名優ロビン・ウィリアムズについて | 金谷全朗の印象光景・ハッピーがそこにある!
名優ロビン・ウィリアムズの残念な死の知らせだ。
映画『グッドモーニング、ベトナム(Good Morning, Vietnam)』(1987)で演じた、DJエイドリアン・クロナウアー。
「グーーーーッド・モーニング、ベトナーーーーム!」と叫ぶ声が脳裏に浮かんで来る。


【8月12日 AFP】11日に死去した米俳優ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)さんの生前の発言の数々から皮肉の利いた発言や格言、せりふなどを抜粋した。

「ナヌ、ナヌ」──人気テレビシリーズ「モーク・アンド・ミンディ(Mork & Mindy)」でウィリアムズさん演じる宇宙人のあいさつ。

「コカインとは、『金儲けをしすぎているぞ』ということを気付かせるための神の手段である」──薬物乱用の危険性について。

「女性は絶対に核爆弾を製造しない。彼女たちは人を殺すことのできる兵器を決して作らない。彼女たちが作るとしたら、しばらく相手の気分を害する兵器だろう」──性をめぐる議論に対して。

「ほんのわずかの狂気だけしか与えられなかった。それを失ってはいけない」──コメディアンとしての自らの芸風について。

「何より、他界した父に感謝したい。私が俳優になりたいと話した時、『素晴らしいじゃないか。ただ万が一のために溶接のような技術を持っておけ』と言われたよ」──『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(Good Will Hunting)』の1998年アカデミー賞受賞スピーチで。

「(アルコール依存症の)リハビリは(ワイン生産で名高い米カリフォルニア州の)ワインカントリーで行ったよ。選択肢は残しておきたかったからね」──リハビリ期間についてのジョーク。

「君だって完璧から程遠い。彼女だって完璧じゃない。問題なのは、君らがたがいにとって完璧か。そこが大事なんだ」──『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でウィリアムズさん演じるショーン・マクガイヤ(Sean Maguire)が行った恋愛関係についてのアドバイス。

「グーーーーーーーーーーーッドモーニング、ベトナーーーム」──『グッドモーニング、ベトナム(Good Morning, Vietnam)』でウィリアムズさん演じるディスクジョッキーのエイドリアン・クロナウアー(Adrian Cronauer)のせりふ。(c)AFP


【8月12日 AFP】とっぴなスタンダップアクトと風変わりな宇宙人役で名声をつかんだ米オスカー俳優の故ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)──しかし、代表作で演じてきたキャラクターは、コメディアンとしての顔の裏にある苦痛の底深さを表していた。

 30年以上にわたってエンターテインメント界で活動し、11日に63歳で急死したウィリアムズは、マシンガンのように早口で連発する即興と物まねで知られた。

 演じる役柄は風変りなキャラクターが多かった。例えば、1970年代にスタートし出世作となったテレビシリーズ「モーク&ミンディ(Mork & Mindy)」で演じたひょうきんな宇宙人モーク(Mork)や、コメディー映画『ミセス・ダウト(Mrs. Doubtfire)』(1993)で扮(ふん)したおばあちゃんメイドに変身したバツイチの父親などだ。

 声まねの腕前も度々披露し、ディズニー映画『アラジン(Aladdin)』(1992)で魔神ジーニー(Genie)の声を演じた際には、数々の有名人の声まねを連発した。

 一方で、影のある役柄も演じきった。『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(Good Will Hunting)』(1997)で演じた、心に傷を負った天才青年の精神分析医となり心を通わせていくショーン・マクガイア(Sean Maguire)医師役もそのひとつだ。

 ハリウッドで大成功を収め世間にも広く知られるようになったウィリアムズだったが、私生活では度重なる薬物やアルコール、心の病との闘いに苦しんでいた。

■アルコール依存と闘った30年

 2010年に英紙ガーディアン(Guardian)が行ったインタビューによると、第1子が生まれた1980年代初めに、一旦はアルコールとコカインを断った。しかし20年後、2003年に米アラスカ(Alaska)州で撮影を行っていた際に再び酒を飲むようになった。

 ウィリアムズはインタビューで「当時は働き詰めで、『(酒を飲めば)楽になるかも』と考えた。この世で最低の行いだったよ」と明かしている。しかしこの時、薬物には手を出さなかったという。

 再び飲酒をやめられたのは3年後、家族がリハビリ施設へ入所させてからだった。本人によれば、酒を飲み続けたのは2人目の妻との約20年にわたる結婚生活が破綻したことが原因だった。

 その後、2009年の心臓手術がウィリアムズの真の分岐点になった。「バリアが破られる。文字通り、よろいが割られるんだ。どうしようもない。自分がこじ開けられ、自分は死を免れられないことを思い知らされる」

 ウィリアムズは双極性障害を患っているという報道もある。今年7月には、1年半にわたる過酷な撮影の後で酒に手を出さないようにするためにミネソタ(Minnesota)州のリハビリ施設に入所した。

 ウィリアムズが演じた最も有名な役柄のひとつが、映画『グッドモーニング、ベトナム(Good Morning, Vietnam)』(1987)で演じた、ラジオ番組の冒頭で必ず「グーーーーッド・モーニング、ベトナーーーーム!」と叫ぶDJエイドリアン・クロナウアー(Adrian Cronauer)だった。ウィリアムズはユーモアを持ってクロナウアーを演じたが、米国が介入し泥沼化したベトナム戦争を舞台にした作品は、コメディーとは言い難かった。