トキワ荘の青春


1996年 日本映画

監督 市川準

脚本 市川準

出演 本木雅弘



『漫画家・寺田ヒロオの実話映画』



⚫︎あらすじ


東京都豊島区にある木造アパート「トキワ荘」。そこには“漫画の神様”手塚治虫が住み、日夜、編集者たちが彼のもとに通いつめていた。


向かいの部屋に住む寺田ヒロオ(本木雅弘)は、その様子を眺めながら、こつこつと出版社への持ち込みを続けていた。


やがてトキワ荘を去った手塚治虫と入れ替わるように、若き漫画家の卵たちが次々に入居してくる。


藤本弘(藤子・F・不二雄)、安孫子素雄(藤子不二雄Ⓐ)、石森章太郎、赤塚不二夫、森安直哉、鈴木伸一、近所に住む、つのだじろうもトキワ荘に入り浸っていた。


『漫画少年』の投稿仲間だった彼らは、寺田を中心に“新漫画党”を結成する。貧しい生活のなか、互いを励ましあい、漫画の未来について熱く語り合う日々が続く。


なかでも一番年上の寺田は兄貴分的存在として若き彼らを静かに見守り、その視線は、赤塚の友人であり自分とはまったく異なる作風のつげ義春にも向けられていた。


そんなある日、『漫画少年』の出版社、学童社が突如倒産。これを機に、8人の仲間たちの進む道も少しずつ変化していく。


どんどん売れっ子になっていく者。漫画からアニメーションへの移行を決意する者。なかには東京を去る者もいた。


流行に惑わされず、黙々と自分の描きたい漫画だけを追い求めているように見えた寺田の心にも、徐々に迷いが生まれてくる。


時代の激しい変化とともに、漫画家の卵たちの青春の日々にも、ゆっくりと終わりの気配が近づいていた。





⚫︎感想


正直、あまり面白くはなかったです。


実は西武池袋線の椎名町にあるトキワ荘を訪ねたことがあります。もちろん昔の漫画家さんたちがいたころのトキワ荘ではなく、「トキワ荘お休み処」というところです。

現在はもっと進化して「トキワ荘マンガミュージアム」という施設になっているようです。


トキワ荘を訪ねたとき、寺田ヒロオという漫画家さんがとてもクローズアップされていました。手塚治虫や、藤子不二雄、石ノ森章太郎などをさしおいてです。

でも、残念ながら寺田ヒロオのマンガを読んだことも無いし、名前も知らなかったのです。


ですが、この映画を観て寺田ヒロオという漫画家のことがよくわかりました。

面倒見の良い、真面目な作風の漫画家さんだったんですね。そして“テラさん”がいなければ、もしかしたら今のアニメブームが変わっていたかもしれません。



⚫︎寺田ヒロオ


新潟の高校で野球をやっていた寺田は、電電公社でも野球を続け投手として活躍しました。

22歳の時に漫画家になるため上京して、手塚治虫の暮らす豊島区のトキワ荘に入居します。


トキワ荘には次々と漫画家たちが入居してきたため、面倒見の良い寺田は“テラさん”と慕われるリーダーでした。


寺田ヒロオはトキワ荘で新漫画党を立ち上げ、合作や競作を作り上げました。

新漫画党のメンバーには、藤子不二雄、つのだじろう、石森章太郎、赤塚不二夫などがいました。


しかし、1960年代からの劇画ブームに、正統派児童漫画の寺田は時流から取り残されていき引退していったそうです。



⚫︎藤子不二雄のまんが道


富山から上京してきた安孫子と藤本は、マンガ家としてデビューをします。しかし連載をうけすぎ、正月に郷里に帰って遊んでしまい、原稿が上がらなかったそうです。


そんな二人を寺田ヒロオが呼び出して、もう一度やり直すように励ましたそうです。

“テラさん”こと寺田ヒロオがいなければ、“ドラえもん”も“怪物くん”も無かったかもしれないんですね。