↑この補足説明です。

台湾　折江財閥（せっこうざいばつ）とは

蒋介石の国民政府を支えた上海の民族資本。

　せっこうざいばつ。

中華民国の国民政府・蔣介石を支持した、上海を本拠にする浙江省・江蘇省出身の金融資本の総称。海外の帝国主義諸国の大資本と結び、中国経済を支配した民族資本家の代表的な例である。同時に彼らは、上海の租界において外国商社との特別な関係を結んで成長してきた買弁資本の最も成功した例である。

　浙江財閥を構成したのは、宋子文・孔祥煕・陳立夫・蔣介石のいわゆる四大家族とわれる人々で、彼らは高級官僚の地位を利用して投資に成功し巨富を蓄えたもので、官僚資本などとも言われる。

共産党の進出に恐怖を感じ、国民党の右派を支援して反共に転じさせた。

１９２７年、北伐の途次にあった蔣介石が、国共合作を放棄して上海クーデターによって共産党に大弾圧を加えたのも、このような財閥の意向が背景にあった。

その後も国民党蔣介石政権と癒着しながら、上海を中心に勢力を強め、１９３５年の通貨統一（幣制改革）でさらに独占体制を確立した。

Episode　華麗なる宋姉妹　浙江財閥の代表的な存在である宋子文の三人の姉妹はそれぞれ有力者と結婚して著名であった。

一番上は同じく財閥の孔祥煕の妻、二番目の宋慶齢は孫文の夫人、下の妹の宋美齢は蔣介石の夫人となった。

そのうち、宋慶齢と宋美齢は対照的な生き方をすることになった。

宋慶齢は蔣介石と対立、孫文の三民主義の理念を継承する民主勢力の代表として、中華人民共和国の副主席となり、１９８１年に死去した。

宋美齢は西安事件で夫の蔣介石救出に大活躍し、戦後は国民政府の要職を歴任し、アメリカ生活が長く英語に堪能であったので外交で活躍した。

後にアメリカに渡り、２００３年に１０３歳で死去した。

神戸大学経済経営研究所新聞記事文庫中国(11-069)
神戸又新日報 1930.5.2 (昭和5)

蒋介石を脅かす折江財閥とは

これに見離されたら木から落ちた猿

支那国民政府の総帥蒋介石の没落が突如として喧伝され出した、

その理由のもっとも大きなものは蒋と浙江財閥との離間である、

即ち浙江財閥の援助によって今日の大をなした蒋は同閥から見離されることによって当然没せねばならぬ、

かつての孫伝芳の轍をそのまま踏んで……というのである

折江財閥とは一言にいえば上海を中心とする江蘇、浙江両省の資産家階級の通称である、

であるからいわゆる浙江財閥の概観は上海財界の概観ともいい得る

まず金融界には新式銀行として中央、中国、交通、四明、浙江興業、漸江実業、中華商業、勧業、勧工、中国通商、正大等の外に中央、通易の二信託公司がいずれも浙江出身の銀行家に支配されている

、また新式銀行と勢力的に対する銭荘も大部分の資本主と従業員が浙江省人なかんづく寧波、紹興出身者で固められている、

上海一般実業界では石炭、染料、銅錫、金物、木材、航運、機械、建築、海産物、人参、洋紙、南北雑貨などの各業は殆ど浙江出身者によって壟断され

また茶、外国雑貨、生糸、呉服、綿布、綿糸、砂糖、雑穀、油脂、陶磁器、鉄などの各業も浙江出身者が多数をしめている

紡績業では徐慶雲の大豊紗廠ほか三、四は完全に浙江人のものであり、栄宗敬（江蘇無錫人）の由新紗廠や郭標（広東人）の永安紡織公司をはじめ各紡績は一つとして浙江財閥の金融資本の援助によってたっていないものはない、

浙江閥に対する広東閥の銀行、銭荘百貨店、煙草会社などもことごとく浙江閥の金融資本の援助を仰がねばならず

いわんや江蘇、上海財閥はすでに浙江財閥の大傘下に包含されて意義を見出している、

浙江財閥の総本山はいわゆる上海総商会で固北商会上海県公会、上海銀行公会、上海銭業公会等はいずれも浙江財閥人によって左右されている。

厳篠芳、周金咸、朱篠三、宋漢章、伝篠庵、麌洽卿、方椒伯、沈聯芳、王暁籟、王一章、銭永銘、張公権，盧学博、秦潤卿等が交互に浙江財閥をもりたてて来た巨頭である、

国民政府と浙江財閥とを繋ぐものに張静江がある現代財閥の大御所であるとともに国民党の元老であり全国建設委員会を主宰している、

財政部長の浙子文も広東生れの浙江人である、陳其美、銭永銘、王正廷、陳其采など国民政府の要人は悉く浙江財閥と密接な関聯をもっているものである、

国民党と浙江財閥との互助的援助が双方今日の大をなしたものだが国民政府がその軍費の調達のために発行した夥大な国庫券が殆ど浙江財閥のみで引受けられてたいことを知るものはその窺知すべからざる富力と、もし蒋介石が同閥から見はなさるるとせばその瞬間に没落のやむを得ないことを充分了解できる。

データ作成:2003.10 神戸大学附属図書館