新源氏物語


1961年 日本映画

監督 森一世

脚本 八尋不二

出演 市川雷蔵

   寿美花代

   若尾文子

   中村玉緒



宮廷女性の憧れの的である光源氏は、時の権力者左大臣の娘葵の上を正妻としたが、母と瓜二つで帝のおもい人である藤壷に激しい恋心を抱いてしまう。



⚫︎あらすじ


平安時代、時の天皇は美しい女性の「桐壺」に夢中で、毎晩のように通っていました。


やがて子が生まれましたが、桐壺は身分が低かったため他の女たちから妬まれ、心労で亡くなってしまいます。


天皇は正室の子との争いが起きないように桐壺の子に臣下としての「源氏」姓を与えます。


こうして光るように美しい男子は「光源氏」と呼ばれ、宮中の女性たちの人気の的となります。


桐壺を忘れられない天皇は、桐壺に生き写しの「藤壺」を后の一人として迎えます。


光源氏は母に似た藤壺に恋いこがれ、とうとう密通してしまいます。


のちに光源氏の正室「葵上」に子が出来たと喜ぶ時期と同じころ、密通した藤壺にも光源氏の子が宿ってしまいます。


光源氏は、その後も数々の女性と恋に落ちますが藤壺を忘れることは出来ません。


数ある女性のうち、年上である「六条」の思いは強く生き霊になり「葵上」を呪い殺してしまいます。


光源氏は寂しさから幼く美しい「紫上」を迎えます。


しかし、政敵である右大臣の娘「朧月夜」のもとにも通っていたことが発覚し、須磨へと左遷されていきます。





⚫︎感想


やってやってやりまくる男の物語…

男にとって平安時代って天国?

なんて感じの映画・・・

と、最初は思いました。


しかしこれが千年も前に書かれた日本最古の長編恋愛物語とすると、スゴイことです。


紫式部って天才だったんですね!


当時は電気も無く、娯楽も少ない中で過ごす、宮中のイケメンの恋愛を物語りにしたんです。


NHKの大河ドラマ『光る君へ』で吉高由里子さん演じる紫式部も楽しみです♪


映画『新源氏物語』は、日本文学の最高峰とされる「源氏物語」を現代風にアレンジした川口松太郎の小説をもとにした作品です。


容姿と才能を兼ね備えた光源氏が、多くの女性たちとの恋愛模様、出世話などが描かれています。



⚫︎紫式部(むらさきしきぶ)


平安時代中期の歌人、作家、女房(女官)。

宮中での女房名は藤式部(とうのしきぶ/ふじしきぶ)と呼ばれていました。

当時の貴族階級の女性は本名を公にせず、通称で呼ばれていました。

女房名は、父・兄弟・夫など、本人の帰属する家を代表する者の官職名を用いることが多く、父の藤原為時(ふじわらためとき)が式部大丞(しきぶたいしょう:文部省)だったため、藤原氏の藤を冠にして藤式部と呼ばれていました。

源氏物語が有名になったのち、登場人物の紫の上にちなんで紫式部となりました。



⚫︎藤原氏(ふじわらし)

中臣鎌足は、天智天皇のもとで国を治める法律を整えるなど、さまざまな改革に力を尽くしたとされています(大化の改新)。

晩年には功績が認められ藤原姓を賜りました。その後、藤原氏は奈良時代・平安時代に権力を掌握し、摂関政治を進めた高級貴族です。



⚫︎源氏(げんじ)

天皇の子孫の一族で、皇族が臣下の籍に降りる(臣籍降下)ときに天皇から「源」の氏を授かりました。

源氏は武家の名門で、平安時代の一夫多妻制により天皇が多くの子孫を残したことから、源氏の子孫は意外と多いと言われています。

賜姓皇族(しせいこうぞく)、つまり天皇の子孫の一族のことです。 今も昔も皇族には氏が無いため、臣籍に降下する際には新しく氏を賜わるのが習わしでした。

源氏と平氏はともに天皇家にルーツをもつ由緒ある家系で、源氏は東国に、平氏は西国に権力を築き、二大派閥になっていきます。



⚫︎平安時代

桓武天皇が平安京(京都)に遷都した794年から鎌倉幕府が成立した1185年(文治元年)までの約390年間を指します。

鎌倉幕府成立の時期については諸説あるため、1192年(建久3年)までとする説もあります。

この時代は、約200年間続いた遣唐使が廃止され、唐文化と日本文化が融合し、日本独特の「国風文化(藤原文化)」が形成されていきました。

特に文学での発展はめざましく、平安貴族を中心に「仮名文字」が使用されるようになり、女性作家が活躍した時代です。