君のためなら千回でも
アフガニスタン・カーブル出身の作家カーレド・ホッセイニの小説「カイト・ランナー」を映画化した作品です。
アフガニスタンに住む少年の物語です。
⚫︎あらすじ
アフガニスタンで暮らすお金持ちの子供アミールと召使いの子供ハッサンが仲良く凧上げをしていました。
アフガニスタンではケンカ凧が人気です。凧を飛ばすのはいつもアミールで、ハッサンは負けて切れて飛んでいった凧を探す役目でした。
地面に雪が残る時期に凧上げ大会が行われてアミールは優勝します。
負けた相手の凧を探しに行くハッサンは「君のためなら千回でも!」と嬉しそうに言って掛けていきます。
しかし凧を見つけに行ったハッサンは地元のイジメっ子たちから暴行を受けてしまいます。
それを隠れて見ていたアミールはハッサンに対して後ろめたさを感じるようになり、ハッサンを家から追い出すように仕向けます。
1979年ソ連がアフガニスタンに侵攻を始めたため、アミールは父親に連れられて何とかパキスタンに逃げます。
そしてその後アメリカに渡り暮らしていました。
アメリカにあるアフガン人のコミュニティで知り合った女性と結婚しました。
ある日、世話になった叔父さんが病気だと知ってパキスタンに向かいます。
叔父さんからハッサンの子供をアフガニスタンから救い出して欲しいと頼まれます。
なぜなら、アミールの父親が召使いの妻と関係を持ちハッサンが生まれた。だからハッサンの子はアミールの甥っ子だと聞かされます。
ソ連が去ったアフガニスタンはタリバンによる無法地帯となっていました。
タリバンの世界から必死になって甥っ子を救い出します。
甥っ子を連れてアメリカに戻り、昔のように凧上げをします。
甥っ子が糸を切った相手の凧を今度はアミールがどこまでも追って行きます。「君のためなら千回でも!」と言いながら。
⚫︎感想
アフガニスタンって雪が降って、凧上げするんだな、と知りました。
アフガン人は、隣がパキスタンだからか、インド人のような見た目です。
アフガニスタンもインドのように身分制度があって召使いがいるのかなぁとも思いました。
ハザラ人のハッサンに対する暴行は男性が男性を恥ずかしめるようなシーンがありました。
イスラム世界では髭の生える前の少年に対する愛、イシュク(英雄的愛)と呼ばれるものがあるようです。
(中央アジアに存在する少年を性奴隷にすることをバッチャ・バーズィーというそうです)
またイスラム世界では女性があまり外に出ないことも、男性同士の行為が起こりやすい一面があるようです。
アフガニスタンで多数派のパシュトゥーン人はイスラム教スンニ派ですが、少数派のハザラ人はイスラム教シーア派のため迫害を受けてきました。
バーミヤンはハザラ人が多数住むところです。バーミヤンの仏像が破壊されたのには、ハザラ人に対する嫌がらせ的なこともあったのではないのでしょうか。
ソ連のアフガン侵攻のシーンではソ連兵がアフガン女性を犯そうとする場面もありました。
アフガニスタンは地政学的にユーラシア大陸の中央に位置しています。
もともとアフガニスタンは西側に位置するイラン、かつてのペルシャ帝国の勢力圏です。南からはイギリス領インド帝国から、北からはロシア帝国から、東からは中国人民共和国からという大国の中央にある土地なのです。
映画で見るかぎりは何も無いような地域なんですがね…
他の民族が歩いてやってくる感じは、島国の日本人にはよくわからないことですね。
それとアフガン人の女性を好きになると、まず親同士が話し合いをしてから結婚が決まることにも少し驚きました。
アフガンとはパシュトゥーン人のことで、アフガン=アフガニスタン人ではないようです。〜スタンとは、ペルシャ語で「土地」という意味で、アフガン人の多い土地=アフガニスタンという意味です。
昔の日本も親同士が結婚を決めたりしていましたが、それともまた違う感じを受けました。
タリバン政権下のアフガニスタンは、いつ何処で殺されても不思議は無いような雰囲気がしました。
いろいろな人種が住み、それぞれの宗教観があり、四方から大国勢力の交差点という地域なので紛争は直ぐには終わらなそうですね…
昔のように皆んなが平和に凧上げが出来るアフガニスタンになってほしいです。
