①<赤ちゃんは、なぜ泣く>
赤ちゃんが産声を上げるのは、生存に関わる劇的な「体の変化」と「環境の変化」に対応するためです。単に「悲しい」や「怖い」という感情で泣いているわけではなく、生命を維持するための本能的な行動といえます。
⑴肺呼吸への切り替え
お腹の中にいる時の赤ちゃんは、お母さんと繋がった胎盤を通して酸素をもらっており、肺は液体(肺胞液)で満たされています。
①肺を膨らませる
産まれた瞬間に外気に触れると、赤ちゃんは大きく息を吸い込み、肺にたまっていた液体を押し出して肺を膨らませます。
②産声の正体
この時、肺から空気が一気に吐き出される際に声帯が震えます。これが「産声」です。つまり、泣くことは「自分で呼吸を始めた合図」なのです。
⑵急激な環境の変化
赤ちゃんにとって、出産は人生最大の環境激変です。
①温度差
常に約37℃で保たれていた暖かい子宮から、20℃〜25℃前後の外の世界へ放り出されます。この急激な寒さが刺激となり、泣くことで体を震わせて体温を上げようとします。
②刺激の嵐
暗くて静かな場所から、まぶしい光、大きな音、肌に触れる空気など、未体験の刺激にさらされることへの反応でもあります。
⑶「助けて!」のサイン
心理学や生物学的な視点では、泣くことは「最初のコミュニケーション」でもあります。
①外の世界に出たばかりの赤ちゃんは、自分一人では体温調節も栄養補給もできません。「私はここにいるよ!」「守って!」というメッセージを周囲(特にお母さん)に伝えることで、生存確率を高める本能が働いています。
最近では、医療現場で「バーストラウマ(誕生時のトラウマ)」を和らげるために、産まれた直後にすぐお母さんの胸に抱く「カンガルーケア」や、なるべく刺激を抑えた環境での出産も大切にされています。