回路


2001年 日本映画

監督 黒澤清

脚本 黒澤清

出演 加藤晴彦

   麻生久美子

   小雪


⚫︎あらすじ


観葉植物会社に勤める工藤ミチ(麻生久美子)は、同僚の田口が突如自殺したことをきっかけに、身近な人が次々と黒い影を残して消えていく異変を知る


一方、大学生の川島亮介(加藤晴彦)は、パソコンに「幽霊に会いたいですか」と表示される不気味なサイトに強制的にアクセスされ、そこから謎の映像や幽霊を目撃するようになる


彼はパソコンに詳しい春江(小雪)と共に調査を始めるが、春江もやがて精神的に蝕まれていく


街では人が次々と姿を消し、世界は静かに滅びへと向かっていた。やがてミチと亮介は出会うこととなり、互いを支えながら荒廃した街からの脱出を図る


絶望する春江を救えぬまま、二人は船で逃げ出し、海上を漂うわずかな生存者に合流する。しかしそこでさえ、亮介の存在は「黒い跡」として溶けてゆく





⚫︎感想


死んだ人があの世に行ってはみたものの、あの世はもう人の霊が溢れてしまっていて飽和状態だったんです。


あの世に居場所が無い霊が、この世に居場所を求めて出て来てしまうんです。


赤いテープで封印された中に居た霊は、インターネット回線を使って、この世との接点を見つけます。


インターネットが普及してきた時代に、部屋に引き篭もりパソコンに向かう若者たち。


そんな人たちはインターネットの中で旅をしたり、インターネットの中で勉強したり、インターネットの中だけのコミュニティを作ったりしています。


誰とも接しないで、部屋に閉じこもりパソコンに向かっている……。それってもはや霊と同じなんじゃない?


人と人とのつながりが断たれ、孤独と死の世界が電脳を通じて拡散する。タイトル「回路」は、電子回路と人間の心の回路、そして生と死を隔てる見えない境界を意味しているんだそうです。


人間が死んだら魂があの世に行くとして、あの世の容量の限界を超えたらどうなる?という背景があって、なにかの切っ掛けで死んだ魂=幽霊が現世への通路を見つけて侵略してくる、という話。


要するに、どんどん人が死んでいって飽和状態となったあの世がこの世に滲み出してくるという感じです。


あの世のスペースを増やすために幽霊は、人を身代わりにしなくてはいけません。するとその身代わりにされた人は死ぬのではなく、存在そのものが消去されちゃうんです。


ただ、そうなる前に死んでしまえばあの世の住人だから消去される事はない、と考えて自殺してしまう人もいたようです。


死後の世界の人口密度が増えて、現世にはみ出てくる……。うーん、これってお墓にも同じようなことを感じるときがあります。


地球上の土地の大きさは同じなのだから、時代の流れが進むと当然遺骨の数が増えて、飽和状態になりますよね。


どこかで遺骨を処分して大地に戻していかないと、やっぱりお墓の場所が大きくなっていって、生きている人の土地にはみ出してくるってことになりますよね。



黒澤清監督のホラーはいつも難解ですね。

 ↓