Tue 080617 渋谷「田や」 ミラノのトリ丸焼き | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 080617 渋谷「田や」 ミラノのトリ丸焼き

 ちょっとバランスを崩していて、またほぼ徹夜。寝たのが5時過ぎ、起床10時。大学生じゃないんだからもう少し自重すべきなのだが、原稿を書くのでも何でも、真夜中をすぎて調子が出始め、明け方になるに従って絶好調になるのだから困ってしまう。さすがに夏至が近いだけあって、朝3時を過ぎるともう何となく朝の気配があり、3時半にはカラスが鳴き4時になるとスズメがさえずる。そこまでくると20歳代のクセと元気が復活し、この際せっかくなら朝まで、という気分になる。
 

 午後から吉祥寺1号館で授業収録2本。13時スタート、17時終了。今日で「B組2008年版」の夏期講習が終了した。繰り返しになるが絶好調で、長文読解問題の中級者用講座としては決定版といえるものに仕上がりつつある。今週の授業収録はここまでで終了。来週は高校1年生向けの「特別招待講習」5回分の収録である。
 

 夕方から渋谷で飲み会。相も変わらず東急プラザ9階に上がって、関西料理「田や」に入る。今日は板前もいて、オコゼ丸々1匹をのせた皿をもって挨拶してもらったが、注文したのはハモ湯引きと鯛カブトの蒸し物。さすがにオコゼ1匹を食べきる自信はなかったし(この店でのオコゼ料理は1匹まるまる買い取って、その1匹をオマカセで料理してもらうのだ)、隣の席のオバサマたちがオコゼのカラアゲにバリバリかじりついている、人生をかけたその必死の風情が、オコゼという魚に対する食欲を減退させたからである。
 

 深夜に帰宅。ナデシコは丸くなって一生懸命睡眠中(ただし写真は今年3月のもの)。このネコの可愛らしさは、何でも一生懸命だという点である。恐がりで引っ込み思案で、しかし電線にとまった鳥たちを見るのも虫を追いかけるのも、とにかく何でも一生懸命。食べることにあまり関心がないので身体が大きくならず、5歳になっても子猫のようだが、そういう仕草がまたいいのだ。

 
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 5月11日の記録はまだ終わらない。12日は朝からベルガモに小旅行の予定だから、朝食をとる暇がない。その分、早くHOTEL SPLENDIDOに帰って、夕食をしっかりとらなければならない。駅構内のスーパーで購入したのは、ビール4缶・オリーブをたくさん練り込んで焼いたグリッシーニ1袋・オリーブ1瓶・パルマハム・得体の知れないチーズなど。
 

 まず、買ったばかりの冷えたビールを1本飲み干して、天に昇った気持ちをしっかり味わう。イタリアでよく冷えたビールを手軽に楽しむには、これしかないような気がする。ちょっと高級なレストランで「よく冷やして」と要求でもしない限り、イタリアでキリッと冷えたビールに遭遇することはまず期待できない。言わない限り、バールのビールは少し生温い感じで、もう5℃でいいから冷やしてほしい、もう10分でいいから冷凍庫に入れて凍るほど冷たくしてほしい、そういう何ともいえない欲求不満の感覚に陥るのである。
 

 ましてやホテルの部屋のミニバーのビールなんか、ほとんど常温である。1缶5ユーロもだして、清水寺の舞台から飛び降りるような気分で、つまり800円もするミニバーのビールを開けて、それが常温だったりすると、もうそれだけで「もう日本から一歩たりとも出ない」と宣言したくなる。
 

 その点、スーパーで冷やしたてを買ってくれば、まあちゃんと冷やしたビア・モレッティが楽しめる。もう一つの代表的イタリアビールNASTRO AZZUROは、勘違いかもしれないが、いつ飲んでもちょっと塩辛いような感じ。モレッティの方は、缶のデザインも好きだ。20世紀前半のオジサンが大きなジョッキを嬉しそうに抱えている絵。モスグリーンの帽子がオジサンによく似合っていて、オジサンの顔を見るだけでビールがもっと旨そうに見える。

