ジャイアンツ

1956年　アメリカ映画

監督　ジョージ・スティーヴンス

脚本　フレッド・ジュイオル

原作　エドナ・ファーバー

出演　エリザベス・テイラー

　　　ロック・ハドソン

　　　ジェームズ・ディーン

テキサス州の大農場を舞台にした物語りです。メキシコ人への差別、油田開発が描かれています。撮影後に亡くなったジェームズ・ディーンの遺作です。

⚫︎あらすじ

1920年、テキサスの広大な牧場主ジョーダン・ベネディクト（通称ビック：ロック・ハドソン）は、東部の名門から美しいレズリー（エリザベス・テイラー）を嫁にもらう。

東部のレズリーからするとテキサスはまるで外国のようだった。土地の広さは桁違いでビックの土地は50万平方マイル、使用人との会話もスペイン語だ。しかしレズリーはテキサスはメキシコから奪った土地だとも思っていた。

広い家を仕切るのはビックの姉ラズ。ラズは弟の嫁レズリーを気に入らなかった。

使用人のジェット（ジェームズ・ディーン）はレズリーを農場から車で家まで送る途中「ベネディクト家はこの土地を、タダ同然の1エーカー5セントで買った、ずる賢い」とイヤミを言う。

のちに落馬して亡くなってしまった姉ラズは使用人ジェットに土地を残してくれていた。不満に思うビックは倍の1200ドルで買取ると提案するも、ジェットは金ではなく土地を貰った。

テキサスで暮らすレズリーは東部との違いを感じた。男の話に女は入れない「テキサス男は10万年遅れてる」と悪態をつくようになる。

ジェットは貰った土地で石油採掘を続け、とうとう石油を掘り当てる。

ビックに男女の双子が生まれた。しかし、後継にしたい男の子は医者になると言い、スイスの大学に行かせたい女の子は牧場をやりたいと言う。

やがて長男は医者になり、長女と結婚した娘ムコに農場を継がそうとすると、「大農場は時代遅れ、小さな農場をやる」と言われてしまう。

ビックはこんなことならコマンチ（先住民）に土地を返したほうがマシだと嘆く。

ビックはジェットの誘いを受けて採掘し、自分の土地からも石油が出る。ジェットの事業はもっと大きくなり、テキサスの名主となる。

そんなジェットのパーティーに呼ばれたビックは、もともとの名主としてベネディクト家を自家用飛行機に乗せて行く。

しかしジェットのパレードには、ビックの次女が女王役で車に乗っていた。

しかもビックの息子の嫁は、メキシコ人のため歓迎されず差別を受けた。

ビックはジェットとケンカになる。

次女はジェットを愛していた。しかしジェットが愛していたのはビックの妻レズリーだった。

パーティーの帰り、ハンバーガー屋で長男の嫁をまた差別され、怒ったビックはケンカをする。しかし殴られ“当店にはお客を選ぶ権利があります”の看板を投げられる。

そんなことがあって家に帰る。そこには長男長女の、それぞれ肌の色が違う孫が二人仲良くベビーベッドに立っている。

ジェットにフラれた次女は家を出てハリウッドへ行く。「親にできるのは子供を育てるだけ」と嘆く。

東部から来た妻レズリーはすっかりテキサス人になっていた。

レズリーはビックに言う

「息子の嫁のためにケンカしたビックは、私の最高のヒーローだった。ベネディクト家は真の大成功を手にした」と。

ビックは

「90歳になっても君を理解できない」と。

肌の色の違う孫たちはまだ見つめている…

⚫︎感想

ジェームズ・ディーンの遺作と聞いて観ました。3時間を越える大作で途中休憩も入ります。

ですがジェームズ・ディーンが主役ではなく、テキサス州で暮らすビックという背の高い男性の物語りでした。

ビックは大牧場を営む地元の名主です。ジェームズ・ディーンはそこで使える使用人の一人です。

ビックが美しい妻を迎え、連れて帰るところから物語りは始まります。そして姉と嫁の争いがおきます。

姉は嫁の連れて来た馬に振り落とされて亡くなります。その姉がくれた土地から石油が出てジェットはビックよりも金持ちになります。

ビックには3人の子供が出来ますが、誰も跡を継ぎません。しかも息子はメキシコ人を妻にしてハーフの孫が生まれます。

人種問題や大牧場経営など、テキサス州のはじまりがわかる映画です。そしてジェームズ・ディーンの老け役も見られる映画です。

⚫︎テキサス

アメリカではアラスカの次に大きく、カリフォルニアの次に人口が多い州です。最大の都市はヒューストンです。

歴史的には先住民が暮らす土地に、スペインが来て領地としてしまいました。

1821年にはメキシコが独立してテキサスはメキシコの一部になるも、1836年にテキサス共和国として独立しました。

次に1845年、テキサスはアメリカに併合されました。

これに怒ったメキシコがアメリカに宣戦布告して戦争になりましたが、アメリカが勝ちカリフォルニア、アリゾナもメキシコからアメリカの州になりました。

テキサスと聞いて知っているのは、ステーキ屋さんと、プロレスラーのスタン・ハンセンが叫ぶテキサスロングホーンぐらいです。

テキサスはBBQ発祥の地です。バーベキューとはゆっくりと時間をかけて肉をスモークするもので、日本のように直火で肉を焼くだけのものではありません。テキサスではBBQが上手く出来る男がモテる基準なのだそうです。

テキサスロングホーンとは、横に長い角が特徴的な牛のことです。メキシコからテキサスに持ち込まれ、バイソンなどの在来種を押しのけて繁殖したそうです。そう言われてみるとステーキ屋さんにこの牛マークありますね。