激突
1941年 アメリカ映画
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 リチャード・マシスン
出演 デニス・ウィーバー
スピルバーグ監督のデビュー作。大型トラックに煽られ、緊張しながらスピードを上げて逃げる主人公にずっとずっとハラハラ…
⚫︎あらすじ
セールスマンのデヴィッドは、商談のためカリフォルニアのハイウェイを車で走っていた
途中、前方を走る大型タンクローリーを追い越すと、追い越されたタンクローリーは激怒したかのように速度を上げ、デヴィッドの車を執拗に煽り始める
最初はただの道路トラブルだと思っていたが、トラックはデヴィッドの行く手を阻み、力ずくで道路の外へ押し出そうとしたりして、徐々に狂気と殺意をむき出しにしていく
デヴィッドはカフェに逃げ込み、客の中にいるはずの運転手を探そうとするが、相手の顔が一切分からない
理由のない見えない恐怖に、デヴィッドは精神的にも追い詰められていく
再び始まった終わりのない追跡のなか、執拗な体当たりや待ち伏せを受け、ついにデヴィッドの車のエンジンは限界を迎える
絶体絶命の窮地に陥ったデヴィッドは、逃げ切ることを諦め、トラックと正面から立ち向かう決意をする
決死のデヴィッドは崖を背にして車を急停車させ、突進してくるトラックに向けて車を激突させる
激突する直前に車から脱出したデヴィッドに対し、制御を失った巨大な怪物は、デヴィッドの車を巻き添えにしながら、激しい音を立てて崖下へと転落していった
沈みゆく夕日のなか、静まり返った崖の淵で、デヴィッドはただ一人呆然と座り込み、戦いの終わりを噛み締める
⚫︎感想
スピルバーグのデビュー作です。
大型トラックに煽られ、緊張しながらスピードを上げて逃げる主人公にずっとずっとハラハラしながら見続けました。
まるでヒッチコック映画ようです!
まぁ〜〜「シツコい」「シツコい」
もうひとつおまけに「シツコい」
大型トラックなので、登り坂では遅くなり距離を空けたと思ったら、自分の車から白い煙が上がって、スピードが遅くなってしまうんです。
「ラジエーターホースだ!」
そう、さっきのガソリンスタンドで、点検した際に注意されたばかりのところ!
そんなスピードが出ない車なため、下り坂でデヴィッドはニュートラルに入れて走るんです。
【エンジンプレーキ使用】の注意看板…
タイヤホイールのカバーも外れ
そして行き止まり…
ハラハラドキドキがずっと続きます
名作です!
「ああいうトラックにだけは絶対に出会いたくない」と思う映画です。
⚫︎ラジエーターホースって?
エンジンを冷やすための冷却水(クーラント)が通るゴム製のチューブのことです。エンジンは走ると猛烈な熱を持ちます。ラジエーターホースが破れて冷却水が漏れると、エンジンを冷やせなくなり、最終的には熱でエンジンが焼き付いて動かなくなります(オーバーヒート)。
昔はエンジンとラジエーターを繋ぐだけの単純な一本道のホースでした。そのため、熱や経年劣化で硬くなったり、逆にブヨブヨになって突然破裂(バースト)することがよくありました。
しかし現代のホースは、非常に熱やオゾンに強い合成ゴムが使われており、さらに内部に強靭な繊維を編み込むことで、圧倒的に破れにくくなっています。そのため、映画のように「走行中に突然パンッと破裂する」というトラブルは現代では非常に稀です。
ひとむかし前、よく高速道路で脇に停車し、ボンネットを開けて白い煙を出しているジャガーを見たことがありました。
高級車ジャガーはカッコいいんですが、高温多湿でノロノロ運転の多い日本の道路には合っていなかったのでしょう…。
⚫︎実在していた殺人トラック
1970年代〜1980年代のアメリカでは、実際に殺人トラックが多数居たそうです。
広いアメリカでは、州ごとに警察や法律が違っていたため、州をまたいで長距離を走る大型トラック運転手の中に殺人鬼や無法者がいたようです。
前の州でヒッチハイカーや若者を乗せて、次の州で殺し、そのまた次の州で遺体を捨てるという事件が複数件もあったようです。
だれも助けてくれる人のいないアメリカの道で、ああいうヤカラに出会ってしまったドライバーは最悪ですね…。
日本でも未だにアオリ運転をして事故を起こしすようなドライバーが多数実在します。防犯カメラや車載カメラの普及で減ってきている感じはしますが、映画のような性格のドライバーが消滅したわけではないです。
シリアルキラー(連続殺人鬼)という言葉は、このアメリカの長距離殺人ドライバーから生まれた言葉なんだそうです。
映画では、暴走トラックのフロントには数々の車のナンバープレートが貼り付けてありました。あのナンバープレートの数だけ生けにえになったということなんです。
連続殺人鬼(シリアルキラー)には「自分が殺した獲物の記念品を持ち帰る」という特有の心理(トロフィー精神)があるんですねぇ…。こわ〜い。
