Fri 081003 第4志望の過去問はやるな 模試を受けすぎるな 前半の文体が変わります | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 081003 第4志望の過去問はやるな 模試を受けすぎるな 前半の文体が変わります

 秋になると、受験生はみんな「過去問演習をやらなければ」と考える。自分でそう考えるのか、教師に脅されるのか、センパイや兄弟や友人のアドバイスに従うのかわからないが、「秋からは過去問」というのが常識のようになっている。だから、2学期が始まる頃には本屋さんの参考書コーナーが真っ赤に染まることになる。青本とかグリーン本とかいろいろあっても、やはり赤本が圧倒的に優勢だから、ズラッと赤本が書棚に並んだ様子は壮観である。受験生の需要に本屋さんも応えてくれるワケで、棚の前に立つと日本中ほとんどあらゆる大学の問題を5年分でも10年分でも買うことができる。中学受験でも高校受験でも、話は全く同じである。


 しかし、慌ててはいけない。基礎力もまだ不完全な受験生が、周囲のアドバイスにせき立てられて過去問に取り組んでも、ムカつくだけである。ムカつくのも当然であって、制限時間をはかって解いてみると、全然間に合わないことに気づくのである。目覚ましかケータイのアラームをセットして、いざ取りかかってみると、制限時間がきてもまだ半分も解けていない。今まで受けてきた模試だって同じだったが、過去問となると、もっとひどいのだ。


 制限時間を無視してゆっくり解いてみても、やっぱり解けなくてまたムカつく。解答解説を読んでもサッパリわからなくて、さらにムカつく。それが第4志望とか第5志望とか、もともと「合格しても行きたくはない」というような大学の問題だったりすると、ムカつきは頂点に達する。


 「秋になったら過去問」などという神話は、もともと超優秀な受験生のためのものである。そういう偉いヒトたちは、高2までで高校の範囲を全て修了し、高3になる頃には単語も熟語も文法も完璧で、模試を受ければ優秀者表に名前が載ったり、図書カードとかいろいろ賞品をもらったりで、秋どころか夏休み前にはもう赤本を広げているのだ。


 優秀な生徒からのアドバイスや神話は、広がりやすい。しかし、高校3年の夏まで部活に励み、学園祭や体育祭で「文武両道」をやってきた普通の高校生にとって、9月や10月などというのは、まだ本格的に受験勉強を始めて2ヶ月か3ヶ月目に過ぎない。マラソンなら、10kmか15kmのところ。そんなところでラストスパートをかけたら、すぐに吐きそうなほどムカつくのは当たり前である。


 過去問研究は、11月に入ってからでいい。11月に第3志望、12月に第2志望、1月に第1志望と、攻撃的に志望順を上げていくのだ。間違っても、第4志望以下の過去問は買わないこと。行きたくない学校の過去問題集を買ったりすると、それだけで自分も落ち込むし、息子や娘の本棚にそういう本を発見すると、父親も母親もカッとなってしまう。「お前をこんな学校に行かせるためにお父さんは働いてるんじゃない」「こんなに勉強して、こんな学校に行くつもりなの?」とか、そういう無理解なことを言って、親子ゲンカになるのがオチである。第4志望以下は、本屋さんで立ち読みするだけでいいのだ。


 ただ、第1志望の本だけは早めに購入して、本棚に飾っておくこと。飾るだけでなく、毎日5分ぐらいペラペラめくって、「へえ、こんな問題が出るんだ」「1月にはこれを解くんだ」「4月からここに通うんだ」「だから、今はこんな点に注意して実力をつけていくんだ」みたいなことを考え、第1志望に向けてポジティブな姿勢をつくっていけばいい。

 

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(写真上:たまには、敏捷なネコらしく)


 秋には、模擬試験の数も一気に増えてくる。「模試はできるだけ多く受けた方がいい」という神話があって、ほとんど毎週のように模試を受ける受験生も少なくない。「日曜日に家にいたって、どうせゴロゴロしているだけなんだから、せめて模試でも受けにいけば、少なくとも机に向かって1日を有意義に過ごせるだろう」と、親も教師もアドバイスし、素直な生徒ほどそれをウノミにして、せっせと模試会場に足を運ぶ。
 

 最近の大手予備校は、特定の高校の生徒には模試を無料で受けさせることがよくある。大学合格者数でランキングに載るような高校に通っていれば、ほとんどの模擬試験は無料で受けられるのである。だからますます受験生の模試スケジュールは過密になり、1週間に2つも3つも模試を受けるなどという可哀想な受験生が増えていく。
 

 しかし、模試ばかりそんなに受験していても、いいことは全然ない。疲れるばかりだし、解けなくてムカつくだけだし、成績が悪くて落ち込むばかりである。戦略も戦術もなしに行き当たりばったりに戦いに挑んでも余計なケガをするだけだ。そんなにアップアップするほど模試の洪水に溺れていたら、勉強のすべてがイヤになって、投げ出してしまいたくなるのが関の山である。第一、どんどん返却されてくる絶望的な成績表を見て、うれしい人はいないだろう。目を疑うような偏差値を毎週目の前に突きつけられて、それで勉強に弾みがついたら、それは変人である。
 

 悪い成績表が郵送で返ってきたりすれば、親子ゲンカが増えて家庭内の雰囲気だって悪くなる。受験というものは小学校受験でも中学受験でも大学受験でも、結局は家族全員で一致協力して戦うものである。司法試験やその他大人の難関資格試験だってそうだ。家族がみんなポシティブになって、一丸となって戦うのが基本。ケンカばかりで雰囲気の悪い家庭では、受験はうまくいかないことが多い。
 

