Sat 080712 柏講演会 再びヴィラ・デステの庭園 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 080712 柏講演会 再びヴィラ・デステの庭園

 午後やや早い時間帯から夕立の気配があって、猛暑の代々木上原では14時には突風が吹き荒れ、15時には遠雷があり、30分後にその雷が頭上に襲いかかり大粒の雨が降った。こういう気配があれば、ネコもカラスも黙ってはいない。近所の武田さんのイヌも雲に向かって吠える。カラスが不吉に鳴き、イヌが怖がって吠えれば、ニャゴロワもナデシコも面白がって盛り上がる。

 

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 特にニャゴロワはナデシコを守る役柄。雲だってカラスだって、イヌだって雷だって、ナデシコをいじめるような下賎なヤカラは、このニャゴ姉さんが許しません。その迫力はまさに白獅子である。白ヒョウと化したニャゴロワの表情には、クマである私もたじたじだった。

 

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 しかしこの雨の降り方はすでに完全に真夏のものであって、梅雨は明けて夏本番になったという宣言のような雷雨である。千葉の柏で19時から講演会があるので、16時半には家を出たが、雷雨は千代田線と常磐線に沿って私を追いかけてきたらしく、18時に柏に到着すると、たちまち柏でも雷鳴が轟き突然の豪雨になった。豪雨は30分ほど続いて、お蔭で少しは涼しくなったかもしれない。


 昨日の向ケ丘遊園とは違って、人のたくさん集まる街である。常磐線と東武野田線が交差する乗換駅でもあり、常磐沿線の中核都市でもあるから、何しろ人が多い。駅前の構造が悪いせいか人の流れが駅の中で滞るようにできていて、駅の中はほとんど足の踏み場もないほどの大混雑になる。これほど人でいっぱいなのに、みどりの窓口には窓口が3つしかなくて、長蛇の列。博多から京都まで行く新幹線のチケットを1枚買いたいだけなのだが、これでは1時間もこの暑い中を待たされそうである。自動販売機でも買えるが、何と2台しか設置していない。うにゃにゃ。柏で買おうと考えた私が悪かったのである。
 

 人が集まれば、受験生も集まり、だから受験産業も花盛りになる。大学受験の予備校だけでも大手が2つ(何かのハズミで河合塾だけなぜか松戸なのだ)、中堅が2つ、中小零細まで数えれば何軒あるか見当がつかないほどである。立川・大宮・柏・町田・津田沼・藤沢、首都圏の外縁を囲むようにつながるそういう街は、必ず駅前を塾と予備校に占拠されて、何だかひどく暑苦しい。
 

 私の講演会場は、東進の柏校の中である。ビックカメラが占領した感じの旧「そごう」と三井ガーデンホテルとに挟まれた、暗い裏通りの歩道橋の下にある雑居ビルの3階である。東進としてはこの沿線の拠点校と位置づけているのだが、さすがにこの状況はつらすぎる。大手予備校は、看板をつけかえれば明日から総合病院にでもシティホテルにでも転用できそうな豪華な建物。中堅も負けていなくて、大手の真横に綺麗なビルを一棟まるまる借りての営業は、大手に一歩も引かない決意らしい。講演会場である雑居ビルのエレベーターを昇りながら、今日の講演は昨日の向ケ丘遊園とは別の意味で苦しいものになりそうな予感があった。
 

 講演会19時開始、終了21時。会場はほぼ満員で、いつものように大いに盛り上がり、120分爆笑を続けた会場は、最後はもうヘトヘトになった。「初めて東進に来てみた」という高校生も40名ほどいたが、2名を除いて残りは全て何らかの形の継続の意思を提示して(つまり申し込みを済ませて)帰った。ほぼパーフェクト。まあパーフェクト。自分の力量に驚くばかりである。うにゃうにゃ。
 

 ただし、どうしても寂しさが残る。講演それ自体はいつものようにベストでありパーフェクトであって、あれ以上の講演はどんな講師にも不可能というレベルなのである(うにゃうにゃ)が、それでも今日の講演には、ぬぐえない寂しさと、ぬぐえない不満とが残るのだ。ここは受験生のメッカといってもいい柏である。300名とはいかないまでも、せめて200名、それも無理なら「200名に迫る勢い」ぐらいは見せてほしかった。向ケ丘遊園・我孫子・与野・上福岡・大泉学園、そういう小さな校舎が、もともとよくない立地条件をはねのけて、必ず100名近い出席者を集めきる気概を示してくれるのに、拠点校でもあり受験生のメッカでもある柏の駅前で、そういう小さな校舎とそれほど変わらない(プラス30程度)参加者で満足しているわけにはいかないだろう。これからの奮起を期待する。

