老人と海


1958年 アメリカ映画

監督 ジョン・スタージェス

脚本 ピーター・ヴィアテル

原作 アーネスト・ヘミングウェイ

出演 スペンサー・トレイシー



作家ヘミングウェイの「老人と海」を映画化した作品です。晩年のヘミングウェイはキューバで釣りをしていたんですね。



⚫︎あらすじ


キューバの老漁師サンチャゴは、84日間も獲物が捕れない極端な不漁に見舞われていた


周囲の漁師たちから「運が尽きた」と見放される中、彼を慕う少年マノーリンだけが唯一の心の支えであり、老人の味方だった


85日目の朝、老人は決意を胸に、一人で遠い海まで小舟を出す


すると、彼の仕掛けに見たこともないほど巨大なカジキマグロが針に掛かった


ボートを強引に引きずり回すカジキとの壮絶な死闘は、3日3晩に及んだ


老人は限界まで体力を消耗し、両手を血に染めながらも、漁師としての誇りと執念をかけて見事にカジキを仕留める


しかし、本当の試練はここからだった


あまりの大きさに舟に乗せられず、獲物を小舟の横に縛り付けて港へ戻る途中、血の匂いを嗅ぎつけた獰猛なサメの群れが次々と襲いかかってきたのだ


老人はオールやナイフを手に必死に応戦するが、多勢に無勢


ついに力尽き、港にたどり着いたときには、あの大物カジキは頭と巨大な骨だけの姿になっていた


疲れ果てて小屋で眠る老人


しかし、海岸に残された巨大な骨を見た村人たちは彼の偉業に驚嘆し、敬意を表す


目覚めた老人の傍らには少年が寄り添い、再び一緒に海へ出ることを誓うのだった





⚫︎感想


ヘミングウェイの有名な物語の映画化です。


実は何度か見たことがありましたが、特に感じるものも無く、獲った魚がサメに喰われてしまうぐらいに感じていました。


でも、歳をとってから見るとまた少し違った感覚で見ることができました。


年老いた漁師は「運を売ってる店があればな」と、ぽつんとつぶやきます。


ちょっと共感してしまいます。


そして何とか粗末な家にたどり着き、そこに少年がやって来て「運なら僕が持っている」って言ってくれるんです。


歳には勝てない漁師を、若い少年がサポートしてくれるんです。


なんでもヘミングウェイは、氷山理論とやらを持っていて、本質はかたらず、ただ淡々と表現する書き方をする作家なんだそうです。


記者をしていたヘミングウェイは、第一次世界大戦時には赤十字の救急車運転手に志願して重傷を負ってしまいます。そのせいもあって単に「悲しい」だとか「つらい」だとか言う表現が嫌いだったそうです。


ヘミングウェイは第二次世界大戦で従軍記者のあと、アフリカでサファリをしたり、晩年はキューバでカジキ釣りをして暮らしたそうです。



そのころのキューバは、アメリカの植民地で、アメリカ人の歓楽地でした。  


アメリカ人が楽しんでいるのを、貧困なキューバ人が見ている感じだったようです。


そしてキューバ革命が起きるという、そんな時代背景があったんですね。



⚫︎ヘミングウェイ

1899年7月21日〜1961年7月2日(61)


戦争や冒険で死と隣り合わせの人生を送ったアメリカの文豪です。

高校卒業後に記者を経験した後、第一次世界大戦に赤十字の救急車運転手として志願し、イタリア戦線で重傷を負います。戦後はパリへ渡り、戦争で心に傷を負った「ロスト・ジェネレーション(失われた世代)」の若者たちと交流しながら頭角を現しました。

スペイン内戦や第二次世界大戦に従軍記者として自ら飛び込み、戦場の過酷な現実を執筆に生かしました。

アフリカでのサファリ(狩猟)や、晩年に移住したキューバでの大物釣りを愛し、男らしくタフなライフスタイルを貫きました。

1952年に自身の狩猟体験やキューバでの生活を元に「老人と海」を発表し、ピューリッツァー賞とノーベル文学賞を受賞します。

二度の飛行機事故による後遺症や、うつ病、アルコール依存症に苦しみ、1961年に愛用の猟銃で自ら命を絶ちました。



⚫︎氷山理論(ハードボイルド文体)

「本当に重要なことはあえて書かず水面下に隠すことで、逆に読者の想像力に強く訴えかける」という考えでした。

「悲しかった」「嬉しかった」などの内面描写をほとんどしません。登場人物の「具体的な行動」や「短いセリフ」、周囲の「情景」だけを淡々と、短い文章で積み重ねます。ヘミングウェイは文学も氷山のように8分の1だけを書き、8分の7を読者に感じ取ってもらえるように考えていました。

ヘミングウェイは戦場での体験から「悲しかった」と書くことは、安易に感情を説明し、読者に押し付ける行為にすぎません。それよりも「血がにじむ両手」や「震える指先」という事実だけを正確に書きました。



⚫︎ロストジェネレーション

迷える世代、失われた世代とも呼ばれる、若者時代に第一次世界大戦を経験して、国や大人たちの言う価値観を「みんな嘘だ」と見失った世代。

彼らは、国家の正義やキリスト教的な道徳といった「大人たちの綺麗事」を信じて熱狂的に戦場へ赴きました。しかし、そこで目にしたのは、大量破壊兵器によって数千万人の若者が泥沼の中でただ理不尽に虐殺されていく悲惨な現実でした。

ヘミングウェイが自身の出世作『日はまた昇る』の冒頭にこの言葉を引用したことで、世界中に広まりました。



同じ世代の作家の作品です↓