対決
原作 月村了衛(つきむらりょうえ)
医大入試で女子生徒だけ、一律減点していたという、実際にあった事件の闇を描いた作品です。
⚫︎あらすじ
日邦新聞の社会部記者・檜葉菊乃(ひば きくの)は、私立の統和医大で政治家息子の裏口入学疑惑を追う中で、さらに衝撃的な噂を耳にします。
それは、入試の採点過程で女子受験生の点数を一律に減点し、合格者数を操作しているというものでした。
自身の娘も医学部を目指して猛勉強中であり、自らも男社会の新聞社で不当な扱いに耐えてきた菊乃は、この不正を暴くべく執念の調査を開始します。
彼女が標的に定めたのは、大学の事務局から異例の抜擢で理事となった女性、神林晴海(かんばやし はるみ)でした
当初、神林は組織を守るために冷徹に追及をかわしますが、彼女自身もまた、男性優位の医療現場が抱える過酷な現実や、組織の因習に翻弄されてきた過去を持っていました。
⚫︎感想
面白くて考えさせられる作品でした。医大入試で女子一律減点という、実際にあった話しです。
しかしこれらの不正の背景には、作中の神林晴海が語るように「女性医師は結婚や出産で離職しやすく、過酷な当直体制を維持するためには男性医師を確保しなければならない」という、医療現場の深刻な人手不足と労働環境の歪みがありました。
これって難しい問題です。男女平等と、実際の生物的な男女の違いがある以上、多少は仕方ないような気もしてしまいました。
ですが作中の神林晴海の弟は医者になって、過労死してしまっているんです。要するに、女子は医大から落とされましたが、受かった男子は過労死してしまっていたんです。
神林晴海は「医者を救わなければ、患者も救えない」と考えていたんです。そのため不正入試と医師不足の解消という狭間で悩んでいたんです。
神林理事はこう言ってました。
「自分は間違ってない、と信じてる人を変えようとするのって、凄く骨が折れます」
「私、幕末の時代劇が好きなんです。若い人たちが皆んなで国の未来を考えていたなんて凄いことです。でも一方で会津藩のように昔から続いてきたものを守ろうした方、どちらにも正義はあったんです」
そうなんです神林理事は、古い考え方の医者たちと、新しく医者を目指す女子生徒たちとの狭間で悩みながら改革しようとしていたんです。
こういうのって確かにありますよね。
ちょっと違うかも知れませんが、介護が家族だけでなく、介護サービスが徐々に充実してきたことも、その一つだと思います。
昔は「親の介護は、その家の嫁や娘がやるもの」という、逃げ場のない属人的な負担でした。
しかし、介護保険制度や介護施設サービスが整ったことで、特定の誰かの犠牲を少しづつ軽減できるようになってきました。
家族だけで抱え込まず、プロ(ヘルパーや施設)に任せることで、家族が自分の人生や仕事を諦めなくて済むようになりました。
ケアマネジャーを中心に、複数の専門家が状況を共有することで、一人で悩みを抱え込む「ブラックボックス化」を防げるようにもなりました。
新しく皆んなで支える仕組みやサービスを作りだすことで、かつての個人の献身に頼り切ることを減らし、皆んなで支える社会になっていくといいと感じています。
⚫︎北加世子(きた かよこ)教授のことば
「成績順に入学させてたら女子ばかり増えて、皮膚科と眼科ばかりになっちゃうじゃない!」
これって、凄い発言ですよね!要するに、女子のほうが成績は良いけど、厳しい現場には行かない人が多いっていうことなんです。
だから、成績が低くても男性を入学させて、厳しい現場に居させるんだって言ってるんです。
正直言って現状の男女平等はどうかな?と思うところがあります。どうしたって生物学上の違いがあるわけですから、女性は妊娠したら一時期は働けなくなるんです。そこに対する社会的ケアがまだまだ足りて無いんじゃないでしょうかねぇ…。
