トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
2015年 アメリカ映画
監督 ジェイ・ローチ
脚本 ジョン・マクナマラ
出演 ブライアン・クランストン
ダイアン・レイン
1940年代アメリカの赤狩りによってハリウッドを追われ、偽名で「ローマの休日」などの名作を残した不屈の脚本家ダルトン・トランボの軌跡を映画化した感動の伝記ドラマ。
⚫︎あらすじ
ダルトン・トランボはハリウッドの優れた脚本家であり、アメリカ共産党員としても活動していた。
下院非米活動委員会(HUAC)*は赤狩り*として連邦政府職員だけでなく、作家、芸術家、俳優など多くの民間人もスパイ容疑をかけられ、共産主義者のレッテルを貼られることになった。
トランボもハリウッド・テン*に名前を載せられて、軽蔑され、家族までが嫌がらせを受け、仕事からも外されてしまう。
それでもトランボはゴーストライターとして脚本を書き続ける…
俳優が脚本家のトランボに聞く
これは何との戦いだ?
そりゃ地球上の平和だよ
ここはアメリカだぞ!
それならセックスと金は?
いいね アメリカ人はそうでなきゃ
(アメリカっぽいなぁ)
トランボは、ハリウッドでは監督ばかり儲けている。役者や大道具たちにも恩恵を与えろと言う。
すると共産主義者だと、罵られることになる。
トランボの娘は
パパは共産主義者なの?
そうだよ
違法なの?
いいや…
パパは国を愛している いい政府だ
だがどんなものでも改善できる
私も共産主義者なの
学校でパンの無い子がいたら?
分けてあげるワ
働きに行けとは言わないのか?
言わないワ
金を貸すのか 金利6%で
そんなことしないワ
ちびっ子共産主義者だな
(わかりやすい教えだ)
しかしその後トランボは危険人物としてワシントンに召喚される。後にハリウッド・ブラックリストは解雇され、言論の自由さえも奪われようとした。
共産主義は悪、中間はない…
そしてトランボはスパイ容疑で収監されてしまう。
出所したトランボは生活のため、「ローマの休日」をイアン・マクラレン・ハンターの名前で出してもらう。そして安い脚本も請け負い必死に稼いだ。
その後、「黒い牡牛」でアカデミー賞を受賞。
カーク・ダグラスが「スパルタカス」の原案を持ってやって来る。
“1人の男が全世界を相手に戦う”内容だ。その男はローマ帝国に反乱を起こした奴隷なのだ!ぜひ脚本を書いてくれと。
のちにトランボは反撃に出る。
「黒い牡牛」の脚本家「ロバート・リッチ」は自分だと名乗り出る。
トランボは
非米活動委員会に調べられた者として
疑問に思った
なぜ彼らを調べる者がいないのかと
委員会の目的はスパイの発見、
陰謀の暴露、反扇動法の設定でした
ですがスパイは見つからず、
陰謀の暴露もない
彼らは働く権利を否定しているだけだ
そしてブラックリストは有名無実化した。
そのインタビューを見たカーク・ダグラスは、スパルタカスの脚本をトランボとクレジットした。
するとすぐに非米活動委員会から横槍が入るが、「スパルタカス」は大成功する。
⚫︎感想
いやぁ〜、面白い映画でしたね〜!!
アメリカに“ダルトン・トランボ”という脚本家がいて、共産主義者だと言われブラック・リストに載ってしまったために、偽名を使って『ローマの休日』や『スパルタカス』を書いていたんですね。
当時のアメリカもけっこう病んでいたんですね。
トランボとその家族は数々の嫌がらせを受けながらも、決っして負けることなく、ひたすら耐えて闘い続けます。
そして最後にトランボ自身のインタビューでは「3才から13才まで、父親の職業を黙っていた娘にオスカーをあげたい」と答えています。
かっこいい父親ですね!
共産党って日本でも批判する人が多いけど、自民党派閥裏金問題を指摘したのは共産党でした。
⚫︎ダルトン・トランボ(右は妻クレオ)
1905年12月9日〜1976年9月10日
アメリカの脚本家、映画監督、小説家
ハリウッドの著名な脚本家だが、共産党員だったため赤狩りでハリウッド・テンの1人に選ばれた。
⚫︎ハリウッド・ブラックリスト
1940年〜1950年ごろマッカーシズムと呼ばれる反共産主義による赤狩り(共産党員狩り)が行われた。ブラックリストには『市民ケーン』のオーソン・ウェルズ、『独裁者』のチャーリー・チャップリンなどがいた。そのうち召還や証言拒否をして有罪判決を受けた10人がハリウッド・テンと呼ばれる。
⚫︎ 下院非米活動委員会(HUAC)
第一次世界大戦末期ドイツの独裁者(ファシスト)や、ロシアの共産主義(ボリシェビキ)を監視するためにできた団体。