Fri 081024 武蔵小杉講演会 講演会中の「自学自習君」 学芸大学→三軒茶屋→下北沢 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 081024 武蔵小杉講演会 講演会中の「自学自習君」 学芸大学→三軒茶屋→下北沢

 未明から本格的な雨になり、昼過ぎまで激しく降った。「夕方には雨はあがるでしょう」と日本中のお天気お姉さんたちがこぞって予想していたにも関わらず、夕方になっても弱い雨が降り続き、最終的に雨が止んだのは夜8時ごろだった。私はお天気お姉さんたちの言うことを珍しく信じて、夕方に傘を持たずに出かけた。家を出て3分ぐらいして雨が激しくなり、それでも傘をとりに家に戻るなどという常識的な行動はとりたくないから、そのまま駅まで強行軍を続けた。駅に着くまでにはスーツも鞄も頭もメガネもすっかりびしょぬれになり、電車の中でもそれなりに目立つ羽目にもなったが、別に目立っても構わないし、困ることは一つもない。表参道の駅で銀座線を待ちながら、天井の換気設備から信じがたい強風の吹き付ける場所をちょうどよく発見。息も止まるほどの強風の下に2分立って銀座線を待っただけで、スーツも頭もたいへんよく乾燥させることが出来た。都会には、思わぬ便利な場所がある。ただし、渋谷で乗り換えた東横線が、暖房でも入れているような蒸し暑さで、暑さに弱い私は大汗をかいてしまい、今度は内側からずぶぬれになってしまった。

 

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(タオルの上のタオルのようなネコ)


 19時から東進・武蔵小杉校で講演会。高1&高2だけを対象にした、出席者50数名の小規模な講演会で、先週日曜日の400名がちょっと懐かしいが、もちろんそんな不満は言っていられない。この雨の中をずぶぬれで集まってくれた(ずぶぬれは私だけなのかもしれないが)熱心な諸君のために大いに気合いを入れて、21時近くまで喋りまくった。これだけ喋りまくって、50数名が最後まで下を向くこともアクビすることも私語することもなく、爆笑が絶えず、ずっと笑顔で頷き続けてくれたことには大いに感謝しなければならない。
 

 もちろん武蔵小杉校のスタッフや実行委員の諸君にも感謝。駅から見えない目立たない雑居ビルの一室、しかもこんな悪天候の中、激戦区の東横線沿線でこれだけの生徒を集めてくれた努力は素晴らしいものだったと思う。まだ切羽詰まった感覚のない高1&高2生というのは、なかなか講演など聞きにこないものである。大きなターミナル駅の駅前の大きな会場で、晴れた日曜日の午後に講演会を催したとしても、今日ほどの人数が集まるかどうか。300名も入る教室を準備して、20名ぐらいしか集まらずに慌てて教室を変更するなどということは、大きな予備校でも日常茶飯なのだ。今日の武蔵小杉は、確かに小教室ではあったけれども、見事に悪条件を克服して「満員締め切り」という快挙を達成してくれた。

 

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(タオルの上のタオルネコ・拡大図)


 ただし、50数名程度の講演だと、たった1名が私語をしたり居眠りしたりしていても非常によく目立ってしまう。全員がきわめて熱心であり、爆笑を繰り返しながら夢中で話に聞き入っている状況の中で、残念ながら1名の生徒が下を向いたままこちらに一切顔を向けようとしない。よく見ると、机の上に辞書を広げて何やら英語の勉強中である。何とも勉強熱心なことだが、まあ、たいへん無礼な行動であることも確かであって、そういう自学自習が好きなら、何もこんな騒がしい講演会場の教室で自学自習に励む必要はない。第一、超満員のせいで、後ろのほうには机さえない生徒が何名か、我慢してイスだけの席に座っているのだ。私以上に、そういう生徒に対して無礼である。
 

 こういう場合、私は黙ってそういう生徒を見逃しながら我慢して2時間も話を続けるほど気が弱くはない。私自身への無礼なんか別に大したことではないが、他の生徒たちへの影響、我慢している生徒たちへの無礼、何よりも自学自習を選んだ彼自身にとって騒音に満ちた講演会場という環境は最悪である。すぐに彼を帰らせることにして、講演をいったん中止して彼に声をかけた。今すぐ帰ったほうがいい、帰って静かな場所で自学自習するほうが効果的だろう、と言ったのである。
 

 せっかく講演や授業に参加した生徒を帰らせてしまうことは、私には珍しいことではない。そのまま最後までその場にいたとしても、生徒自身にも周囲の生徒にもプラスにはならないと判断すれば、キチンと帰らせてあげたほうがいい。そう言われてから抵抗する生徒の方が圧倒的に多くて、抵抗し、反省を述べ「このままいさせてください」と懇願されれば、一定の条件で出席を続けることを許すのであるが、今日の彼は違った。広げていた教科書と辞書その他をすぐにカバンにしまい込み、促されることさえなくすぐに席を立った。なかなか強情な男であって、そこまで強情なら将来の見込みもなくはない。是非これからも頑張って自学自習に励んでほしい。

 

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(丸く)


