Sun 081019 「どの先生も同じです」という予備校に通うな 土浦西口校つくばカピオ講演会 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 081019 「どの先生も同じです」という予備校に通うな 土浦西口校つくばカピオ講演会

 今のように大学受験予備校の校舎が増えてしまうと、お金を払って通う生徒の側では「あそこの塾の講師は、大丈夫か」という不安感は大きくなる。常識的に考えて、質の高い講師の数が限られている以上、いい先生は東京本校にしかいないんじゃないか。地方都市やベッドタウンの駅前に「新校舎開校!!」などという広告が大きく出ても、果たして東京本校に負けないようないい先生が来てくれるのか。実際に今までも別の予備校の「新校舎開校!!!」の時にちょっと通ってみて、あまりいい講師に出会わなかった経験があったりすると、「やっぱりいい先生の授業を受けるには本校まで通わなければダメなんだ」という結論になるだろうし、そういう口コミは、実に正確なのである。経験と実力と実績に裏付けられた講師陣は、本校に集中しているのが普通である。ベッドタウンや地方都市に開校!!!の新校舎などというものには、目玉になる大物講師が1人か2人、残りは本校ではあまり人気のない中堅講師や、経験まだ2~3年の新人講師が派遣されてくる程度である。
 

 そういう消費者の不安や口コミを何とか落ち着かせるために、「どの先生でも同じ授業が受けられます」と案内書にうたっている塾・予備校もある。本校で教える先生も、地方校舎で教える先生も、みんな同じテキストで同じレベルの授業をする。だからわざわざ本校まで通う必要はない。ぜひ自宅に近い校舎で授業を受けてほしい。そういう宣伝である。

 

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(知性も眠る。夜のナデシコ)


 こういう宣伝は、ハッキリ言ってほとんど現状に合っていない。「そういうふうでありたい」という予備校自らの希望もしくは努力目標に過ぎないことが多い。実際に講師陣を1人1人確認してみると、やはり人気実績経験のある有名講師は東京本校に集中しているのは、講師たち自身が一番よく知っている。駿台の講師をしていれば、やはりお茶の水で授業をしていなければあまり嬉しくないという人が多いし、お茶の水でも本部校舎(昔は3号館と呼んでいた)で、例えば10年前なら伊藤和夫・奥井潔・長岡亮介・関谷浩・高橋いづみ・坂間勇・三国均、そういう超大物講師陣と席を並べてみたいと誰でも夢に見たものである。
 

 一方、どこの予備校でも、大宮・立川・津田沼・藤沢・川越・町田、そういうターミナル駅の駅前の校舎に、そのレベルの講師がズラッと並んでいるかと言えば、決してそんなことはない。有名講師が1人か2人、週に1回だけ姿を見せるだけであり、しかも「東大京大クラス」や「早慶クラス」など優秀なところだけをちょこっと教えて帰っていくだけで、庶民派のクラスに顔を出すことはまず考えられない。「生授業」で普通の生徒が触れ合えるのは、同じお金を払っても、本校とは全くレベルの違う先生方である、というのが真実である。大阪・神戸・京都・福岡なら地元の名物講師がいるけれども、仙台・新潟・広島なんかは、ベッドタウン校舎と状況は一緒である。
 

 つまり、現状ではとても「すべての講師が同じレベル」とは思えないのだ。その証拠に、「講師はみな同じレベル」のはずなのに、そう発言した予備校自身が「講師アンケート」を実施して、生徒に講師の評価をさせる。「講師はみな同じレベル」なら、もともとアンケートなんか必要ないはずだ。講師のレベルが全然違うことを認識しているからこそ、アンケートなんかを持ち出すのであって、宣伝広告を行っている予備校側が「講師のレベルは全く違う」と認識している証拠である。

 

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(続・知性も眠る。夜のナデシコ)


 第一、「講師がみんなおんなじ」などという発想自体が気持ち悪いではないか。人間は一人一人みな個性も能力も違っていて、人間の魅力はそこにあるはずだ。教える能力も同じことである。教え方、話のうまさ、人柄、優しさ、厳しさ、人生観、英語の教師なら英語についてのものの考え方、そういうものまで皆一律に揃えて「どの講師でも同じです」などと発言する予備校があるとすれば、その予備校は講師や教師を「教えるサイボーグ」のように考えているとしか思えない。
 

 生徒の側に立ってみても、先生を「顔がキライ」「声が好き」「服装がキモイ」「教え方が自分に合わない」などという主観で評価する権利があって、そういう権利を「どの先生も同じです」と言って押さえ込もうとするのは、生徒をもバカにしているのである。
 要するに「どの先生でも同じです」というのは、魅力ある先生を求めて本校に流れてしまう生徒たちを何とか地方校舎に押し込めてしまおうという、予備校の戦術に過ぎないのである。地方都市にその実態に合わない立派な校舎を建ててしまって、建てた校舎の大きさを持て余しているだけのことなのだ。地方校舎の責任者が、空っぽガラガラの校舎を見て頭をかかえ、本部に泣きついた結果が「どの先生でも同じです」の広告になっているに過ぎない。

 

 ただし、これは大学受験の世界に限られた話である。中学受験や高校受験なら、それに対応できる優れた先生がベッドタウンの校舎や地方都市の校舎にもたくさん存在する。それが、大学受験という少しだけ高いレベルに立つと、優れた教師の数が突然限定されてしまうのである。ということになれば、もし大学受験で優れた授業を求めるなら、生授業へのこだわりを早く捨てて、収録された授業に夢中になるほうが、どれほど効率的か分からない。

