戦場にかける橋
1957年 イギリス・アメリカ合作映画
監督 デヴィッド・リーン
脚本 カール・フォアマン
原作 ピエール・ブール
出演 ウィリアム・ホールデン
アレック・ギネス
早川雪洲(はやかわせっしゅう)
第二次世界大戦中、ビルマとタイの国境付近にある日本軍捕虜収容所を舞台に、イギリス兵と日本兵たちの対立と交流を描いています。
⚫︎あらすじ
第2次世界大戦時、日本軍の占領下におかれたイギリス植民地ビルマの国境付近に、日本軍の捕虜収容所があった。そこにニコルソン大佐が指揮をするイギリス軍捕虜が移送されてくる。
日本軍の斉藤大尉は「バンコクとラングーンを結ぶ鉄道の、クウェー川に架かる橋を建設するために召集した」と捕虜たちに言う。
斉藤は士官も労働しろと言うので、ニコルソンはジュネーブ協定に反すると拒むが聞いてはもらえなかった。
何度も抗議するニコルソンは「オーブン」と呼ばれる、最も日照りの強い倉に監禁されてしまう。
その夜に、ニコルソンが来る前から捕虜になっていたシアーズ中尉が仲間2人と収容所を脱走した。仲間は日本兵に射殺されたが、シアーズは銃声とともに川底に落ちた。
「万が一工事が間に合わなければ、捕虜を全員殺して自らも命を絶つ」と言う斉藤にニコルソンは、「日本人よりもイギリス人の指揮官の方が捕虜の士気を高めることができる」と言う。激高する斉藤は「イギリス人は、負けておきながら強情で嫌いだ」と罵倒する。
だが工事期限までに橋を完成させたい斉藤は、ニコルソンの主義に妥協することにする。監禁を解かれたニコルソンを見た捕虜たちは「粘り勝ちだ!」と歓喜した。
一方、下の立場の者にひれ伏さざるを得ないという屈辱を味わった斉藤は、咽び泣くしかなかった。
イギリスの知力により着々と橋の建設が進んでいるときに、命からがら生き延びたシアーズはイギリス軍病院に保護されていた。
シアーズは、日本軍捕虜収容所の周辺を知る人物だったため、橋と列車の爆破命令が下される。シアーズはパラシュート経験が無いと断ろうとするが「予期せぬことが起きるものだ」と軽くあしらわれてしまうのだった…
⚫︎感想
戦場にかける橋、面白いです。
まさに戦場に橋を建設する話しでした。
面白いのは、イギリス・アメリカ映画なのに日本語が沢山でてきます。というのも、日本軍による日本のための橋をイギリス捕虜を使って建設するという話しなんです。
最初は意見が合わなかった日本軍の斉藤大尉と、イギリス軍のニコルソン大佐でしたが、最終的にはイギリス人の権威を日本人に見せつけるために橋を立派に完成させるのです。
しかし、イギリス軍がその橋を汽車もろとも爆破計画をするんです。
日本軍の橋を、イギリス人が作り、イギリス人が壊して終わるんですねぇ。
それを見て「狂気だ」と叫んで終わります。
⚫︎猿の惑星の作者
作者のピエール・ブールは第二次世界大戦中に仏領インドシナで有色人種の日本軍に捕まり、収容所で1年半拘束され、立場の逆転を味わった苦い経験を基に描かれたそうです。
現地にはゴリラやオラウータンやチンパンジーもいたそうです。
ブールは戦場にかける橋を発表したのちに猿の惑星を書き上げます。もしかしたらブールには“日本人が猿に見えた”のかもしれませんね…
⚫︎アラビアのロレンスの監督
デヴィッド・リーン監督はこの作品でアカデミー監督賞を受賞しました。
のちの1962年には「アラビアのロレンス」で2度目のアカデミー監督賞を受賞しています。
⚫︎クワイ河マーチみんな知ってる!
イギリス兵が口笛吹いて行進する
“サル、ゴリラ、チンパンジ〜”の曲🎵
イギリスの作曲家が作った「ボギー大佐」をこの映画のテーマ曲用にアレンジして世に知れ渡り、今では日本の運動会でも使われています。
⚫︎日本人俳優は若いころモテモテだった
早川雪洲の写真です。
国際俳優でアメリカとヨーロッパで主演男優としてスターダムにのし上がった最初のアジア系俳優だそうです。
エキゾチックな美貌と性的に魅力的な悪役ということで、公然と人種差別が行われていた時代にハリウッドで最初の男性セックスシンボルのひとりとなりました。戦場にかける橋のときとは全然違う雰囲気だったんですね。