愛と哀しみの果て
1985年 アメリカ映画
原作 カレン・ブリクセン
監督 シドニーポラック
出演 メリル・ストリープ
ロバート・レッドフォード
主人公のカレン(メリル・ストリープ)が金で結ばれた夫ブロルとアフリカに行ってコーヒー農園を作ります。
しかし、カレンは上辺だけの結婚に寂しい思いをしていました。
そこにデニス(ロバートレッドフォード)があらわれて2人は親密な中になっていきます。
アフリカ、ケニアで撮影されたため大自然を疑似体験することができます。
⚫︎あらすじ
1913年、デンマークの裕福ですが未婚のカレンは、爵位はあるがお金の無いブロル男爵と便宜上の結婚をします。
2人はアフリカに移住して酪農をするはずでしたが、ブロルはコーヒー農園を買ってしまいます。
ブロルはコーヒー農園の仕事もしないで、ハンティングに出かけ、ほかの女からもらった梅毒をカレンに移してしまいます。
カレンは一時帰国して梅毒を治療しました。再びアフリカに戻りブロルに別れを告げます。そしてカレンは1人でコーヒー農園を切り盛りしました。
子どもの産めない身体になったカレンはケニアに学校を作り教育の大切さを教えます。
1人になったカレンの家にはハンターのデニスが来るようになります。デニスはカレンの作る物語りを聞くのが好きでした。そして2人はお互いに愛し合うようになります。
カレンはデニスに結婚を求めますが、デニスは縛られたくはないと言います。
⚫︎感想
結婚というかたちにこだわる女性
縛られず自由奔放に生きたい男性
身勝手に梅毒を移す男
子供が産めずに学校を作る女
身分や体裁を気にする貴族
アフリカの大自然を好んだ男
さほど楽しみのないアフリカでの生活には歌や物語りを楽しむことが大切だったんでしょうね。
身勝手な男、身勝手な大国、ケニアの大自然、そんな感じの映画でした。
⚫︎ケニア
アフリカの角と言われるソマリアの南に位置します。19世紀にヨーロッパのアフリカ植民地化が始まり、イギリスとドイツが勢力争いをしていました。1895年にはイギリスが勝ってイギリス領東アフリカが成立しました。
⚫︎1913年ごろ
1914年に第一次世界大戦が始まりますので、その少し前の話しなんですね。
この頃イギリスは東アフリカの土地に白人を入植させるために安価で広大な土地を売りコーヒー栽培などをさせたそうです。
1913年には1200人の入植者がいたそうです。お金持ちがこぞってアフリカの土地を安く買ったんですね。
しかもアフリカ人を安い賃金で白人農場で働かすために、アフリカ人が独自にコーヒー栽培することを禁止しました。
コーヒーはケニア最大の輸出産業となりましたが、アフリカ人が独自にコーヒー栽培できるようになったのは第二次世界大戦後のことです。
⚫︎想像の旅をするっていいなぁ…
主人公のカレンは物語りを創るのが上手でした。原作者のカレン・ブリクセン本人の自伝的な物語りです。1931年に生まれ故郷のデンマークに戻り作家になりました。
デンマークの紙幣には彼女の肖像も使われていました。
⚫︎梅毒
戦前は不治の病として恐れられていましたが、現在では治療可能な病です。性感染症で梅毒トレポネーマという細菌が感染することで発症します。赤い発疹が身体に出るので梅の毒となったようです。
1943年にペニシリンが発見されるまでは、ヒ素が治療薬でした。
⚫︎マサイ族
ケニア南部からタンザニア北部に住む先住民で推定20万人〜30万人ほどいると言われています。身体能力に優れ視力は3.0〜8.0ほどもあります。ジャンプ力にも優れ、村で1番高く跳べる男性が村で1番綺麗な女性をめとるそうです。
ケニアの首都ナイロビはマサイ語で「きれいな水」という意味だそうです。またケニアの国旗の中央はマサイの盾だそうです。