 

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(続々・知性も眠る。夜のナデシコ)


 19日は、東進・土浦西口校の主催で19時から「つくばカピオ」で講演会。秋葉原からつくばエクスプレスの快速に乗り、浅草から大量に乗り込んできたオジサマたちの茨城弁を聞きながら会場に向かった。南東北の訛に酷似した強い茨城方言のオジサマたちは、途中の守谷の駅で再びどっと降りていき、あとは終点つくばまで、車内には大学生らしいわずかな乗客が残されただけである。静寂の中、窓から秋の深まった田園の夕空を眺めた。首都圏に直結する高速の美しい電車車内を埋め尽くした茨城弁の嵐は、それなりに衝撃的だった。つくば着、17時15分。スタッフとホテルオークラのコーヒーショップで30分ほど打ち合わせた後、首都圏にはありえない薄暗い道を講演会場に向かった。
 

 講演会場は本来コンサートホールで、講演会場は350人収容できる大ホールである。このところ50人~70人規模の講演が連続していたから、久しぶりに大きな会場での講演で珍しく緊張する。さっき電車の中で包み込まれた激しい茨城方言、街灯の少ない薄暗い街路、商店もコンビニも飲食店もほとんど見あたらない田園風景。こういう街で350人のコンサートホールを埋め尽くすほどの聴衆を集めるのは、まず不可能に思われ、大ホールのあちらにパラパラ、こちらにパラパラ、講演を行う本人にとっては甚だ情けない光景が、控え室に入る前から目の前にちらつき始めた。
 

 ところが、用意してもらった弁当を珍しく食べながら(講演の最中にお腹をこわしてゲリコ事件になるのがコワいので、私は滅多に講演前に弁当は食べないのだが)予定の出席者数を確認すると「400名弱」となっている。最大350名収容のホールで400名弱というのは、もちろんドタキャンする人を50名ほど見込んでいるのであるが、それにしてもこの静かで薄暗い田園地帯で400名弱の出席というのは信じがたい。質問してみたら、みんなクルマで参加するのだという。電車やバスや地下鉄で、という土地柄でないのは分かるから、なるほど近郷近在からお父さんお母さん運転の自家用車で駆けつけてくれるのだ。それは素晴らしいことである。ガラガラ、パラパラ、チラホラ、のミジメな講演会の恐怖は、この時点で消えていった。
 

 19時、講演開始。ホールは、オペラの上演でさえ可能と思われる素晴らしいホールである。もちろん規模や収容人数は違うけれども、客席の形はウィーンのオペラ座とそっくりである。しかも見事に満員でパンパンになっている。2階席や3階席からも身を乗り出して聞いてくださる人の姿があって、さすがに最初の1~2分は私も緊張した。照明の当たり方もちょっと強すぎて、10月になってから続いていた小規模の講演とは勝手が違ったのである。

 

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(知性は激しく眠る)


 このところ調子が良くて、「つかみ」で失敗することがない。つかみをしくじると、本題に入る前の話が長引いて、ダラしなく枕がダラダラ続く羽目になるのだが、とにかく1発でつかめる好調を持続しているから、すぐに本題に入ることができる。さすがに400人弱も入っていれば聴衆の皆さんのノリも非常にいいから、90分間爆笑が収まることさえない。聞いている人も楽しいだろうが、これだけ爆笑が連続し、これだけみんな頷いてくれれば、話している私が一番楽しいのである。特に父母の皆さんの反応が素晴らしい。ミラクル君の話、スタートダッシュ君の話、通信添削オット会の話まで爆笑が続き、ゴボウ君&タマネギさんの話で場内全体が大きな浪のように続けざまに頷き、拍手し、また笑った。
 

 最後の締めくくりは「だから、今日から始めること。だから、サインなんかもらってデレデレしていないで、走って帰ること。走って帰って、今晩すぐに始めること」。それを聞いて、父母の皆さんまで含めて、みんな「走って帰って、すぐに始めよう」とソワソワし始める。そういう最高の形で締めくくった。さすがに絶好調だけあって、延長は一切なし。予定通りの90分で講演は終了した。
 

 というわけで、講演会は大成功。主催していただいたプラザ予備校の皆様に大いに感謝するとともに、是非また近いうちに呼んでいただければ幸いである。終了後、土浦西口駅前の店で旨いシャンペン(ランス産とのことだった)や白ワインをたくさんいただいた。店のご主人もまたたいへん素敵なオジサマだったが、東京に戻る終電車まで1時間しかなくて、大急ぎで飲まざるを得なくなり、失礼してしまった。この店にも是非また近いうちにお邪魔したいと思っている。上野到着23時40分。帰宅途中、久しぶりの雨が降り出した。

1E(Cd) Bill Evans Trio:WALTZ FOR DEBBY
2E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 1/3
3E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 2/3
4E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 3/3
5E(Cd) T.Beecham:BERLIOZ/LES TROYENS 1/3
6E(Cd) T.Beecham:BERLIOZ/LES TROYENS 2/3
7E(Cd) T.Beecham:BERLIOZ/LES TROYENS 3/3
10D(DvMv) THE GLADIATOR
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