隠し剣 鬼の爪
2004年 日本映画
監督 山田洋次
脚本 山田洋次 朝間義隆
原作 藤沢周平 隠し剣鬼の爪
出演 永瀬正敏 松たか子
小澤征悦 高島礼子
吉岡秀隆 田畑智子
田中泯 緒形拳
『幕末、愛に生きる侍がいた…』
山田洋次監督による藤沢周平時代劇映画の第二弾です。
⚫︎あらすじ
幕末、東北の海坂藩(うなさかはん)の平侍(ひらざむらい)、片桐宗蔵(かたぎりしゅうぞう)は母と妹、そして女中のキエと暮らしていた。
女中のキエは片桐家から豪商に嫁に出したが、嫁ぎ先の姑から酷い扱いを受けて病になったと知った片桐はキエを離縁させて連れ帰ってしまう。
しかし片桐とキエが一つ屋根の下に住んでいることがウワサになったので、体が回復したキエを実家に返してしまう。
その頃、謀反(むほん)の罪で囚われていた海坂藩の狭間弥一郎が逃亡したため、同門の剣術の使い手である片桐が狭間討伐の命を受ける。
討伐の前夜、片桐の家に狭間の美しい妻が訪ねて来て、自分の身体を好きにしていいから狭間を逃して欲しいと頼まれてしまう。
片桐は藩命なのでと断ると、奥方は次は家老のところへ頼みに行くと言い、夜の闇に消えてしまう。
片桐は狭間との戦いの前に、二人の共通の師匠に報告をしに行く。そこで師匠から振り向きざまに切る技を教えてもらい、なんとか戦いに勝つことが出来る。
狭間を撃ったあとに、片桐は狭間の奥方が家老に身体を許したことを聞かされる。
家老は狭間の奥方を抱いておいて、約束は守らなかったのだ。それを知った片桐は細いキリのような鬼の爪で家老の心の臓を一差しする。家老は血も出さずに倒れた。
武士に嫌気を刺した片桐は、武士を捨てキエを訪ね一緒になってくれと言うのだった…
⚫︎感想
身分をわきまえて控え目にご主人様を慕う松たか子(キエ)がいいんです。
「ワシと一緒になってくれんか?」
との問いに
「それはご命令でがすか⁈」
と答えるんですねぇ…
そんな時代だったんですね。
そして家老は、イヤらしい役を演じたら、この人にかなう者は無いという緒形拳。
自分の旦那さんの命乞いに来た高島礼子に殺さないという嘘をついて抱くんですねぇ。
そんな奴を隠し剣鬼の爪は許しません…
誰にも分からぬよう“チクッ”と心の臓を一突きするんです。
かつて緒形拳が演じた、細い針で一突きの必殺仕置人「藤枝梅安」が細い針のような隠し剣に刺されて気づかないうちに亡くなるシーンです。
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⚫︎藤沢周平(ふじさわしゅうへい)
海坂藩は架空の藩、藤沢周平の生まれ故郷である山形県にあった庄内藩(しょうないはん)と言われています。
この海坂藩の下級武士を主人公にした時代小説を多く残しました。
1927年(S 2)山形県鶴岡市生まれ
1938年(S13)11歳吃音に悩む
1942年(S17)昼働き夜間中学へ
1945年(S20)終戦
1949年(S24)鶴岡中学校教員に
1951年(S26)肺結核で休職
1952年(S27)東村山で右肺切除
1957年(S32)練馬区で新聞社勤め
1959年(S34)同郷の悦子と結婚
1963年(S38)長女、展子生まれる
1963年(S38)悦子が癌で28才で急死
1969年(S44)和子と再婚
という、なかなか壮絶な人生だったので暗い小説しか書けなかったと言います。
1980年(S55)あたりから現在の作風になって数々の作品を残しました。
1997年(H 9)しかし肺切除の際の輸血による肝炎により東京新宿区の国立医療センターで69才で亡くなります。


