- 『いのちのバトン』という本を紹介します。「命」について、考えさせられる本です。
著者は、志村季世恵さんです。志村さんは「癒しの森」という治療院で、主に整体を受け持つ夫と手分けして、心のケアを受けもつセラピストです。出産前後の母親の心身のケアや出産への立ち会い、自閉症などの問題を抱える子供や家族全体のセラピー、そして末期ガンなどで避けられない死を迎える人のターミナルケアもしています。様々な形で「いのち」と向き合う仕事をしていて、死をも新しい誕生(バース)と見ているので、自らを「バースセラピスト」と呼んでいます。
- いのちのバトン
彼女の本の中で感動した部分を引用してみます。
- いのちの誕生と死。どちらも両極端なところに存在しているのに、どこかつながりがあることを感じています。死は終わりではない・・・・。
死んだ後、私たち残された人に宿るあの「いのちのバンド」をどう説明したらいいのでしょう?
私は何度も見てきました。故人の何か尊いもの、願いややり残したもの、そんな「いのちのバトン」が残された人に託されるのを。やがて渡されたバトンは種となり、芽吹き、そして受け取った人とともに前へと進んでいきます。もちろんどんな人も「いのちのバトン」を渡すことはできるし、そのバトンを受けとめて芽吹かせることができます。今この瞬間も私たちは、どこまでも続けられる長い長いリレーのバトンを受け継いでいるのですから。
乳ガン末期の女性・優子さんとの会話
「ねぇ、もし死んだら・・・・死んだ後、優子さんは何がしたい?」
「死んだ後?」少し驚いて顔を見上げます。
「私ね、いつも思うの。自分が今、もし死んだとしてもね、自分がこんなに愛する人がいるのだから、死んでもその愛までは消えることはないだろうって・・・。体は消えても、愛する思いは消えない。だって今でも体は見えるけれど、愛とかって、目には見えないじゃない。だからさ、形には見えないほどすごいものは残るんだよ。私は父親を亡くしているけれど、父に愛されていたその思いは、今でも確かに残っている。会うことはできないけれど、年を重ねるたびに父の愛はさらに深く感じる。それにね、私は自分が死んだら真っ先に父が迎えに来てくれると思っているんだ」
志村 季世恵
