ツイッターで「本を読むペース」を聞いてみた。
大体の人が遅くても小説を読む人は…1日に100ページは読むらしい。
僕の5倍は早い。
最近、広島カープの投手として引退を迎えた黒田さんの一冊
「決めて断つ」を読んだ。
すごく興味深くて、
すごく勉強になった。
だから僕的にはその1冊を超速!
「わずか2日」で読み終えたけど…
大体の人のペースに照らし合わせると、それは「遅い」ってことになる。
早い、遅いが問題じゃないのはもちろん分かる。でも凹む。
僕自身は、
漫画でも1日に100ページ読めん。
小説だと50ページくらいがギリ。
週刊マンガ雑誌でも、5ストーリーも読むとその後は、
目が文字を理解できなくなって来て、
目から文字が滑り始めて若干模様に
見えて来る。
我ながら読む筋肉が細いって話。
ついでに伝わる文章書ける
スキル欲しい。
下記は―、
これ文章として人に伝わるんかなぁ
とか書き進めているうちに
分からなくなって来てる奴の
冒頭(4ぶんの1)です。
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「18時 千代田区 有楽町」
まさか山手線・京浜東北線・東海道新幹線…その他何本もの電車が頭上を走る高架下の居酒屋で「大事な話」をすることになるとは―。勇太にとっては「本当に大事な話」なだけに、会話が聞こえないと困る…と危惧したが、気持ちがあれば案外聞こえるものだ。確かに最初、「髪切ったんだ?いつからショートに?しかも茶髪て」と振った話へ美佐代が返してくれた二言三言は聞きづらかった。でも、人間の耳は賢いもので、注文したビールが来るよりも前に当初気になったゴーーーー!ガタガタガゴーーーー!タガタガタゴー!と複数の電車が線路を滑走する音の方こそが気にしないと気にならないほどになってきた。
・・だからと言って、美佐代の声が「聞こえやすい」わけではもちろんない。だからだろうか、お店の備え付けのテレビが映している「野球中継」を見ながら、隣のテーブルで1人一杯やっている「大きな黒縁眼鏡のおじさん」の声はデカイ。独り言なのにデカイ。さらには顔もデカイ。面長で大きなメガネを大きな支えている鼻もデカイ。とにかくデカイおじさんは、まだこんな時間なのに、すでに酔いが回っているのか大ジョッキに注がれた焼酎を片手に「阪神はあかんで。ほんま」と何度も繰り返している。その声だけは、今なお勇太の耳に強引に飛びこんでくる。電車の通過音より気になるほどのその声に、つい眉間に一瞬、キュッとしわを寄せ「阪神の話とかどうでもいーっつの。ここ東京だっつの!」とぽそりつぶやいてしまった。そんな自分自身のイライラ気分を考えるとやっぱり「もう少し場所を選びたかった」と思ってしまう。でも美佐代の方から「ここでいいんじゃない?ね?」と来たから仕方がない。だって今日は・・・半年ぶりの再会!!
「会ってもらっている立場」の勇太に店を選ぶ選択肢があるわけがない。会ってもらえているだけでまずは感謝なのだ。まして、久々に会って店を決めるまで線路沿いを並んで歩いている間に、以前と変わらない優しい笑顔で入るお店を提案されながら「ね?」といわれて一瞬、ギュンと込み上げてしまった時点で自分の気持ちを再確認した。
「やっぱりやり直したい!」
とにかく目の前の彼女と復縁したいというのが素直な気持ちだ。そもそもなぜ別れを切り出されたのか、せめてその理由だけでも教えてほしい。この「大事な話」を切り出すタイミングをさっきからずっと考えているが、考えれば考えるほどそれが難問に思えて来る。
―タイミングっていつなんだろう?
―そもそもタイミングって何なんだ?
―間の悪さも君のタイミング?
なんていう人もいるが
そんな風に構える余裕ない!
・・と考え過ぎて今では、いろんな思いがループしている。結果、もう「タイミングとか知らねぇし!」と強引に腹をくくって「あのさ・・」と口にした。
・・・が瞬間、これ以上ないタイミングで店員が割って入る。
「生2つお待たせしましたー。
中ジョッキひとつと
小ジョッキひとつですねー。」
―今の間の悪さはありえないわ。。。
勇太は内心苛立ったが、混み始めた店内を回すことに気を取られつつある兄ちゃん店員はそんなことに気付くわけもない。流れ作業で「あと、こちらお通しですねー」と続け、小鉢をテーブルへ適度な乱暴さ加減でポンと置いていった。小鉢の中には「里芋の煮転がし」が小さな皿の中に3つ転がっている。その横には里芋がコロコロしないための予防なのかマカロニサラダが数本詰められている。勇太は眉間に一瞬シワを寄せた。勇太の務める広告代理店の入っているビルからこの店まで10分とかからない距離だが、ここで飲むのは初めてだった。線路下の居酒屋―。個人的には全体的な乱雑さがどこかしら、自分よりも2周りは年上、昭和30年代までの「おっさん」達のためのお店な気がしていた。それは、いい意味でも悪い意味でも。ただ、この「里芋の煮っ転がしとマカロニサラダの同居小鉢」は悪い意味でのイメージが当たった形だ。仕方なく「普通、皿分けるよな・・」と呟きながら、2つの味が混ざる前にマカロニを全部ビールを飲む前の口へほおりこんだ。口に広がったその味は、思ったよりも美味かった。芯が残ってて食べ応えがありむしろ美味い!とはいえ、店員に「大事な話」のタイミングを奪われたことは間違いない。ここは仕切りなおしだと心に言い訳し、マカロニを飲みこんだ後、中ジョッキを手に美佐代に声をかける。
「半年ぶりの再会にとりあえず乾杯。トリカン!」
「乾杯」
美佐代は短く答えて、視線をこちらに向けることもなくスマホをいじりつつ小ジョッキを合わせてきた。が、勇太は気にせず2人にとっての半年前までの「2人のいつもの」だった音頭を続ける。
「とりあえず乾杯。トリカン!
今日は飲むっしょ!朝までぇえ?」
この後は乾杯しながら「飲み続け!」とコールするのが「通常」だ。
でも、今夜の美佐代はそれには乗って来ず、代わりに短く切り捨てた。
「無理。だから小ジョッキに
したんだし。ね?」
若干興ざめしつつ、言い返してしまう。
「…分かってるよ。でもさ…今のは
いつもの掛け声じゃん。
そこは合わせようよ」
「間違えないで?いつもの掛け声
『だった』だから。
今はもう違うし。
私達もう、そういう関係じゃないし。ね?」
「…ただの挨拶みたいなもんじゃん。
違う?」
少し強めに言い返してしまった自分自身に瞬間的に後悔しつつ、美佐代の反応を待ってみた。が、どんな言葉も返ってくる気配はない。そして視線もいまだ、スマホに向かっている。今の彼氏(?)あたりとやり取りしてるのかもしれない。でも…そこを問いだす資格は今の勇太にはない。どうしようもできないまま、ただただただただ不安だけがよぎる中、勇太はまたこちらから会話を切り出す。
「美佐代さぁ、
こういうガード下の店
…こっち住んでた時
よく来てたの?」 (つづく)