さて、昨日のブログ記事で予告したとおり、本日は「close」のお話からです。
昨日も、締めくくりのところでも触れましたが、closeは「閉じる・ふさぐ・打ち切る」という意味がある他に「親しい・近い」という意味を持っています。
ちなみに、マーケティングの世界では、特定の商品やサービスを買ってくれている「お客様」だけを相手にしたキャンペーンを「クローズドキャンペーン(Closed campaign)」と呼び、商品を買っているかいないかに関わらず、世の中の人全般=「消費者」が参加できるキャンペーンを「オープンキャンペーン(Open campaign)」と称します。
対象となる人が「限定された(=closed)」人か、「広く公開された(=open)」人か、の違いで区分けされているわけですが、前者で使われているのが「閉じる」方の「close」ですね。
また、売り手側の人が、見込客の人にあれこれセールストークを展開して、その人を「その気」にさせ、最終的に財布からお金を出して商品を買わせる(あるいは、昨今のデジタルマーケティングの世界で言えば、カートに入れるボタンではなく、その一歩先の【購入するボタン】を押させる)ことを、やはりマーケティング用語で「クロージング(closing)」と言います。ここでは「閉じる」というより、「締めくくる、終結させる (広い意味での“閉じる”)」のcloseから派生している用語であるわけですね。
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一方、私たち日本人にやはり馴染んでいるのが「クローズアップ」の「close」です。日本国の天下の公共放送、NHKの看板番組も、この「クローズアップ」という言葉と「現代」という言葉を組み合わせたタイトルをつけて、毎週毎週(火曜・水曜・木曜の3曜日に)夜10時から「深刻めな話題」を取り上げているくらいです。
(この番組は、NHKワールド・プレミアムでも放送配信をしているので、海外在住の方も もしかしたらご覧になっているかもしれませんね)
そんな大層な番組のタイトルにも使われている「クローズアップ」は、英文表記でいえばもちろん「close up」。ここでの「close」は「接近した・近い(物理的距離)、親しい・親密な(対人的距離)」を表す形容詞です。
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ここまで、約1000文字ほど無駄に字数を使って、「closeの意味がややこしい」という話をふくらませてきました。 が、実は本題はここからです。
もう毎度おなじみの「英会話スクールの新宿校」(←ハイ。今かなり日本国でのニュースの中心となっている「新宿エリア」です)でレッスンを受けている時に、教材テキストに次のような文があったのです。
「Their clothes were dirty and crumpled.」
(彼らの服は汚れてしわくちゃになっていた)
私は、この文を口に出して読み上げる番にあたっていたのですが、なんと「clothes」のところで(あれ、これなんて読むんだったっけ?)と立ち止まってしまいました。
0.8秒ほどしどろもどろしたしたあげく「クローズィーズ…」と読んだら、コワモテで有名なJ先生が (“人差し指を1本立てて、それを左右に振る” という、いかにも欧米人がよくやるジェスチャーをしながら)
「No! [klóʊz]!」
(これは クロ ウ ズ だ)
と訂正してきたのです。
さらにJ先生が教えてくれたのは、これがあの「close」と同じ発音だとのこと。
「cloth」(布、服地←これの発音は「klˈɔːθ クロス」)の複数形の「clothes」(服)が、「閉じて、締めくくって、近くて、親しいclose」と同じ発音だという話を聞いて、私は、またちょっと面食らったのでした。
しかも、これはかれこれ去年の夏頃のこと。
一年近く経って、このブログ記事を書くうえで改めて思い出したところで、私は「clothes」をまた「クローズィーズ」と(「es」の語尾を強く意識した読み方で)読み上げていたことに気が付きました。
我ながら、進化の跡がまったく見られません ○| ̄|_ ○| ̄|_ ○| ̄|_
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ところで、「close」(近い)の対義語は「remote」(遠い、離れた)です。
このコロナ禍のなか、働き方改革として実に脚光を浴びている「リモート」ですね。
テレビ番組も『アンコール特集』とか『傑作選』といった再放送ばかりではモタないのか、『リモート特別編』的な企画を超たくさん打ち出しています。
テレビの出演者が (ニュース番組でも、バラエティでも) 誰もが皆、 自宅のカメラの正面に座った姿で出演する時代となってきました。(←画面は2分割とか4分割とか6分割とか…)
ラジオ(そう、私はいまだに Radikoではない「ラジオという音声配信機器」を持っていて、ときどき自宅で聴いています)でも、パーソナリティがゲストと対面してトークするのでなく「リモート」(←おそらく「電話」)経由で話をするというスタイルが多くなっています。
そういう場ですっごく気になる表現がありまして。
それは…
「今日はコメンテーターの●●さんにリモートでつながっています!」(テレビでよくある系)
「今日はシンガーソングライターの▲▲さんにリモートでつながっています」(ラジオでよくある系)
リモートで、つながる。
Remote(遠くかけ離れた)で、つながる。
どうも、大変に違和感を感じています。
言葉として、まあ聴視者に意味は通じるのでしょうが、生真面目な私は
それ、
どうも言葉として
間違ってますから!!
ザンネン!
と、切って棄てたいところです。
(調べたら「Remote Connection」とか「Connect to remote」とか「Connect remotely」という言葉なら間違っていないようです)
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