初恋のきた道


1999年 中国映画

監督 チャン・イーモウ

脚本 パオ・シー

出演 チャン・ツィイー



⚫︎あらすじ


都会で働く息子ユーシェンは、父の訃報を受け、雪深い故郷の村へと帰省します。


深い悲しみに暮れる母・ディは、「父の遺体を町から村まで、自分たちの足で担いで運びたい」という古い慣習にこだわります。


周囲が反対する中、母の強い想いに触れたユーシェンは、若き日の両親の純粋な「初恋」に想いを馳せます。 


ー回想ー


当時18歳だったディ(チャン・ツィイー)は、村にやってきた若い教師・チャンユーに一目惚れしました。


彼女は言葉で伝える代わりに、心を込めた手料理を彼のために毎日作り続け、彼が通る道をひたすら待ち続けます。


政治の荒波に翻弄され、彼が村を去らねばならなくなった時も、彼女はボロボロになりながらも彼を信じて待ち続けました。 


ー現代に戻るー


母の願い通り、かつての教え子たちが大勢集まり、父の棺を担いで村の道を歩みます。


その道は、かつて母が恋い焦がれ、父を待ち続けた「初恋のきた道」でした。





⚫︎感想


まだ自由恋愛が許されない時代の中国で、一心に1人の男性だけを愛して、待ち続けるチャン・ツィイーが、ただただ可愛い映画です。少し若いころの大竹しのぶ似です。


チャン・ツィーではなく、チャン・ツィイーなんですね。ワイヤーアクションやカンフーをしない、あどけない瞳で見つめるチャン・ツィイーのデビュー作です。


映画は白黒で中国奥地に向かう青年のシーンからはじまります。この青年の父が亡くなり村へ帰って来たんです。


教師だった父の亡骸は学校にあり、母は背負って家まで運ぶと言って、車で運ぶことを絶対に許しません。


村には「亡くなった人を背負って運ばないとタマシイが帰れない」という風習があるようです。


その後、カラー画像になって、母の若い頃をチャン・ツィイーが演じています。父は町から村に来た教師で、少し

Snow Manの伊達さま似の男性です。




一目惚れした母は、毎日毎日、父が学校で教える声を聞きに行きます。そして餃子やお焼きを作って、食べてもらうために彼のところに通います。


そんなある日、急に父は当局に連れて行かれてしまうんです。文化大革命による弾圧です。


そんな父の帰りを寒い雪の中で待つ母。そんな母の思いを知った息子は、父の亡骸を5,000元出して運んでもらおうとします。


すると父の教え子たちが100人近くも集まり、誰も金を受け取らずに、父を運びます。


息子は父の望みだった教師にはなりませんでしたが、父の思い出の学校で、父の作った詩を朗読します。


その父に似た声を聞いた母は、学校に走って行きます。



⚫︎チャン・ツィイー(章子怡)

1979年2月9日〜

中華人民共和国の女優


北京で8歳から舞踏を始め、16歳でダンス・コンテストで優勝しました。「初恋のきた道」でベルリン映画祭で金熊賞を受賞しました。


土カベの家で暮らし、お下げ、モンペ、赤い服、そして日本のナンバ走りに似た変な走り方で走るチャン・ツィイーが妙に可愛いんです。現代には無い美しさがあるんです。

その可愛いチャン・ツィイーは後に花王のCMに出演する美しい女性になります。




⚫︎文化大革命


1966年〜1976年、毛沢東が行った政治運動です。毛沢東は古い考えを壊して社会主義国にしようとしました。

毛沢東を支持する若者たちは赤い毛沢東語録を持つ紅衛兵となり「古い文化や考えを持つ者」を敵として攻撃しました。そのため教師や知識人は「エリート気取りの古い人間」として批判の対象になりました。

人前で罵倒されたり、農村へ送られて厳しい労働を強制されたりしました。

父が突然連れ去られ、長い間村に帰れなかったのはそのせいだったんですね。