ホタル


2001年 日本映画

監督 降旗康男(ふるはたやすお)

脚本 竹山洋(たけやまよう)

出演 高倉健(たかくらけん)

   田中裕子(たなかゆうこ)

   井川比佐志(いがわひさし)

   水橋貴巳(みずはしたかみ)

   小澤征悦(おざわゆきよし)

   小林稔侍(こばやしねんじ)



『知覧から飛び立った特攻隊の物語』



⚫︎あらすじ


桜島を望む鹿児島県知覧町で、元特攻隊員の生き残りである山岡(高倉健)は妻の知子(田中裕子)を船に乗せてカンパチの養殖をしていた


1989年、昭和が終わり、平成が始まった頃、同じ特攻隊の生き残りだった藤枝という男が亡くなったという知らせがくる


のちに八甲田で亡くなった藤枝の孫娘が訪ねて来て、藤枝のノートを山岡に見せた


「自分が毎年山岡さんに送るりんごを“藤枝!来年も待っている”と言ってくれるのを励みに生きてきました、しかし私の昭和も終わりました、戦友のところにまいります、1人だけの出撃をお許しください」


殉死だった


数日後、山岡は“知覧の母”と呼ばれていた富屋食堂の店主・山本富子から、特攻で命を落とした金山少尉(小澤征悦)の遺品を韓国に届けてほしいと託される


日本の特攻として飛び立った朝鮮人の遺骨は、韓国では受け取ってはもらえない、韓国に行って直接渡すしか方法がないのだ


山岡の妻・知子は、朝鮮人・金山の恋人だったのだ


知子は死のうとしていた、それをずっと支えてきたのが山岡だった


山岡が知覧から飛んだ時の話をする

「知覧から飛んで沖縄までは2時間半だ、死ぬつもりで飛び立ったのに、20年の楽しかったこと、辛かったことを思い出して死にたく無いと思い苦しくなるんだ、でも家族のため、祖国のため、そうするしか無いんだ、そう思い飛んで行ったんだ…」


しかし山岡は途中でアメリカ軍の飛行機に阻まれ不時着せざるを得なかった


山岡は韓国で遺品を渡し金山の遺言を伝えた

「私は朝鮮民族として、そしてトモさんのために死にます」と




⚫︎感想


鹿児島県の知覧から特攻隊が出撃して行ったんですね


そして自らの命を銃弾にしてアメリカの船に突っ込んで行ったんですね


その特攻隊の中には朝鮮人もいて、複雑な思いで突っ込んで行ったということを知りました



⚫︎殉死(じゅんし)


主君や夫などの死を追って臣下や妻などが死ぬ(死に殉じる)ことです。

自ら自殺する場合もあれば、強制的に殉死させられる場合もありました。

殉死が法的に禁じられる時代もありましたが、それは殉死によって優秀な人材を喪失するのを避ける目的があったようです。


殉死と聞くと昔の話のようですが、1989年(昭和64年)1月7日、昭和天皇崩御の後に殉死と見られる人が10人以上いたそうです。藤枝さんのようなお気持ちだったんでしょうか…



⚫︎知覧(ちらん)



地理的には、鹿児島県の沖縄側にある薩摩半島にあります。右側は大隅半島で、2つの半島の間が鹿児島湾で中ほどに桜島があります。

歴史的には、島津藩の城下町で武家屋敷が残っています。戦時中には日本軍の空港が作られ神風特攻隊が飛び立ちました。青森県平川市とは友好都市になっていて、ねぷた祭in知覧が毎年開かれるそうです。


⚫︎鳥濱トメ


知覧町で食堂をしていたトメは、自身の名を嫌いトミと名乗っていたそうです。その名が付く冨屋食堂は、軍指定の食堂になり、特攻隊員たちはトミを『知覧の母』と慕っていました。トミは特攻隊員たちが最後に食べたいと言う物を、物資が無い時代に集めて作ってくれたそうです。軍の検閲があるため、本当の気持ちを書いた手紙を預かって出来るだけ家族に届けていたそうです。写真にも検閲が入るので、皆んな嬉しそうに笑った写真になっています。