アラバマ物語
1962年 アメリカ映画
監督 ロバート・マリガン
脚本 ホートン・フート
原作 ハーパー・リー
出演 グレゴリー・ペック
人種差別が根強く残る1930年代のアメリカ南部で、白人女性への性的暴行容疑で逮捕された黒人青年の事件を担当する弁護士アティカス・フィンチの物語です。
⚫︎あらすじ
1932年、アラバマ州のメイコムは古びた何もない街でした。そこで暮らすフィンチ家の6歳の女の子スカウトの目線で物語りが始まります。
いつもスカウトは兄のジェムと近所の男の子ディルと3人で遊んでいました。父は弁護士で子どもたちはお父さんとは呼ばずに名前のアティカスと呼んでいます。母はスカウトが物心がつく前に亡くなり、黒人女性のお手伝いさんが家事をしてくれています。
幼いスカウトにとって何気ない毎日が冒険でした。近所の家にはブーと呼ばれている誰も見たことがない謎の人物が住んでいて、兄のジェムと近所のディルと3人でブーの家の近くへよく探検しに行っていました。
ある日、飛び跳ねる狂犬病の犬を見つけてアティカスはその犬を射殺しました。子どもたちはアティカスが射撃の名手だったとそのときに知りました。
アティカスは黒人トムの弁護を依頼されます。そのことで白人たちから黒人びいきだと言われていました。学校に入学したスカウトも「黒人びいき」と言われたのでその男の子に馬乗りになって喧嘩をします。
兄のジェムは喧嘩を止めて仲なおりのためにその男の子を夕食に招待します。その男の子が「もう自分の銃を持っている」と言うと、自分の銃が欲しい兄のジェムはアティカスはいくつの時に銃を持ったのかと聞きます。
アティカスは13歳か14歳だと言いました。「最初に父に言われた。家の中で銃は向けるな。空き缶を撃っていればいいが、いずれ鳥を撃ちたくなる。アオカケスなら撃っていいが、マネシツグミを殺すのは罪だ。それはマネシツグミは歌を歌うだけだからだろう。作物も荒らさず悪さもせず歌って楽しませてくれる」と。
黒人トムの裁判の日にスカウトたちも気になって見に行きます。とても暑い日で裁判所の入り口には氷のかたまりがあって、子どもたちはそれをかいて口に入れました。
裁判は黒人トムにレイプされたという白人女性メイエラの父ボブが訴えを起こしていました。そして本人のメイエラも神に真実を誓うと宣誓して黒人トムに首を絞められ無理矢理レイプされたと言います。
しかし黒人トムの左手は動かない左手だったのです。左手で殴られたように言う話しは辻褄が合いません。そのときアティカスはメイエラの父ボブに名前を書かせると左利きでした。
次に黒人トムが証言しました。トムは毎日メイエラの家の前を歩いて仕事に行っていました。そのときによくメイエラから声をかけられ、ちょっとした家事を手伝ってくれと頼まれていました。
ある日メイエラから突然トムにキスをしました。「私は男の人とこういうことをしたことがない、黒人のあなたでいいからと言って身体にしがみついてきた。それを窓から見ていたメイエラの父ボブが“娘を殺す”と。その後は無我夢中で逃げました」
だれもが男運の無いメイエラが黒人トムに言い寄り、黒人トムに拒否され、それを知ったメイエラの父ボブがメイエラを殴りつけた。そして黒人トムを訴えたのだろうと感じた裁判だった。
しかし結果は白人だけの陪審員なので黒人トムが有罪になります。それを見ていた2階席の黒人たちは黙ったままでしたが、誰もが黒人トムの話を信じていました。
アティカスは黒人トムに「一審では敗訴だが…」と次があることを告げようとします。しかし黒人トムは、その後、護送中に逃げようとしたので警告として撃ったが狙いがそれて射殺されたという連絡が届きます。
アティカスは悔しいと思いながらも黒人トムの家族に死んだことを知らせに行きます。そこにメイエラの父ボブがやってきてアティカスの顔にツバを吐きかけます。アティカスは黙ったまま何も言わずにハンカチでツバを拭き取るのです。
その後、今度はアティカスの子どもたちが何者かに襲われてしまいます。その子どもたちを隣人ブーが格闘して助けてくれました。
子どもたちは助かりましたが、襲った犯人はメイエラの父ボブで、ナイフで刺されて亡くなっていました。アティカスはとにかく裁判所に届けて正当防衛を主張すると言います。
しかし保安官はブーの罪は問わないことにすると言うのです。「君と町のため大きな働きをした内気な男を引っ張り出して注目の的にするのは罪だ。メイエラの父ボブは事故死だよ」
するとそれを聞いていたスカウトが「私もそう思う、だってマネシツグミを撃つのと同じことでしょ」とアティカスに言います。
アティカスはポーチにいるブーにありがとうとお礼を言い握手をします。
⚫︎感想
ずっと「アラバマ物語」気になっていました。それは別の映画を見ているときに何度か「アラバマ物語」というワードを耳にしていたからです。
“子ども目線で見る隣人ブーの存在”
“黒人を異様に差別する白人たち”
“黒人差別した裁判の判決”
幼い少女の目線で描かれた1930年代のアメリカのようすがとても良く描かれています。
隣人どうしでも何となく気を許してはいけない雰囲気、黒人に労働を手伝ってもらい助かっている白人の生活、その黒人たちは絶対に白人たちに逆らえない感じなどが描かれていました。
主演は「ローマの休日」で“オードリー・ヘプバーン”を案内した身長190センチのイケメン“グレゴリー・ぺック”です。
アラバマ物語は原作者ハーパー・リーの実体験をもとに書かれた物語で、アメリカの教科書にもよく使われるそうです。
原題はTo Kill a Mockingbird、「マネシツグミを殺すのは」です。殺してはいけない歌を歌っているだけの鳥とは、隣人ブーのことだったんですね…
映画の説明を見るとマネシツグミは黒人トムとも言えるし、無知で貧しいために嘘をついてしまったメイエラという見方もあるようです。
マネシツグミは北アメリカで暮らす体長25センチほどの背中がグレーで腹が白い鳥です。鳴き真似が上手くピアノの音や車のクラクションまで真似して鳴きます。“mock”は「真似をする」という意味で英名は“mockingbird”(モッキンバード)です。
アオカケスは北アメリカで暮らす体長30センチほどのカラス科の青くてきれいな鳥です。“ジェイジェイ”と鳴くので英名はブルージェイです。メジャーリーグのトロント・ブルージェイズのマークに採用されています。


