ライ王のテラス
2016年 赤坂ACTシアター
作者 三島由紀夫
演出 宮本亜門
出演 鈴木亮平
倉科カナ
中村中(なかむらあたる)
吉沢亮
鳳蘭(おおとりらん)
昭和を代表する作家、三島由紀夫の最後の戯曲を宮本亜門が演出して、鈴木亮平が主演をした舞台劇です。カンボジアのアンコール・トムにまつわる話しです。
⚫︎あらすじ
舞台は12世紀、カンボジアの若き王様ジャヤ・ヴァルマン7世が凱旋してくるところからはじまります。
王様は「このテラスから見える南の方角にアンコール・ワットに引けを取らない寺院を建てるのだ」と命じます。
王様はその建設のために呼ばれた石工職人たちの中から経験豊富な頭領ではなく、若い頭領の斬新な案を採用するのでした。
しかし王様が新しい寺院を建てることに反対する者たちもいました。
王様の母はこのように言います。
「ハゲタカは普通は腐肉を襲うものだが、若いハゲタカは生きたままのヤギを襲った。神のおきてを破ったのだ。つまり若いハゲタカは自分が夢見たことをやりとげるには、神や自然のおきてなど取るに足らぬということを知っていたのさ」
と言って王様の考えを正当化してくれるのです。
ですがそのころすでに王様はライ病に侵されはじめていたのです。
⚫︎感想
いやぁ〜、見応えありました。
鈴木亮平さん、肉体美の完成度も含めて、本当にすごい役者さんです。舞台劇なんですが、本当に良く出来ていて映画を観ているようでした。
ライ王の“ライ”とはライ病のことだったんですね。今ではハンセン病と言ったほうがわかりやすいでしょうか。ライ病にかかってしまった王様の肉体が朽ち果てていくのと同時期に精神としての象徴ともいえる寺院が出来上がっていくんですね。
カンボジアのアンコール・トムがどのような経緯から出来上がっていったのかを想像することができました。
しかしどの国の王も身内や家来からの毒殺を計らわれていたんですね…
⚫︎カンボジアってどんな歴史?
インドの影響が強い地域で9世紀ごろから15世紀ごろまではクメール王朝がありました。王様は即位すると新たな寺院を建てるというならわしがありました。
一番有名な遺跡のアンコール・ワットはスーリヤ・ヴァルマン2世が建設したものです。アンコールとは王都、ワットとは寺院という意味です。
⚫︎アンコール・トムとは?
アンコール・ワットの北にあります。トムとは大きいという意味です。3キロ四方の面積があり、東西南北に観世音菩薩の彫刻が建っています。
中央部にはヒンドゥー教世界観の中心にあるメール山を象徴するバイヨン寺院があります。49基ある仏塔の四面に彫られた微笑む観世音菩薩の顔は、クメールの微笑みと呼ばれています。その近くにライ王のテラスもあります。
⚫︎原作は三島由紀夫(みしまゆきお)
本名は平岡公威(ひらおかきみたけ)、1926年(大正14年)1月14日に東京市四谷区で生まれて、1970年(昭和45年)11月25日に東京都新宿区の自衛隊市谷駐屯地で日本刀による割腹自殺をして45歳で亡くなります。昭和の時代は1226年12月25日から始まりましたので三島由紀夫は昭和の年代と同じように歳を取りました。
「癩王のテラス」は三島由紀夫の最後の戯曲です。戯曲とは上演する目的で書かれた演劇の台本のことです。三島由紀夫はカンボジアでアンコール・トムの遺跡にあるライ王のテラスに鎮座するライ王像を観て着想したそうです。


