沈黙の艦隊 東京湾大海戦


2023年 日本映画

監督 吉野耕平

脚本 高井光

原作 かわぐちかいじ

出演 大沢たかお



⚫︎あらすじ


海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」が米軍の原潜と衝突沈没し、艦長の海江田四郎ら乗員76名全員が死亡したと報道される


だが実はそれは偽装で、海江田率いる乗員たちは密かに日米が極秘に建造した日本初の原子力潜水艦シーバットに乗艦していた


海江田はシーバットに核ミサイルを搭載し、米軍・日本政府の指揮下を離れ逃亡


そして独立戦闘国家「やまと」を名乗り、国家元首として世界に宣言する


米国は海江田を核テロリストと認定し、太平洋艦隊を動員して「やまと」撃沈を狙う


一方、日本の竹上総理大臣は対話を模索し、海自ディーゼル艦「たつなみ」の艦長・深町洋は執念で「やまと」を追跡する


やまとは巧みな操艦術と原潜の性能、核兵器を武器にアメリカ海軍に立ち向かい、世界の緊張を高めていく




海江田艦長

「我々は自らをも滅ぼす核を持ちながら、撃つことも出来ずに睨みあっている。核保有国が互いに牽制し合うことが、戦争の抑止につながるとアメリカは言った。たかが半径5キロのこの海域に、私は世界の現実を詰め込んだ。あなた方はこの現実を見つめなければならない。我々は独立国やまとの建国を宣言する」


内閣官房長官

日本はずっと頭を下げてきた。また百年顔色をうかがいながらヘコヘコしていくのか?それじゃ、この国は永遠に変わらない」


アメリカ大尉

「アメリカは日本の自衛隊に攻撃するぞ」


海江田元首

「日米同盟の化けの皮が剥がれますね」


(ニュースで「やまとは核弾頭を搭載している」と好評する)


アメリカ大統領

「日本は核保有国になったと言うことか」


ニュース

「今アメリカは東京湾でやまとに武力行使しています。これは世界政治の在り方を根本から崩す行為ではないでしょうか」


アメリカ大統領

「アメリカを悪に仕立てる気か」


内閣官房長官

戦闘に善も悪も無いですよ!米軍が攻撃を続けるかぎり海江田は核弾頭を撃つかも知れない、あなたは核戦争を望んでいるんですか?」


アメリカ大統領

「シーバット計画は中止、この損害は全て日本が賠償責任を負う」


日本国総理大臣

「両国で決めたシーバット計画は、日本も損害を受けたのは同じため賠償責任は無い」


アメリカ大統領

飼い犬に手を噛まれるとはこのことだ


内閣官房長官

「大統領、日本はシーバットの核保有を懸念している。日本は海江田との対話を希望している、相手の意見も聞かずに沈めるのがアメリカのやり方ですか?」


シーバット内の米軍大佐

「最初にミサイルを撃つのは誰か、それは戦争を引き起こすのは誰かという意味か?」


海江田元首

そんなことは歴史を見れば明らかですよ。大国が正義を振りかざして侵略するのです


(アメリカは威嚇射撃を発射し、日本の自衛隊艦に当る)


海江田元首

「長きに渡る日米同盟に終わりを告げた」


(それでも日本はアメリカに発射しない)


海江田元首

「やはり日本は武器を持っていても使えぬ国らしい。いい国だ、ぜひ同盟を結びたい」


日本国総理大臣

話し合いによる平和的解決を求めます


アメリカ大統領

米国はシーバットをテロリストとみなし軍事的解決を試みる。日本はテロリストと手を結び軍国化するのか?


(シーバットからトマホーク発射、シーバットからの攻撃を聞き、アメリカは会談を中止して立ち上がる)


内閣官房長官

「大統領!あなたはシーバットが核を使用することを望んでいるんですか? アメリカは唯一の核兵器使用国だ、被爆国である日本人に核を撃たせることで汚名を消せるとでも思っているのか? この会談は対話にはなっていない、アメリカの思惑を押し付けようとしているだけだ! 犠牲のもとに平和など実現しないことを、あなたは考える必要がある


アメリカ大統領

正義をなすには力が要る。これまで日本が平和を享受していられたのが誰のおかげか考えるべきだよ



⚫︎感想


考えさせられるセリフ満載です。世界大戦前、欧米列強は植民地時代でアフリカ大陸、インド、インドシナ、フィリピン、中国と迫っていました。


中東のペルシャ(現イラン)は強国だったため、欧米列強は陸路を避けて、海路でアジアに侵略してきました。


そんな中、アジアで唯一立ち上がったのが日本です。


しかし資源の乏しい日本は、資源輸入を止められ、アメリカに徹底的に空襲され、世界初の原子力爆弾を投下されました。


敗戦した日本はアメリカに統治され、アメリカの言うことを聞いて生きてきました。そういうタブーとされてきた内容をフィクションとして描いた作品なんですね。


原子力潜水艦「シーバット」は、海のコウモリという名にふさわしく音を頼りに戦う潜水艦です。海江田艦長は音を自在に扱いながら敵を翻弄させていきます。またシーバットにはイソップ童話の内容から日米どちらにも属さないという意味もあるようです。


*『鳥と獣とコウモリ』

鳥と獣が争っているとき、コウモリはどちらの味方が有利かを見て、優勢な方に加わって戦いました。しかし、戦いが終わると、コウモリのその節操のない態度が両軍に知れ渡り、「ずるい」「信用できない」と非難されてしまいます。結果として、コウモリは両陣営から追放され、暗い洞窟に身を隠し、夜だけ姿を現すようになりました。