Wed 080709 松山講演会 大雨のベラッジョへ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 080709 松山講演会 大雨のベラッジョへ

 松山で講演会があった。朝11時のJAL便に乗り、12時半松山着。松山は梅雨あけしていて、すっかり夏の暑さになっている。このところ西日本と東京の往復が続いているが、これが真夏と梅雨との季節の往復でもあって、西日本にくればスカッとした真夏であり、東京に戻れば分厚い雲と時おり激しく降る雨に支配された梅雨の最中である。だから、何度か指摘した通り、その途中で飛行機の窓からみる上空の雲にも大きな変化があって、西日本の空港を飛び立ってすぐの空は濃い青だが、東京に近づくに連れて薄い雲が何枚も何枚も現れ、やがて飛行機の巡航高度より高いところにも1枚灰色の雲が薄く現れて、飛行機は少しずつ揺れ始める。今日は東京から松山に向かったのだから、この順番は逆になった。

 

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 宿泊は松山全日空ホテル。写真はホテルの部屋から見た真夏の松山城。山の頂上にごくわずかに見えるのが松山城である。松山空港から乗ったタクシーの運転手さんがとても柔らかな口調で話す優しいオジサマで、ホテルまで20分ほど、真夏の空を眺めながら高校野球の話で盛り上がった。愛媛県大会も明後日から開始なのである。もちろん私は愛媛県に家族も親戚もいないけれども、松山商・今治西・新居浜商・宇和島東、愛媛県のいかにも古豪の名にふさわしい高校が活躍するのが大好きである。最近は済美とか新しい強豪も現れて、どこが代表になってもおかしくない。四国はさすがに野球どころである。


 そういえば、昨年講演会で愛媛の新居浜を訪れたとき、参加者の中に大麻君という人がいて、主催者の話では今から30年前に甲子園で準優勝した時の名二塁手・大麻選手の息子さんだということであった。私が高校野球ファンになったきっかけが、中学生のときに見た大麻選手の活躍だったので、あの頃の新居浜商のユニフォームのグリーンのアンダーシャツとともに、たいへん懐かしく思い出した。大麻選手は、最近の高校野球のヒーローのように派手なホームランを打ちまくるのではなく、粘り強いセカンドの守備が身上。どんな打球が飛んできても魔法のようにグラブにおさめ、ヒット性のあたりを残らず平凡なセカンドゴロにしてしまう。愛媛県の高校野球と言えば、誰でも「松山商-三沢」の決勝延長再試合について口にするけれども、私にとっては大麻選手の堅実でかつ華麗なセカンド守備の姿が最も印象的である。


 講演会は19時20分スタート、21時終了。松山市駅そばの高島屋ローズホールが会場、200名ほどの参加で会場はほぼ満員になった。高校3年の生徒を一切招かず、高校1年と高校2年の生徒だけに限定して参加者を募った。私などから見るとこの姿勢は「やせ我慢」というか「ちょっと無理し過ぎ」である。この時期の高校1・2年生はまさに部活動の真っ盛り。平日の夜、しかも週の真ん中の一番疲れきっている夜に、夕飯を10時近くまで我慢して、授業と部活動で疲れ果てた身体を引きずっての参加である。そうまでして予備校講師の講演会などに参加するほど、心も身体も余裕がないだろうし、大学受験に差し迫った危機感も持っていないだろう。


 校舎スタッフとしては、やせ我慢しないで高校3年生をどんどん参加させてよかったのではないか。この時期の講演会では300名規模や400名規模のものが多くなるが、そのほとんどが高校3年生中心。ご両親や高校の先生が見学で多数参加されることも少なくないし、中学生の弟妹も参加、それどころか小学生の弟妹も出席して楽しそうに私の話に熱中していくことも多い。講演する私としても、せっかくなら参加者数は多ければ多いほど嬉しいのだし、聴衆がバラエティに富んでいるほうが、話をしていても楽しくかつ充実した時間が過ごせる。「的をしぼる」という考え方があって、今回のように「高1・2生に限定する」のはそのためなのであろうが、そのせいで返って話の幅が狭くなり「いかにも予備校の先生の授業」という平凡なものになりかねないのである。

 

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 200名の中には「今まで東進の授業を受けたことがない」という人も80人近く含まれていた。これも驚きである。この時期にこれだけ集めてくれたスタッフの努力は立派であり、まさに賞賛に値するが、初めて東進の講演会を訪れてくれた高校生諸君のやる気と積極性も実に素晴らしい。部活動のせいで時間通りに会場に駆けつけられず、やむなく遅刻した諸君も少なくなかったが、それでも最終的には大きな会場がほぼ満員になった。1時間半にわたり会場はたえず爆笑の渦だったし、真面目に聞くべきところはたいへん真剣な顔つきでノートをとってもくれた。これをきっかけにして、ぜひ学力の向上を実現し、高い志望校を目指すようになってほしいと思う。