 「模試はたくさん受けた方がいい」というのは、成績優秀者に限っての話である。受けるたびに優秀者表に名前が載り、賞品をもらい、各科目の偏差値も70を切ったことはない、そういう受験生なら、模試を受けるのは楽しくてならないはずである。そういう諸君はどんどん模試を受け、積極的にライバルと競い、どんどん賞品をもらって、悠々と東大や早慶に合格すればいい。
 

 しかし、受けるたびにミジメな思いを繰り返し、絶望と父や母との口ゲンカに悩まされるような人は、たとえ無料でも模試は「せいぜいで月1回」がいいと思う。「模試で自分の弱点を知る」「弱点を見極めてそこを補強する」とか言えば、それは確かに聞こえはいいが、偏差値50程度で模試を受けても、結局「全部が弱点だ」「弱点以外何もない」という滑稽な話で終わるだけである。
 

 少子化で浪人の数が減り、浪人をメインにした予備校経営は厳しい。現役高校生のうちにツバをつけておかないと、浪人生の確保が難しいのだ。だから、ある程度以上優秀な高校の生徒には、無料でも模試を受けてもらって、翌年浪人コースのダイレクトメールの送付先の資料にするのである。そういう予備校の経営戦術の犠牲になる必要はない。特に、誰をターゲットにしたのかわからない模試は、その傾向が強い。大学入試用の模試で、しかも浪人生中心の予備校が主催する模試の名前に「総合」とか「全国」とか、そういう言葉がくっついていたら、その模試はダイレクトメールの資料集めの色合いが非常に強いと思った方がいい。その証拠に、そういう模試を受ければ、大学に合格しても、3月には「浪人コースへのご招待」のダイレクトメールが送られてくる。

 

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(写真上:優秀なネコは音楽を愛する)


 今日からしばらくの間、ブログ冒頭に「いかにも受験生向けのメッセージ」という感じの記事を1つか2つ掲載する。今日ここまで書いてきたのがその例である。ブログ開設時から「これはオジさんのプライベートな日記である」「だから『受験生のみんなに熱いメッセージおくりまーす』みたいなことはあまり書かないようにする」としつこく繰り返してきたのだが、やむを得ない事情があれば、やむを得なくなる。「熱い」かどうかは別として、しばらくの間ブログ前半が「受験生へのメッセージ」や「受験生へのアドバイス」が多くなることをお断りしなければならない。
 

 やむを得ない事情とは、約束してあった本(学習参考書とは別の本)の原稿の締め切りがどんどん近づいているのに、その原稿が全く形をなさない状態で宙に浮いたままだという、大いにやむを得ない事情である。「まあ、来月末までなら何とかします」と言ったものの、実際にはそんな原稿なんか、なんにもない。全くなくて、何もなくて、音も匂いも影も形もない。ここまでなんにもないと、むしろ気持ちいいぐらい、ホントに、なあんにも、ないのだ。

 

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(写真上:優秀なネコは、四角い箱にピッタリハマる)


 という事情で、やむを得ずブログと本の原稿を少しだけリンクさせることにさせていただく。もちろん、ブログの内容を「そっくりそのまま」本にしたりすることはしない。それでは書いている私自身が全然楽しくなくなってしまう。リンクはあくまでリンクであって「こういうことを本に書こうかな」という程度のことを書くというだけのことである。
 

 最初にそういう断り書きをバカ正直に書く必要はないのかもしれないが、本のターゲットは受験生(中学受験や高校受験も含む)やその親御さんが中心になるから、文体も少し変化する。今日までの4ヶ月間は昭和の日本純文学の文体にこだわって書いていたのであるが、これから1~2ヶ月の間は(少なくとも前半部は)ぐっと読みやすく、段落分けも多くなる。ありゃりゃ、文体が全然変わっちゃったぞ。まるでHOW TO本みたいだぞ。そういう違和感を感じたら、それはそういういきさつのせいである。

 

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(写真上:優秀なネコは、新聞を愛する)


 しかし、旅行記の部分は、今まで通りの文体で書かせていただく。ここまでの4ヶ月で「コモ湖紀行」「ボローニャ紀行」「マッジョーレ湖紀行(前半)」を書いてきたけれども、旅行記はさらに「マッジョーレ湖紀行(後半)」「ニューヨーク紀行」「マドリード紀行」「ロンドン紀行」と続く予定で、なかなか終わりそうにない。こちらは受験生へのメッセージ性など全く受け入れる余地のない「オジさんの極楽トンボ日記」であって、極楽トンボには、今では誰も読まなくなった昭和純文学の文体が一番向いているのである。
 

 このブログは4ヶ月前に開設して以来、本来何の関係もない「日々の記録」部分と「旅行記」部分とを無理やり1つにくっつけて書き続けてきた。少し無理もあるのだが、私がそういう書き方が気に入っているのだから仕方ない。定期的に読んでくださる人も「日々の記録」ファンと「旅行記部分」ファンと「どっちも」ファンに3分化しているようである。これからはしばらくの間、前半と後半とで文体も大きく2分化することになるから、是非そうした文体の落差も楽しんでいただきたいと思っている。

1E(Cd) Deni Hines:IMAGINATION
2E(Cd) Sugar Babe:SONGS
3E(Cd) George Benson:TWICE THE LOVE
4E(Cd) George Benson:THAT’S RIGHT
5E(Cd) George Benson:LIVIN’ INSIDE YOUR LOVE
6E(Cd) George Benson:LOVE REMEMBERS
7E(Cd) George Benson:STANDING TOGETHER
8E(Cd) Chicago:CHICAGO
9E(Cd) Take 6:BEAUTIFUL WORLD
12D(DvMv) IN HER SHOES
total m41 y1430 d1430