年明けてから数日、夜に雪が降ってきました。

そして今宵は真ん丸の月が。


いろんな仕事、人間関係のなかで、行き帰り、音楽を聴きながら空を眺めて歩く日課は変わりません。

とりわけ、ため息ついてることが多い。苦笑



時折起こるマイブームが、

2000年リリースされた「Star Suite」

発売当時これはアンダーグラウンド界隈で大ヒットでしたよね。懐かしい。

これを作ったのがMONDO GROSSOの大沢伸一さん、マンデイ満ちるさん、そしてJAZZTRONIKの野崎良太さんであるということも誇らしい。


当時まだ俺は19歳そこそこ。

ハナタレ坊主w


いまこの歳になり改めて、切々と語るマンデイさんの詞に潜っていくと、得も言われぬ感動があります。じーんとくる。刺さる。


というわけで、今回は聴きながら歌詞を追ってみようと。再発見があります。



ふるさと 
烏のように真っ黒な闇に包まれた 
あたたかな安息の海の中で泳ぎ 
彼女は世界に出て行く時が来たことを知る 
手が、光が、彼女を導き出す 
みどりの肌が冷たく手ごわいこの世の空気に触れ 
彼女と母親を繋いでいた絆が切られる 
そして彼女は初めて自分ひとりで息をする 
でも 決してひとりではない 

あっという間に 今日は明日になり 
すぐにも一週間が過ぎ やがてひと月、一年、五年と 
時間がどんどん過ぎていく まさに光陰矢のごとし 
すぐにも彼女は 
ゆっくりと浸れる思い出を 
たっぷりと抱え込んでいる 

ほかの子供たちの顔 裏庭を抜けた森の中にある 
秘密の隠れ場所 自分を守ってくれた古い彫像 
太陽の光を受けてきらきらと輝く 小川のせせらぎ 
それらは自分が過ごした世界はどんなだったかと 
彼女が白昼夢に耽る時に蘇る風景 


毎晩 彼女は光を求めて星空を見上げた 
自分を守り、魔法を叶えてくれる光 
無数の星、火星、木星 輝く未来を約束してくれた 

闇の中を流れ落ちる星 若く汚れを知らない無防備な心に 
彼女は願いをかける 次にどんなことが起こるのか 

そのことだけに胸をときめかせながら 


彼女の先祖達が築き上げ 
何世紀にもわたって受け継がれる伝統と文化を携えた 
過去の亡霊たちに取り囲まれ 彼女が願う事はただひとつ 
早く大人になって 皆の仲間入りをしたいということだけ 

新鮮で刺激的なイメージを満載した 
つるつるの紙のファッション雑誌が誘惑の手を差し伸べる 
古いものはつまらなくて退屈と彼女はみなすようになり 
新しくて未知のものだけを激しく追い求め 
見た目が派手なものに心を動かされ 
瞳の中に飛び込んでくるスターたちに目も眩み 
彼女は悟る 今こそ ひとり旅立つ時だと 
今度は たったひとりだけで 

到着して最初の夜 めまいを覚える 
都会のよそ者 どこへ行けど同じ空に 彼女は微笑みかける 
「星の光よ、輝く星よ 今夜私は星に願いをかける 
できることならば、願わくば 
今宵どこかであなたと出会えますように・・・・・」 

いったいどこに姿を隠してしまったのかしら? 
けばけばしいネオンの光に 
星たちはすくみあがり、呑み込まれてしまった 
その光は彼女にも激しく襲いかかり 正気を失わさせる 
彼女は緊張し 思わず防御体制をとってしまう 
彼女のからだがそんなふうになるのは初めてのこと 
自分はすでに一人前の大人で すぐにも勝負に出れるし 
新しい大地をその足でしっかり踏みしめられると 
彼女は思っていた ところがその彼女ときたら 
目をまわしている 
声高に話しながら偉そうに歩き回る人達を前にして 
彼らはくだらないことしかしゃべっていないし 
どこか急いで行くあてがあるわけでもない 
こんな世界は 彼女が求めていたものではなかった 

のべつまくなし動き続け 彼女の心を麻痺させてしまう 
口や脚や光の猛攻撃に 面くらい 
思わず彼女は逃げ出す 
そして今度はもっと素敵な夢に出会えるようにと願う 

彼女は 見えない 
見開かれた目 酔いどれた隣人 中身のないスローガン 
消沈する意気 わき起こる悲しみ 奪われた純粋さ 
引き裂かれた心 見捨てられた希望 人生の切れ端 
力をなくした夢 かつては重んじられたものの 
今となっては忘れ去られてしまっている行動規範 

