眠狂四郎女妖剣
1964年 日本映画
監督 池広一夫
脚本 星川清司
原作 柴田錬三郎
出演 市川雷蔵
⚫︎あらすじ
将軍の娘・菊姫が淫欲とアヘンに溺れ、江戸の美女を連れ去ってはアヘン漬けにし、殺す悪事を重ねていた
菊姫と結託してアヘンの密輸を黙認されている豪商・備前屋
その背後には隠れキリシタンの存在も絡んでいた
狂四郎は、川に浮かんだ美女の死体を目にし、事件の真相を追いはじめる
備前屋は狂四郎に、アヘン密売や隠れキリシタンの情報を握られるのを恐れ、様々な刺客や女スパイ、巫女などを差し向けて狂四郎を暗殺しようとする
しかし狂四郎はそれらの罠を巧みにかわし、浜松へと旅を続けた
道中、狂四郎は隠れキリシタンのピルゼン志摩と出会い「自分が狂四郎の出生の秘密を知る存在であり、実は狂四郎の血縁に関わる因縁深い間柄」だと言う
狂四郎と志摩は一時的に心を通わせるが、志摩もまた備前屋と結託して信徒を売っていたことが明らかになる
狂四郎は備前屋の密輸船に乗り込んで、次々と敵を斬り倒し、最後は志摩が色仕掛けで迫るも、狂四郎は彼女も斬り捨てる
「自分は無頼の徒、お前なんぞ平気で斬れる」と冷たく語るのだった…
⚫︎無頼(ぶらい)とは?
社会のルールや秩序を無視して、勝手気ままに生きる人を指します。やくざや暴力団員のような、反社会的な存在を指す場合もあります。
または、頼るべきものがない状態や、期待通りでないものを憎んで言う言葉としても使われます。
狂四郎は無頼と呼ばれていました。キリシタンと日本人の間に生まれた異端児です。鎖国体制の江戸では異国の血を引く者は蔑まれ、正統な武士の社会から排除されていました。
また武士でありながら藩や幕府に仕えず、俸禄も受けず、漂泊しながら気ままに生きています。
江戸時代の価値観では「主家を持たない侍=無宿・無頼の徒」と見なされ、秩序の外に置かれる存在でした。
狂四郎には「この世は虚しいもの」という徹底した虚無観があり、権力にも名誉にも価値を認めず、欲望や陰謀に走る人間たちを冷ややかに見つめる姿勢は、体制に従う武士とは正反対な存在です。そんな孤立した立場が「無頼」の印象をさらに強めたんですね…
⚫︎狂四郎の生きた時代とは?
江戸幕府11代将軍・徳川家斉(とくがわいえなり)の時代。
1787年(天明7年)〜1837年(天保8年)で天保の改革や寛政の改革など、幕政の揺れ動く約19世紀初頭が描かれており、明治維新まで残り40年ほどの時代です。
これはNHK大河ドラマ「べらぼう」蔦屋重三郎の生涯(1750年~1797年)を描いた田沼意次の政治時代と重なります。10代将軍・徳川家治(とくがわいえはる)の次の将軍の時代なんですね。
⚫︎感想
狂四郎は無頼で最強の剣士。
だからこそ、御家騒動などの権力争いや、豪商などからの金の陰謀にも巻き込まれることなく、ただ悪を斬ることができるヒーローなんですね。
親もいなければ、家も無い。
当時、御家のために何でもする時代に、誰とも繋がりを持たない狂四郎なら好き勝手に生きていても迷惑をかけることが無かったともいえます。
狂四郎が暴れても御家が断絶されることが無い。
だって狂四郎には家なんてありませんから。
そして頼る人もいない狂四郎は、すべて自分で考えて、自分の力で歩んできたんです。
そういう人は身勝手な感じもしますが、基本的に強いですね!
誰にも頼らず、1人で剣の腕を磨いた狂四郎。
そこがカッコいいんですね!
