ゼロの焦点
2009年 日本映画
監督 犬童一心
脚本 中園健司
原作 松本清張
出演 広末涼子(鵜原禎子)
中谷美紀(室田佐知子)
木村多江(田沼久子)
西島秀俊(鵜原兼一)
鹿賀丈史(室田儀作)
松本清張の小説を映画化したものです。戦争に負けた日本で生き延びてきた女性の物語りです。2時間ドラマの崖のシーンは前作の1961年のゼロの焦点が原型になったそうです。
⚫︎あらすじ
鵜原憲一は禎子と結婚した後、仕事で金沢に出張に行った。しかし憲一は予定の日になっても帰らなかった。
禎子は金沢へ行き憲一の足取りを追ううちに、憲一の隠された過去が金沢にあることを悟る。
当時の金沢では初の女性市長を出そうと女性たちが選挙運動をしていた。
そこには地元有力者で憲一を可愛がってくれる室田儀作、そして妻の佐知子がいた。
(ネタバレ)
鵜原兼一は昔、立川で警察官としてパンパン(アメリカ人相手の娼婦)を取り締まっていた。
憲一はそのときのアメリカ人によるパンパンの扱いが酷すぎて2人のパンパンを逃したことがあった。
警察を辞めてサラリーマンになった兼一は金沢で偶然に昔のパンパンの久子に出会う。
憲一と久子はアパートを借りて仲良く暮らしていたが、憲一に禎子との縁談が決まり久子と別れることになる。
憲一は金持ちの奥様になっていた、もう1人のパンパン佐智子に久子の就職を頼みに行った。
戦争で親も家も失った佐智子は1人生き残った弟を育てるため身体を売って生き延びて今の有力者の妻という地位を築いたのだ。
そこに昔のパンパン佐智子を知る鵜原兼一が現れ殺意を抱いたのだった…
⚫︎感想
1945年(昭和20年)〜1952年(昭和27年)の7年間はアメリカ占領下の日本だったんですね…
そのころ生きるためにアメリカ兵の相手をするパンパンと呼ばれる女がいたんですね。
パンパンと手をたたいて呼んで遊ぶ女だからパンパンと言う名が付いたなど諸説あるようです。
時代背景は敗戦から13年後の1958年です。女性の地位は今よりずっと低くて大変だったんでしょうね。
木村多江さんが演じた久子が憲一と暮らしていたときの幸せそうな顔が印象に残っています。
パンパンだと知った上で、自分と一緒に居てくれた憲一さんを本当に愛していたんでしょうねぇ。
⚫︎松本清張
1909年(明治42年)に生まれ、1992年(平成4年)に亡くなった日本の小説家です。1953年に『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞し、『点と線』ではアリバイ崩しのミステリーで松本清張ブームを起こしました。
なんと松本清張は、明治・大正・昭和・平成という激動の時代を生きた作家さんなんですね。
松本清張原作の映画では“らい病”で差別された家族の子として生まれ逃げるように放浪した『砂の器』が忘れられません。
『ゼロの焦点』でも娼婦をしていた過去を消そうとした佐智子の悲しい犯行でした。
松本清張は過去を知られたくない人が犯してしまう悲しい犯行を描くのが上手い作家さんなんですね。