 

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 写真は、チェルノッビオの船着き場。5月18日、メナッジョからの帰りの船に乗っているうちに、雨が止んで薄日がもれてきた。皮肉なものだが、これはこれでいいのだ。この4日間は、大雨のコモ湖を堪能した。コモ湖には雨のほうが似合うようだし、雨にうたれて寂しそうなVillaのほうがより美しく湖に映える。何よりも湖を訪れた人々の押し黙った静かさが嬉しかった。少なくともこの湖には、遠足に訪れた騒がしい小中学生集団はふさわしくない。大雨のお蔭で、あくまで静かに、あくまで寂しく、コモ湖の美しさを味わうことができた。
 チェルノッビオで船を降りたときには、雨はすっかりあがって雲の間から青空も少しだけのぞいていた。写真はチェルノッビオの船着き場前広場。4日も続いた大雨の後の晴れ間で、人もイヌもカモたちもほっとした瞬間である。晴れていることに気づかずにまだ傘をさし続けている人もいたが、ジェラート屋やレストランの店主たちも「久しぶりに店を開けようか」と腰を上げ、背伸びを2~3回したところかもしれない。

 
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 もう1度ヴィラ・デステの庭園を見に行く。木々も芝生も激しい雨に洗われて、4日前よりも美しくみずみずしい。きれいに洗われたところを、久しぶりに顔を見せた夕陽に照らされて嬉しそうである。花も雪もないし、月も紅葉もない。あるのは静寂と、散策する人々の笑顔と、樹々の緑だけである。庭園の坂道をのぼりつめて、この4日間降り続いた大雨を集め激しく流れている滝を眺めた。

 

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 湖に向かってきれいな風が流れ、滝からは水しぶきが舞い上がり、樹々の間で鳥がさえずった。10日にわたった今回のイタリア旅行を締めくくるのには、雨上がりのヴィラ・デステの庭園が一番だったと思う。眠そうに樹々が揺れ、水しぶきが芝生を潤わせ、周囲の家々では夕食のしたくが始まって、穏やかに話し合う人々の声が遠い青い湖の波の中に吸い込まれていった。


 最後にぜいたくをするのも悪くないと考え、「ドレスアップ」と思われる服を着て、予約しておいた「ザ・グリル」に出かける。ドレスアップといっても、日本から持参したジャケットは12年前に梅ヶ丘の「紳士服のコナカ」で購入したものであり、シャツも12年前から代ゼミや東進の授業に出るときに使い続けてきたもので、クリーニングを繰り返したせいで布地が薄くなってペラペラである。海外旅行中の「ドレスアップ」などというものはこの程度でいいので、これ以上頑張ろうとしても、シャツの襟が固すぎて首を擦りむくか、履き慣れない靴のせいで足がもつれてひっくり返るぐらいがオチである。


 「ザ・グリル」については、特に書き記しておくほどのことはない。異常に難しい顔をして料理の説明をするウェイター、リゾット・ア・ラ・ミラネーゼを食べようと思って注文するとその皿の上にいかにも主人面してくっついてくる豚肉料理、異常に暗い店内、客の数よりたくさんウヨウヨしてやたらにワインを注ぎまくるウェイターたち。おかげで50ユーロのワイン1本が魔法のようにあっという間に消えてしまった。


 外は、月夜。雨は完全に上がって、半月と満月の中間の月がきれいに中空に浮かんでいる。ただし、写真を撮るには撮ったのだが、真っ黒の背景に半端な白い穴があいているだけで、正直何が何だかわからない。ブログに載せて公開するほどのものではなかった。


1E(Cd) CHAD Music from Tibesti
2E(Cd) AZERBAIJAN Traditional Music
3E(Cd) Vellard:DUFAY/MISSA ECCE ANCILLA DOMINI
4E(Cd) Philip Cave:PHILIPPE ROGIER/MAGNIFICAT
5E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/
EL CANCIONERO DE MONTECASSINO①
6E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/
EL CANCIONERO DE MONTECASSINO②
7E(Cd) RUSSIAN MEDIEVAL CHANT
8E(Cd) Philip Cave:CONONATION OF THE FIRST ELIZABETH
11D(DvMv) HAVOC
14D(DvMv) SPIDER-MAN 2
total m158 y498 d498