1996年、経済成長を続ける韓国はOECDに加盟して先進国の仲間入りをします。


しかし1997年にアメリカの投資家は韓国から手を引き出します。


韓国銀行の通貨政策チーム長は、通貨危機を予測して、なんとか国と中小企業を救おうとします。


しかし財務局次官は通貨危機をきっかけに、富裕層だけが生き残る社会を創ろうと考えています。


そんなころ町工場の社長は、何も知らずに大手デパートから大量注文を手形決済で受けてしまいます。


金融業者の男は、一早く通貨危機を察知して「政府の無能と無知に投資する」と言って、ウォンの暴落を予測してドルを買います。




1997年、実際に韓国で起きた通貨危機を描いた映画です。


当時の時代背景を知らないと分かりづらい映画かもしれません。



⚫︎アジア通貨危機


1997年タイを中心にはじまったアジア各国の急激な通貨下落です。


強いドル政策で、ドル金利が20%近くまで上がった1980年代のアメリカには世界中からお金が集まりました。


そのためドルが高くなってアメリカは貿易赤字になりました。


そこで1985年、先進5ヵ国がプラザホテルに集まって為替介入することになりました。


プラザ合意=アメリカ、日本、西ドイツ、イギリス、フランスの5ヶ国が集まり円安を円高にすることを決めた。これで円は急騰してバブル景気でロックフェラーセンタービルとかも買ってしまいます。しかしバブル景気は崩壊して失われた30年と言われています。)


それまで1ドル240円だった日本円は、200円になり、最終的に120円になりました。


今まで日本が240万円でアメリカに売っていた車は、120万円になってしまったということです。


そのため日本はコストの安いアジア(特にタイ)に製造拠点を移しました。


その当時のアジア経済は絶好調でした。


タイはドルペッグ制という固定相場

1ドル=26バーツで固定していました。


そしてタイにはバーツ金利13%の国内市場とは別に、バーツ金利67%のオフショア市場がありました。


(オフショア市場=国内税制とは切り離した規制や課税方式を適用する非居住者向けの市場のことです)


アメリカの強いドル政策でドルが高くなると、連動しているバーツも高くなりました。


すると金のにおいを嗅ぎつけたヘッジファンドは「バーツは高すぎる⁉︎」と考えて、バーツを空売りします


空売りとは高い時に売って、バーツが下がったら買い戻して利益を得ることです。


空売りされたバーツは市場にあふれます。そのためタイはバーツを買ってドル売りをしますが外貨準備高が底をついてしまいます。


タイはドルの固定相場制を放棄して変動相場制にします。するとバーツはいっきに1ドル=54バーツになりました。


タイはバブル崩壊してIMFや日本に資金援助を求めました。


そしてタイのバーツ急落についで他のASEAN諸国も通貨下落や経済成長の減速が続きました。


韓国は1ドル=850ウォンが、1ドル=1700ウォンにまで下落しました。



⚫︎ハードカレンシー


通貨は全てが同じように取引されているわけではありません。


世界中で通用する通貨は⚫︎ドル(アメリカ)、⚫︎ユーロ(ヨーロッパ)、⚫︎円(日本)、⚫︎ポンド(イギリス)でハードカレンシーと呼ばれています。


*スイスフラン(スイス)、カナダドル(カナダ)、元(中国)を含める場合もあります。


ハード(堅い)カレンシー(通貨)とは、金本位制時代からのなごりです。堅いGOLD(金)にいつでも交換できる通貨ということです。


現在のハードカレンシーの条件は、国際的に信用があること、国際的な銀行で取引可能なこと、発行国が多様な財を産出していることなどがあります。


その他の通貨はローカルカレンシーと呼ばれ、国際市場で他国の通貨と自由に交換ができません。


そのためローカルカレンシーの国はハードカレンシーを蓄える(外貨準備)ことで、国際貿易や金融取引を行なっているのです。



国家が破産する日の最後に下のようなテロップが流れます。


危機は機会だ

人生を変える機会が増えたということだ

通貨危機から20年終わらぬ苦痛

企業は肥え庶民は痩せていく

危機は繰り返す

危機を回避するためには

絶えず疑い考えること

当然だと決めつけないこと

そして常に

目を見開いて世の中を見ること



日本だって破産するかもしれないと考えて外貨投資する人が増えているような気がします…


*IMF

=International Monetary Fund

 国際通貨基金、1945年設立の「国際通貨の番人」です。世界の為替相場の安定や金融危機に陥った国への支援機能も持っています。


*デフォルト=怠る、怠慢の意

 デフォルトは使う分野で意味が変わります。PC業界なら→初期設定、スポーツ業界なら→棄権、金融業界なら→債務不履行となります。


*デフォルト(債務不履行)

 企業や国家が債権を発行して、利息が払えなくなったり、支払いが出来なること。