 そういうことがあって、残った50数名の生徒たちにも一瞬緊張が走ったけれども、元に戻るのも早かった。最近の生徒たちには気が弱い者が多くて、ちょっと私語や態度の悪さを注意するとそれだけでもう会場の雰囲気はぶちこわしになり、というより凍りついてしまい、最後まで盛り上がらずに終わる危険性もなくはない。ただ、そんな危険性を恐れて、マイナス要因になる生徒を放置することはしたくない。むしろ、他の生徒たちもキチンと注意する教師を好むようである。1分もかからずに雰囲気は元に戻り、傷は跡形もなく塞がって、再び爆笑の中で講演は21時近くまで絶好調が続いた。「サイン会なんかやらないから、すぐに走って帰って今日から全力を尽くせ」という指示で終わるから、全員楽しそうに走って帰る。こういう日にサイン会なんかやってダラダラ会場に居残っていると、だいたい碌なことにならない。
 

 終了後、外に出ると雨はすっかり止んでいる。雲も切れて、夜空が明るく光っている。駅から出てくる人たちは、みんな大きな傘が邪魔そうである。傘のない私は身軽そのものであって、さっきはずぶぬれで地下鉄の中で注目を浴びたけれども、今度こそお天気お姉さんを信じて家を出た私の勝利である。
 

 下北沢で酒を飲む予定になっていたから、武蔵小杉から乗った東横線を学芸大学の駅で降りた。下北沢なら、渋谷まで東横線に乗って井の頭線に乗りかえればいいのだが、たまには違う道を通っていくのも楽しいものである。首都圏で暮らしてもう30年ほどになるが、有名な街なのに一度も降りて歩いたことのない街がたくさんある。学芸大学の駅前もその一つであって、今日はちょうどいいチャンスだった。どこを見ても狭い横丁ばかりで、タクシーを求めて右往左往したが、右往左往にも利点があって、右往左往しながら旨そうな店を3~4軒すぐに発見。今夜だって、下北沢の予定だったから下北沢に行くけれども、次回の飲み会は学芸大学の駅前にしてもいいと考えた。
 

 ようやく横丁の出口にたどり着くと、タクシーはいくらでも列を作って待っている。直線距離で行けば、学芸大学から下北沢は近い。三宿か三軒茶屋を経由して15分、渋滞にあわなければ1500円程度で行ける。どちらを選んでもいいが、土地勘のある三軒茶屋経由を選択。雨上がりの楽しそうな人々を眺めながら、6年前まで住んでいた茶沢通りを通って下北沢に向かった。三軒茶屋にもたくさん新しい店ができていて、次の飲み会は三軒茶屋でもいい。こうやっていくらでも飲み屋料理屋を発見できるのも、いつもと違うルートを選ぶ利点である。

 

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(やわらかく)


 下北沢そのものは大したことはなくて、夜10時前後の下北沢は相変わらず年齢層が非常に低い。高校生、大学生、社会人になりたての諸君、要するにまだ酒を飲むことにあまり慣れていない人々でいっぱいであって、つまりやたらに騒がしい。こういう場所でいろいろ工夫していても始まらないので、「土間土間」で充分である。茶豆、鶏カラアゲ、揚げ出し豆腐、いぶりがっこなど。秋田名物「いぶりがっこ」は、メニューでは「スモークたくあん」などという素晴らしい都会派の名前をつけてもらっていて、いぶりがっこ本人も驚いているだろう。
 

 気恥ずかしさで真っ黒になっている久しぶりのいぶりがっこを噛みしめながら、冷えた吟醸酒で一息ついた。おお、さっきの自学自習君は、いまごろチョームカついているだろうなあ。あんなに気張って無理に反抗なんかしなければ、2時間爆笑して、大いにやる気になって、私の指示の通りに走って家に帰って早速夢中で受験勉強を開始できただろうに。高2ぐらいだと、特に男子だと、なかなか素直になれない、どうしても反抗したくなる、そういう時期であって、ああいう自学自習君なんかも可愛らしい姿ではあるのだが、そこを何とか努力してもう少しだけ大人になってみたほうが、結局は自分のためになるのである。
 

 ただし「土間土間」はあまりにも煙たかった。喫煙者のパーセンテージのあれほどの高さは、最近では珍しい。特に女性の喫煙率が高くて、見渡したところ女性はほぼ全員が盛んにスパスパやっている。ここまで煙たいと、「スモークたくあん」ことイブリガッコ君も「もうこれ以上煙で責めたてられるのはイヤだ」といって反抗を始める。「冷えた吟醸酒」も、実はそんなによく冷えてはいない。もう私は下北沢向きの年齢層からは完全に外に出てしまったのかもしれない。次回からはもう少し工夫をして、三軒茶屋、学芸大学前、さっき見てきた新しい店もいろいろ開拓してみようと思う。
 

 すぐそばのラーメン屋「麺僧」で、海苔をたっぷりのせた醤油ラーメンと餃子1皿で「しめ」ということにする。こういうことをするから、また太り、また腹が出る。このごろすっかり怠けているから、ベルトの穴にも少し問題が出始めた。ま、明日から明日から。その「明日から」がまたいけないのかもしれない。

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13D(DvMv) DIE HARD
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