昭和残俠伝 唐獅子牡丹


1966年 日本映画

監督 佐伯清(さえききよし)

脚本 山本英明(やまもとえいめい)

出演 高倉健

   津川雅彦

   三田佳子

   池部良



大谷石の特産地として名高い宇都宮の石切場を巡り、新興勢力左右田組の組長寅松が榊組をつぶし、縄張りを拡張しようと嫌がらせを続けます。



⚫︎あらすじ


昭和初期、花田秀次郎(高倉健)は宇都宮の石材採掘請負業を営む左右田組(そうだぐみ)の客人だった。


秀次郎の弟分の周平(津川雅彦)は、恋仲であるくみが左右田組親分の息子に惚れられていることを知りながらも駆け落ちをする。


秀次郎は駆け落ちは自分の差し金だと左右田組の親分に話を通しに行く。


駆け落ちは許されたがその代わりに、同じく石材採掘請負業を営む対抗組織である榊組(さかきぐみ)の親分を斬る事を命ぜられ殺す。


三年の刑期を終えた秀次郎は榊組の親分の墓参りに行くが、墓前で偶然に榊組親分の妻(三田佳子)と子どもに出会う。


左右田組の仁義のないやり方を出所後に弟分である周平に聞かされていた秀次郎は、左右田組に痛めつけられている榊組の若い衆を助ける。


そしてとうとう嫌がらせを続ける左右田組に向かう秀次郎と榊組の若頭の三上(池部良)。


(ここで『唐獅子牡丹の歌』が流れてくる)


そして一言『死んでもらいます』

(背中の唐獅子牡丹がでる)


秀次郎が去って行こうとすると

「おじちゃん行っちゃいやだ」

陰からそっと覗く母

振り向かずに去って行く秀次郎

(そこで『唐獅子牡丹の歌』 終)





⚫︎感想


高倉健の唐獅子牡丹はじめて観ました。

健さんが刺客となって左右田組の親分を斬りに行きます。

斬りに行くと言っても最初はダイナマイトを投げつけます(ヒェ〜)


そして弟分の津川雅彦に

「自分のためにすみません」と頭を下げられると、

「あれは、まともな果し合いだった」って言うんです。

まともな果し合いって何⁈

だいたい昭和初期に、まだ果し合いなんてあったんでしょうか?


そして、人ひとりを斬り殺して刑務所に入りますが3年で出所するんです。

なんか出所も早い気がします。


弟分のために義理で人を斬り、斬った人の家族や子分たちを見守り続け、最後には堪忍袋の尾が切れて、嫌がらせするヤツらを滅多斬りするっていうストーリーです。



⚫︎宇都宮の石切場から出る大谷石


大谷石は、世界中で栃木県宇都宮市の大谷町だけでしか産出されないとても珍しい石です。 この大谷石は、今から2000万年前、まだ日本列島のほとんどが海中に沈んでいた時代に、火山の爆発によって噴出した火山灰などが海水中に堆積し凝固してできたといわれています。

大谷石は火に強く、1000℃以上の熱にも耐えられるため、七輪、石窯、焼却炉などにも使われる「万能の石材」です。 また、他の石と比べてとても軽く、柔らかくて加工もしやすいため、古くから基礎石、土留め、石塀、外壁、屋根といった建造物の一部として、さらには石仏、石塔、民芸品などに至るまで、幅広く用いられてきました。


大谷石って宇都宮だけなんだ、スゴイ!



⚫︎義理と人情

 「義理」は社会的、道義的に規定、掟を守ることを求めます。義理を欠くことは社会的責任を果たしていないとみなされ、肩身の狭い思いをする覚悟が必要となります。

一方「人情」は、人ならばだれでも持っているはずの人間性を感じさせる心の働きです。本音、本当の気持ちであり、主観的、感情的で熱しやすい行動をとります。

「義理」と「人情」は対立・葛藤の関係にあり、人が自己の身の処し方に悩む場合があります。ただし「人情」も「義理」にぶつかる場合には、道を譲らなければならないと言われています。


「やりたくない仕事に行く」

なんていう感じかなぁ…