 

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 しかし、何といっても楽しみだったのは鳥の丸焼き6ユーロ。今日はクレモナ(写真はクレモナの駅構内)でも嬉しそうに鶏の丸焼きの包みをぶら下げた母子連れを見かけた。マントヴァでも同じような包みを抱えて電車に乗り込んできた人が何人かいた。よくは知らないが、鶏の丸焼きを食べる祝日なのかもしれない。


 ミラノのスーパーでも、昨日はなかったはずのショーケースの中に鳥の丸焼きが温められていた。「鶏」ではなく「鳥」と書くのは、果たしてそれが本当に鶏なのか得体の知れない鳥だからであって、鶏にしてはずいぶん小さいように思う。いつもなら用心して買わずに済ませるが、軽く30羽は入りそうなショーケースに3羽しか残っていなかったのが、ワナ。たった3羽しか残っていなければ、思い切って買ってみたくなるのが人情である。そこへ、イタリア人のカップルがやってきて、男性の方がいかにも頼もしげな動作で3羽のうちの1羽をとり、彼らのカゴに入れたのである。2人のうっとりした笑顔が、またワナ。残ったのは2羽だけである。これはどうしても負けてはいられない。意地でも買って、意地でも食わねばならない。2羽とも何だか黒く炭素化しているように見えたが、まあそのうち炭素化の進行度が低い方をケースからつまみ出して、カゴに入れて、颯爽とレジに向かった。


 まあ、それが大失敗だったことは論をまたない。部屋に戻って、日本から持参したプラスチックのナイフとフォークとを駆使しつつ、得体の知れないトリに立ち向かうこと20分。炭素化の進行度は軽度だったが、問題はその乾燥度。トリは丸焼きというよりも、激しい干ぼしの状態。干ぼしにして、それを忘れて、干ぼしにした自らの行動の記憶が完全に忘却の彼方に消え、1週間が経過し、何かの弾みで夢に「干ぼし」のすすり泣きを聞いて、慌てて部屋に持ちかえれば、きっとこういうトリになるだろう、そういうトリであった。とにかく、固いこと岩の如し。「どうしても明日までにアゴを鍛えておけ」という命令が軍隊の上官から出たというなら、このトリは素晴らしいトレーニングアイテムになる。ただし。食べ過ぎるとアゴが筋肉痛で動かなくなるかもしれない。「食べ過ぎ」とは、このトリの1/2程度のことであり、それがまさに私の食べた分量である。驚いたのは咀嚼につれて口の水分が急速に失われていったこと。この機能については、ようじ屋のアブラトリ紙もかなわない。そう断言する自信がある。

 

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 さて、さすがに長くなった。5月11日の記録はここまでに留めて、明日からは5月12日、ベルガモ小旅行の記録に移る。上の写真はベルガモ・バッサ(新市街)からベルガモ・アルタ(旧市街)方面を見あげたもの。今回の旅行のうち、前半のヤマ場と考えていた1日である。

1E(Cd) Surface:SURFACE
2E(Cd) Surface:2nd WAVE
3E(Cd) J.S.BACH/SILVIA(Cantata Opera in 3 Acts)1/2
4E(Cd) J.S.BACH/SILVIA(Cantata Opera in 3 Acts)2/2
5E(Cd) Schiff:BACH/GOLDBERG VARIATIONS
6E(Cd) Münchinger & Stuttgart Chamber:BACH/MUSICAL OFFERING
7E(Cd) Casals:BACH/6 SUITEN FÜR VIOLONCELLO 1/2
8E(Cd) Casals:BACH/6 SUITEN FÜR VIOLONCELLO 2/2
11D(DvMv) THE PELICAN BRIEF
14D(DvMv) KILLING ME SOFTLY
total m166 y166 d166