そして 
彼女は 見えない 
鏡を見つめる 熱狂的になることもなく 
変わり行く自分の姿に 魂は反撃に出ようとしている 
真夜中の空のように暗い 瞳の向こうには仄かな光 

でも 彼女は見る 

都会の娘たち 髪をカールさせ その視野はあまりに狭く 
情緒も物事の見方も薄っぺら 空っぽで何もない場所では 
良心の叫びはうつろにこだまするだけで 
それすらまったく無視される 
次から次へとカタログを見せつけられ 
群れからはぐれてたちが悪くなった動物のように 
店から店へと忙しく駆け回っていては 
そして最後には落伍者になってしまう 
そしてお巡りたちはヒップホップに耳を傾けながら 
自分たちのへまを見つけ出そうとしている 
そして街の鼓動は ビートの激しさに恐れをなすあまり 
低くしわがれた声で伝えられる 
飢えや怒りの叫びが聞こえなくなってしまっているし 
リズムに込められたメッセージが 
理解できなくなってしまっている 
その代わりシニシズムの引き金に 手をかけ続けている 

彼女は あまりにもいろんなことを 見すぎている 
しかし自分が見たいと思うものは まだまだ見れていない 

川の向こう岸で 雷鳴が轟く 
一陣の風が吹いて 撒き散らされる木の葉は 
まるで羽が生えているかのよう 
雨に打たれると 
畳み込んだ自分たちの羽毛が溶けてしまうとでもいうように みんなは雨宿りできる場所を探して逃げまどう 

土砂降りの雨から 非難する場所を探して 
彼女はあてもなく駆け回る 飛び込んだのは高級な店 
最初は心動かされることもないが 
やがて彼女は陳列されている石の 
かたちや色や大きさに目が行く 

それは彼女の母国のものだ 
思わず屈み込んで手書きの説明文に目をやる 
そこには「癒しの岩」と書かれている 
そして値札を見て唖然とする 
それは彼女のレザーバッグの20倍の値段だ 

店内を見回し 

彼女は自分が子供時代に慣れ親しんでいたものに 
囲まれていることに気づく 家具から本まで 
そこにあるのがあたりまえと 
彼女が何とも思っていなかったものばかり 
それらがここでは商品化されて、汚されている 
彼女の母親がつけていたものとそっくりの 
儀式用のショールを見て 彼女の心はひどく痛む 
それはここでは少し手を加えられ 
ただのベッドカバーになってしまっている 
首を振る彼女の目にとまるのは 
木製の箪笥の上にちょこんと置かれた一枚の写真 
「聖なる空」と説明書きがついている 東から西へと 
その空に輝き渡る星のことなら 彼女は熟知している 

初めて彼女は悟る そして立ち去る 
自分が何を見失っていたのか気づいたのだ 
そして彼女は都会の生活に キスをして別れを告げた 

(コーラス) 
炎に限りなく近い場所 
見上げてごらん 
祈りを捧げるあなたの心に降り注ぐ 
太陽の光を感じるのよ 
そして星たちはあなたをよりすばらしい世界へと導き 
より気分を高めてくれる 
いつの日か 
空から流れ落ちる 
あなたとわたしがずっと願い続けていた夢を 
待ち受けながら 
あなたがあの炎なしでは 
いられなくなる時




ふるさと 
離れてから随分久しく思える 夜の息吹に触れようと 
たったひとり足を踏み出し 彼女は深くため息をつく 
自分が求めていたものは 全てふるさとにあったのだということに 
今まで見抜けなかったことに 悲しさを覚えながら 

脱皮しようと懸命になるあまり 
新しい皮がまだちゃんとできていないことにも気づかず 
予見できなかった未来に向かってまっしぐら 
何もわからず古い文化を拒絶して 
流砂のように危うい世界をよりどころにしながら 
自分がひとり立ちできる場所を見つけ出そうとしていた 

向きを変えるにも、あとはもう上を見上げるしかなく 
空を見渡し、彼女の目がとらえるのは 
ドロップほどの大きさのひとつの星 
夜空の無数の星の中でも 何の変哲もないものだが 
彼女ははっきりとわかる 
その星に自分の魂が映し出されていると 
そしてずっとしぼみっぱなしだった彼女の気力は 
待ちわびていた光を受けて大きく膨らみ始める 
彼女の感情をおしとどめていた門が開き 
とっくに消えてしまったと彼女が思っていた星に 
情熱が注ぎ込んでいく 

(コーラス)