 講演会終了後、東進スタッフと食事に出かけた。夜が更けても全然気温の下がらない松山のアーケード街を抜けて「居酒屋 品川」。5人座れば満員のカウンターと、小上がり3テーブルの小さな店で、カウンターで女将がお好み焼きや焼きソバを焼いてくれる。韓国風・広島風・大阪風、何でも自由自在である。東進スタッフの1人が完全におナジミさんになっていて、生ビールも自分で注いでしまうし、焼酎に入れる氷がなくなれば自分で外に買い出しに出る。十何年(二十何年かもしれないが)きっちり使い込んだ店と鉄板が、新しくはないがたいへん気持ちいい。他のお客さんのほとんどが帰ってしまい、一仕事終わって少し手があいたところで、女将もカウンターの向こうに腰を下ろして、4人で世間話をした。大阪の話、洗剤の話、まあ他愛ない世間話だが、大いに楽しく過ごせた。12時過ぎにホテルに戻った。

 

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 5月17日、昼近くまで眠ってシャンペンの酔いを醒まし、しばらく迷っていたが、やはりベラッジョBellagioに向かう決心をする。なぜ迷ったかといえば、窓の外では激しく雨が降り続いていたからで、私がシャンペンにほのかな好意を抱き、やがてその虜になり、周囲の目を気にしながらもシャンペンのもとに通い、批判的な視線をはねのけてシャンペンを自分のものにし、しかしやがて他の男の手に落ちるのではないかと杞憂に苦しみ、頭を抱え、口論し、あきらめ、最後には悲しい別れを迎える、という大恋愛物語を繰り広げている間にも、雨は一向に弱まることなく降り続いていたのだ。上の写真を見てみたまえ。これはこの日の午後3時過ぎにとったベラッジョの遠景。島影といい、湖の姿といい、空の色といい、垂れ込めた雲の様子といい、凶悪この上ないことに異論はあるまい。こういう場所に大雨をついて行ったほうがいいかどうか、酔っ払いならずとも少しぐらい迷ってもいいところである。


 「なんにもしないをしているところ」というプーさん的な過ごし方が出来ないで、我慢できなくなって雨の中を出かけていくのは、どういうものだろう。「なんにもしない」の練習をしたほうが良くはないのか。私はホテルの部屋で、今度はこういう葛藤を繰り広げた。簡単にいえば、こうやって酔っ払って寝ていたほうが楽であり、魅惑に満ちていたのである。部屋のミニバーにはビールだってワインだってあるんだし、スーパーで買ったオリーブも残っている。そういうものでこれから半日ゴマかしていれば、うまく夜になってくれるだろう。


 しかし、こうしてイタリアにいるのも、今日を入れて残り2日である。明後日には東京に戻らなければならない。うーん。うんにゃ。私が決心を決めたのは、結局そういう日本人観光客独特の思考のせいだった。ま、雨だけれども、ほとんど船に乗っているだけなのだ。昨日コモのフニコラーレ頂上駅近くで買ったフクロウのお土産をハンガーにぶら下げ、クルクル回してしばらくグズグズ遊んでから、ホテルの傘を借りてぶらぶら出かけることにした。写真はそのフクロウ。

 

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 ガイドブックには「ベッラージオ」と出ているが、地元の人の発音を聞いた限りでは「ベラッジョ」である。コモ湖は「人」という漢字の形の湖であり、コモの街はその左払いの先端。これから行くベラッジョは左払いと右払いの交わるところ。語感は良くないが、「人」の股間に該当する。これから雨の中「股間に向かう旅」をすることになるわけだが、この股間がいかにも遠い。チェルノッビオから、船で2時間以上かかる。その船も滅多になくて、1時間に1雙あるかないか。日本のローカル線と同じことである。写真はチェルノッビオの船着き場。山にかかった雲、雨の湖面、小さな船。これで本当にベラッジョに行き着けるのか、やはり不安がなくもなかった。

 

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1E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 1/6
2E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 2/6
3E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 3/6
4E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 4/6
5E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 5/6
6E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 6/6
7E(Cd) Quincy Jones:SOUNDS … AND STUFF LIKE THAT!!
8E(Cd) Dieter Reich:MANIC-“ORGANIC”
11D(DvMv) THE BOURNE ULTIMATUM
14D(DvMv) CRUEL INTENTIONS 3
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