 しかたがない、大いにカラオケに出かけ、大いにフランク永井を歌って、それを私の中での追悼にしたいと思う。なお、1970年代の終わりか80年代の初めにタモリが東芝EMIから出す予定で制作して、発売ギリギリで制作中止になった「タモリⅢ」という幻のレコードがある。「昭和歌謡史大全集」というサブタイトルがついていたはずである。昭和歌謡のパロディ集で、マッカーサーの厚木到着からロカビリーブーム・グループサウンズブームを経て昭和末期までの歌謡曲(これも死語か)をパロディで遊びまくり、フランク永井もその中で「トランク永井」として登場し「東京ホストクラブ」を歌っている。
 

 著作権の関係で発売中止になったものを、ニッポン放送オールナイトニッポンで全曲放送した(放送局の勇気にも驚くが)のだが、当時20歳ちょっとだった私は、すべてカセットテープ(これも死語)に録音し、いまでもなくさず保管している。カセットが腐りそうになったのでCDにしてあるが、これが涙が出るほど面白い。残念ながら、これを聞いて面白いと思える世代は40歳代以上の人々になってしまった。もし東芝EMIに度胸があったら、フランク永井が素晴らしいきっかけを与えてくれたのだ、是非いまこそ、あのレコードを市場に出してほしいと思う。

 

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(睡)


 さて一方、早稲田ラグビーの敗戦は、「21世紀初頭」の終わりを示している。早稲田がラグビー対抗戦グループで最後に負けたのが2000年11月。その前が余りに惨憺たる有り様だったので記憶にもハッキリ残っていないが、まだ西辻や山崎勇樹などが活躍していた時代だったと思う。あれから8年間、清宮監督の下で、大田尾・内橋・後藤・内藤兄弟・佐々木・矢富・曽我部・五郎丸・畠山、名選手を数え上げていたらキリがないぐらいだ。53連勝などという数字も、常識はずれ。いつか必ず終わりが来ることはわかっていたし、木枯らし一号が吹き荒れた11月1日などというのは、その「終わり」に相応しい一日だったと思う。

 

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(続・睡)


 試合では、フォワードに全く元気がなくて、SHが密集からボールを出すことさえママならず、せっかく出したボールもバックスが処理を誤り、ハイパントはノックオン、走れば一発タックルにハマり、直後のスクラムはめくり上げられる。要するに80分間、あれはラグビーと呼べるものではなかった。相手の帝京大が80分間ずっと同じ反則を繰り返していた(密集からボールが出るのを手で妨げていた)こと、それをレフェリーが指摘するのが遅すぎたこと、そういうことを斟酌してみても、それでもやはり敗戦は当然だったように思う。後半も半ばを過ぎて、副審からのアピールで早稲田が注意を与えられた時、キャプテン豊田が声を荒らげて「何番の選手か分からないのに」と判定に不服を訴えたのは、象徴的だった。キャプテンがこれほど苛立っていたのでは、チームは勝てないのである。

 

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(疑念の目覚め)


 しかも、明治大学が惨憺たる状況になっている。90年代後半には「もはや早稲田はライバルではない」と豪語したチームである。柔道では国士舘大学を破って8年ぶりの優勝ということだから、ぜひ柔道部から有志を募ってでも「前へ」のラグビーを復活させてほしい。早稲田のファンは、明治のファンでもあるのだ。こんなに簡単にヘコタレてほしくはない。今の段階では、選手よりもファンがヘコタレていると思う。
 

 3年前の12月第一日曜日、私は国立競技場で早明決戦を観戦していたが、かつてあれほど圧倒的な迫力のあった明治ファンが、みんな自嘲気味になっているのが気になった。明治の凡プレーが出るたびに「よこへ!!」(スローガンの「まえへ」をもじったもの)という溜め息が漏れる。点差が広がるたびに「偏差値並みに差がついた」といって笑っている。試合終了後、青山の焼き肉屋で偶然同席した明治ファン(というか明治卒業生)は、「これで、もう有望な選手は入学してこない」といって寂しそうに呻いている。そういう状況では、昨年の71-7の大差もやむを得なかったと思う。明治ファンがもっともっと燃えてくれることを心から期待する。今年は、明治は大学選手権に出られそうにないし、早稲田だって今の調子だと日体や慶応にもアブナそうである。来年を期して、是非もう一度、他者を寄せ付けないライバル同士として復活したいものである。

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2E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
3E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 1/2
4E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2
5E(Cd) Muti & Berlin:VERDI/FOUR SACRED PIECES
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7G(Cd) 戸泉絵里子:スペインを旅する会話:三修社
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