宮崎正弘氏の情報ですが、新たな連載が始まったので転載します。
知らない世界を文章で知る
第三部 暴走老人、地球の裏側へ(その15) 第三部の最終回
第十五章 アイルランド
▼岩肌、曠野でバイキングとケルトの戦いがあった。名残りが各地
かねてからダブリンに行きたいと思っていた。
理由は至極単純で、ジョイスの『ダブリン市民』を読んで強い刺戟
ジェイムズ・ジョイスと言えば『ユリシーズ』のほうが有名だが、
ユリシーズは多くの人が翻訳したが、丸谷才一訳のものを筆者も途
あまり長いので、全部読み切れなかった。
ジョイスはダブリンを「腐敗の特異な臭い」と譬喩した。
その腐敗
「日差しの明るい朝だった。
橋の笠石の上に乗って、勤め人をいっ
散歩道に沿った高い並木の枝枝が、すべて小さな淡緑の若葉で華やいでみえ、日の光はそこを
橋の花崗岩の石が暖かくなりかけ
こうした古めかしい文明の風景は消えていた。
まことにダブリンは緑の多い街である。交通網が縦横に発達してお
いずれも敷地が広く、緑豊かであり、日が昇ると市民がどっと湧く
日中、誰もいない日本の公園とは違って子供が賑
ジョイスのトルゾは「聖スティーブンソン公園」の南端にあり、美
街の中心部には聖パトリック教会(「ガリバー旅行記を書いたスィ
この大学はエリザベス女王一世によって1592年に設立された。
キャンパスの中に世界最古の福音書(『クルズの書』)をガラスケ
この図書館を見るために朝から長い行列ができていた。
もちろん内部を見学したが、天井の高い書棚は立ち入り禁止で、新
ソクラテス、プラトン、ベーコン、そしてバークも。
ひとりひとり
▼トリニティ大学の正面玄関の立像はエドモンド・バーク
トリニティ大学正門にはエドモンド・バークの銅像が聳えている。
バークは日本のような左翼教授の強い大学では人気がないが、政治
レーガン大統領も愛読した。
日本に最初にバークを紹介したのは金
筆者はこの場所をゆっくりと撮影した。
さてトリニティ大学の裏門をでるとすぐに見つかるのが国立美術館
欧州の多くの美術館が無料開放であるように、ここも入場料金は無
運良くじっくりと観賞する機会に恵まれた(
ことほど左様にダブリンは芸術の街でもあり、ジョイス、ワイルド
ダブリンでもう一ケ所有名な「観光地」はギネスの工場だ。
見学コースがあって、入場料金も12ユーロと高いが、屋上レスト
ここもまた新宿歌舞伎町の雑踏のごとし。
お土産コーナーにはギネスのロゴが入ったシャツ、帽子、コースタ
勢いに押されて筆者も「
▼タラの丘、石棒は縄文の祭器と同様に男根を象徴する
翌日、北へバスで三時間、「タラの丘」を見に行った。
伝説のタラ王に因み、アイルランド独特のハイクロスの十字架、そ
「こころの故郷」
入り口に屹立するタラ王の銅像とて後世の想像による彫刻だからち
高台の草原にぽつねんと屹立する
三日目にはもっと西の海岸まで足を延ばした。
バスで三時間半、途
飛鳥の石舞台も墓だが、この奇岩は緑のな
殺風
その昔、こんな不毛の荒野をめぐってバイキングとケルトが戦った
マンスター州の「モハーの断崖」は観光名所、世界中から年間百万
鳴き声が不気味だ。雨の日は強風に煽られ、呼吸も出来ないほどと
観光センターは洞窟風で岩に組み込むように建築されていて、その
寒いのでジャンバ
ダブリン滞在中に椿事があった。
2018年7月19日、トランプ大統領の訪英を迎え、BREXI
これは地元紙にも大きく報じられたばかりか、欧米各紙が問題点を
EUから離脱すれば、アイルランドと北アイルランドの
なぜなら現時点では北アイルランドは英国の構成国であり、そのた
入国審査がEU諸国で一番厳しいのは、むしろアイルランド共和国
両国の違いはカソリック(アイルランド)と英国国教会派(プロテ
1913年、英国内に留まろうとする義勇軍と独立志向の義勇軍と
その内戦の最中に第一次世界大戦が開始されたため、双方は大英帝
アイルランドは英国と独立戦争を戦って、主権国家として存在する
IRSなどのテロ活動が活発だったのは、北アイルランドでは首都
アイルランドでは首都ダブリンもテロの対象となって、爆弾が炸裂
そうした苛烈な激突がつい先年まで繰り返されていたのだ。夕方、
ダブリンはジェ
ジョン・F・ケネディ一家も先祖はアイルランド人だ。大統領時代
繁華街から抜け出すと河の両岸がスラム、どことなくオランダの「
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下記の書き込みがありました
次の連載が始まればまた紹介します
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(編集後記)
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「地球の裏側」と一口に言っても、山のようにたくさんの国があり
ガラパゴス、イースター島については拙著『地図にない国を往く』
また南太平洋の島々(フィジー、パプアニューギニア、トンガ、バ
旧ソ連圏のウクライナ、ベラルーシ、トルクメニスタン、グルジア
ほかにジャマイカ、タヒチ、ニューカレドニア紀行は、この連載で