クレオパトラ
1963年 アメリカ映画
監督 J・L・マンキーウィッツ
脚本 J・L・マンキーウィッツ
出演 エリザベス・テイラー
古代エジプト最後の女王クレオパトラの波乱に満ちた生涯と、ローマの権力者たちとの愛憎劇を描いた歴史スペクタクル映画
⚫︎あらすじ
紀元前48年、政敵を追ってエジプトに上陸した共和制ローマの英雄ユリウス・カエサル(シーザー)の前に、王位争いが続くエジプトの女王クレオパトラがじゅうたんに包まれた姿で現れます。
クレオパトラの美貌と知性に魅せられたカエサルは、彼女をエジプトの単独統治者へと後押しし、2人は深い関係となって子供(カエサリオン)をもうけます。
カエサルの協力を得てエジプトの全権を握ったクレオパトラは彼との間に息子を授かり、エジプトとローマを統一する強大な帝国の誕生を夢見ます。
ローマに戻ったカエサルはクレオパトラをローマへ呼び寄せ、圧倒的な権力を握りますが、独裁を恐れた元老院議員らによって暗殺されてしまいます。
カエサルの死後、ローマの権力はオクタヴィアヌスや腹心の将軍マルクス・アントニウスらに引き継がれます。
クレオパトラはエジプトを守るため、新たなる権力者アントニウスを誘惑し、二人は深く愛し合うようになります。
しかし、この関係はローマの若き指導者オクタヴィアヌスとの対立を深めることになります。
ローマとエジプトの結合を警戒するオクタヴィアヌスとの間で戦争が勃発し、アクティウムの海戦でアントニウス軍は敗北します。
追い詰められたアントニウスが自害したあと、クレオパトラもまた、ローマの捕虜となる屈辱を拒んで毒蛇に自らを噛ませ、波乱に満ちた生涯を自ら閉じます。
巨大な野望と愛に生きた女王の死により、プトレマイオス朝エジプトは滅亡します。
⚫︎感想
クレオパトラ、4時間におよぶ長い映画でした。とても豪華な建物の中での撮影は大変そうでお金が掛かってたんだろうとなぁと感じました。
エリザベス・テーラーの演じるクレオパトラは、美しく威厳がありました。80年代に「六本木心中」を歌ったアン・ルイスにちょっと似ていました。
クレオパトラは美貌を武器にして、当時最大勢力だったローマに対して、なんとか支配されないように、対抗しようとしていたんだろうなぁと思いました。
⚫︎女王は弟に命を狙われていた⁈
クレオパトラがいたプトレマイオス朝エジプトは、代々王位を争い親子兄弟で殺し合うという血生臭い一族でした。
父親が亡くなった後、当時18歳だったクレオパトラは、10歳ほど年の離れた弟のプレマイオス13世と形だけの結婚をし、共同でエジプトを治めることになりました。
しかし、弟の後見人(側近)たちは、聡明で自分の思い通りにならないクレオパトラを邪魔に思い、彼女を失脚させて殺そうと画策します。
だからクレオパトラは絨毯に巻かれて隠れてローマの英雄シーザーに助けを求めたんですね。
⚫︎クレオパトラはギリシャ系?
クレオパトラ7世がギリシャ系(マケドニア系)だったのは、彼女の先祖がアレクサンドロス大王の武将のプトレマイオス1世で、彼がエジプトを支配してプレマイオス朝を開いたからです。
紀元前332年、古代マケドニアのアレクサンドロス大王がエジプトを征服しました。大王が若くして亡くなった後、彼の巨大な帝国は部下たちによって分割されました。
王家の人々は権力を守るため、兄弟や姉妹同士で結婚することが多く、ギリシャ・マケドニア系の血筋が強く保たれました。
首都アレクサンドリアはギリシャ文化の中心地として栄え、王宮の公用語もギリシャ語でした。
古代エジプトのファラオと、クレオパトラは全く別の家系なんですね!古代エジプトは、アレクサンドロス大王に征服され、その後ローマ帝国に征服され、イスラムに征服され、オスマントルコに征服されたんですね。そして大航海時代となりイギリスが支配するんです。
⚫︎ナイル川の氾濫で潤うエジプト
毎年夏になると、ナイル川の上流(アフリカ奥地)で大雨が降り、エジプト全土に洪水が起きました。この洪水は街を破壊するものではなく、上流から栄養分をたっぷり含んだ黒い土を運んで周囲の砂漠に優しく浸したのです。
水が引いた後の土地は、肥料もいらず、軽く耕して種をまくだけで、他の地域の数倍の小麦が収穫できました。つまり、「砂漠のど真ん中に、毎年自動で世界最高の畑が作られるシステム」があったため、莫大な余剰小麦が生まれました。
国土の左右が不毛な砂漠だったため、他国から簡単には侵略されませんでした。軍事にお金をかけすぎず、何千年も農業と富の蓄積に集中できたのです。
この小麦が、当時の地中海世界(世界経済)における「基軸通貨」のような役割を果たし、ローマの英雄たちをもひざまずかせる財力となりました。
⚫︎ヨーロッパの5つの波
第1「ギリシャ」
アレキサンダー大王
東洋へ拡大、エジプト・ギリシャ王国の誕生
第2「ローマ」
ジュリアス・シーザー
地中海統一、クレオパトラの滅亡
第3「アラブ」
ムハンマド&ウマル
イスラムの誕生、地中海の南北分断
第4「トルコ」
メフムト2世&スレイマン1世
ローマの完全滅亡、イスラム世界の最高峰
第5の波「イギリス」
ヴィクトリア女王
産業革命、地球規模の海の支配
アレキサンダー大王やシーザーだけが有名なのは、私たち日本人が、西洋中心の歴史教育だからです。シェイクスピアの演劇や、ハリウッド映画の影響を受けているからです。
また、イスラム世界では「人間の姿をリアルに描くこと(偶像崇拝)」が厳しく制限されていたため、絵や彫刻がほとんど残って無いことも、一つの要因です。
そして第三の波は、イスラム教という宗教で広がったため、特定の国が無いというのも、つかみづらい要因です。しかもサウジアラビア、シリア、イラク、エジプトなど中心地を点々としたため第四の波トルコのような特定の国がありません。
第3の波だけは、特定の国ではなく、「アラビア語とイスラム教」という文化のOS(基本ソフト)を広げた波だったと言えます。だからこそ、今でも中東から北アフリカにかけての広い地域が、国は違えど同じ「アラブ」という共通の仲間意識で繋がっているのです。
クレオパトラは美貌と知性を持ち合わせたエジプトの女王だったようです。
ヨーロッパには5つの波があって現在の形になりました。
アラブ世界とはアラビア語を話し、アラビア文化を持つ人々の地域ですが、イギリスやフランスなどの強国が線を引いて、22の国に分けただけなんですね。現在はアラブ連盟というEUのような形でまとまっています。
アメリカ映画ばかり見ずに、アラブ圏の映画も見ないとダメですね!
