<赤ちゃんの心>
赤ちゃんがお乳を飲みながらじっとお母さんを見つめるのはなぜでしょうか?
この本当に愛おしい瞬間には、生存のための本能と、心の成長に関わる驚くべき理由が隠されているのです。
⑴視力の「黄金距離」
赤ちゃんの視力は、生まれた直後はまだ 0.01〜0.02 程度と非常に弱く、世界はぼんやりとしか見えていません。しかし、唯一ピントが合う距離があります。
それは、約20〜30cmの距離で
授乳中にお母さんの顔と赤ちゃんの顔がちょうど重なる距離です。
本能的に人の顔(特に目と口)に強い興味を持つように脳にプログラムされているのです。そのため、一番近くにある大好きな「お母さんの目」を一生懸命に見つめているのです。
⑵心の絆を作る「(愛着)」
授乳は単なる栄養補給ではなく、心を通わせるコミュニケーションの場です。
①オキシトシンの連鎖
目が合うことで、お母さんと赤ちゃんの双方に「幸せホルモン(オキシトシン)」が分泌されます。これにより、赤ちゃんは「ここは安全だ」「愛されている」という深い安心感を得て、お母さんとの愛着形成を強めていきます。
②心の安定。自己肯定感。
この見つめ合いの経験が、将来の対人関係の基礎となる「他者への信頼感」を育てます。
⑶社会性の発達(ミラーニューロンの働き)
赤ちゃんはお母さんの目を見ることで、人間社会に必要なルールを学び始めています。
①表情の学習
お母さんの目の動きや表情の変化を観察し、「嬉しい」「優しい」といった感情を読み取ろうとしています。
②模倣の準備。学びの始まり。
脳内の「ミラーニューロン」という神経細胞が働き、お母さんの反応を自分の中に取り込むことで、共感力や社会性を育む準備をしていると言われています。
<お母さんが見つめ返すと…>
お母さんが優しい眼差しで見つめ返したり、声をかけたりすると、赤ちゃんの脳では報酬系(快感を感じる部分)が活性化し、脳の発達がさらに促進されることが分かっています。
授乳中のこの「見つめ合い」は、いわば「心のミルク」を飲んでいる時間と言えます。