母と暮らせば
2015年 日本映画
監督 山田洋次
脚本 平松恵美子
出演 吉永小百合
二宮和也
黒木華
長崎に落とされた原爆により一瞬で人生が終わってしまった青年が、幽霊となって母のもとを訪ねてくる物語りです。
⚫︎あらすじ
1945年8月9日午前11時2分、長崎に原爆が落ちて浩二(二宮和也)は亡くなる。
浩二には町子(黒木華)という恋人がいた。町子は浩二に操をたてて誰とも結婚せんという。
そしていつも浩二の母、伸子(吉永小百合)のもとを訪ねては、いろいろと手伝ってくれていた。
3年後、伸子のもとに浩二が幽霊となってあらわれる。
「兄さんはすぐに会いに来てくれたのに
なぜあんたは来てくれなかったの」と伸子がたずねると、
「突然死んだから何があったか分からんかった。しょうがないよ、これは運命だから仕方ない」と寂しそうに浩二は言う。
「運命?地震や津波なら仕方ないけど、人間が計画して行なった大変な悲劇なの。運命じゃないのよ」と伸子は言う…
⚫︎感想
二宮和也さんが、大女優の吉永小百合さんに少しも臆せず演技をしていました。二宮さんは、もともとそういう感じの人なんでしょうね。
長崎に落とされた原爆で一瞬で残りの人生が無くなってしまった浩二が
「戦地で亡くなってしまった兄さんのほうがいい、なぜなら幽霊になって母さんにお別れを言いに来ることができる。自分なんて死んだことも分からなかった」
確かにそうだったかもしれませんね。
冒頭のシーンでアメリカの爆撃機が当初は小倉に原爆を落とそうしましたが、視界が悪くて長崎に落とすシーンがあります。アメリカは原爆は戦争を終結させるためだったと言っています。しかし、それだけではなく、ソ連に見せつけるための原爆だったという見解もあります。
1945年8月6日に広島に原爆が投下されました。そして3日後の8月9日に長崎に原爆が投下されます。
原爆というと広島ばかりが報道されていますが、実は広島はウランを用いた小型の原爆でリトルボーイと呼ばれ、長崎はプルトニウムを用いたファットマンと呼ばれていて、長崎のほうが1.5倍と威力が大きいのです。
ですが、人類史上初の原子力爆弾投下が広島だったことや、死者数が広島が14万人で、長崎が7万人だったことなどもあって、広島のほうが何となくフィーチャーされるようです。
⚫︎井上ひさし
1934年11月17日〜2010年4月9日
日本の小説家、劇作家。代表作に人形劇『ひょっこりひょうたん島』がある。
ヒロシマが舞台の井上ひさしによる戯曲『父と暮らせば』と対になるかたちで山田洋次により映画化されました。
『父と暮らせば』あらすじ
美津江は、父・竹造と二人で暮らしている。竹造は原爆の直撃を受けて死亡したはずなのだが、幻となって美津江の前に現れたのである。美津江は明るく快活だが、心の奥では原爆投下を生き残ってしまったことへの罪悪感をもっており、勤め先である図書館で原爆の資料を集める木下という青年から好意を寄せられているものの、死者への申し訳なさから親密になれないでいる。竹造は、美津江の日々の話し相手として、彼女を楽しませ、ときに諭し、助言を与える。
美津江は、木下から故郷に一緒に行こうと誘われたと竹造に告げる。竹造は、それは結婚の申込みで、ぜひ行くべきだと言うが、美津江はまたも逃げようとする…
「母と暮らせば」で黒木華さんが演じる町子は、原爆で一瞬のうちに亡くなってしまった同級生たちに、自分だけ生き残ってしまったという罪悪感を持ちながら生きています。自分が悪いことをしたわけでも無いのに、そういう感情になってしまうんですね…
原子力爆弾は地球に必要ないですね。
