以前、日本に来たばかりの外国の方に日本語を教えていたら、突然、、、
と発話されたのでビックリしたことがあります。
日本へ来たばかりの方が、誰にも教わることなく「あすこ」なんて言う確率はかなり低いですから、
原因はおそらくこの私。
次の瞬間、しれっと「あそこは」と言い直して事なきを得ましたが、ヒヤヒヤヒヤヒヤ💧
「あ」から「そ」へ口を動かすよりは、「す」へ動かしたほうが省エネだし発音が楽だもん!
と言い訳。
アタイは東京の下町育ちの母と祖母に育てられたンで、
自分でも気がつかないうちに江戸弁が出てしまうことがあるようですが、オンラインレッスンをするようになってからは改めて自分の発話に意識が向くようになりました。
最近は字幕機能を使ってレッスンを行うことが多いので、正しい日本語に文字起こしされるよう気をつけて話しているのですが、中でも言いにくい言葉は、
「ふつう」
「ひとり」
「ふくし」
「ひんし」
「せつぞくし」
などです。
生粋の江戸っ子であるは母は「朝日新聞」や「東品川」など、「ひ」と「し」の混じった単語は全く上手く言えませんが(そもそも区別をしていない人が多い)、「ひ」と「し」はともかくも、「は行」は江戸っ子だけでなく多くの人にとっても難しいのではないでしょうか?
子音は、肺から気管を通って出て来た息が、声門(左右の声帯の間にあるすき間。呼吸するときは開いているが、発声するときは緊張して狭くなる。このすき間を呼気が通る時の振動で音が生じる)、口蓋(口の中の上の部分。前方の歯に近い硬い部分を硬口蓋、後方の喉に近い軟らかい部分を軟口蓋と呼ぶ)、舌、歯、唇のいずれか、または2つ以上の箇所を組み合わせて調音され、口から出て来る音です。
上唇と下唇をはじき合わせて作る音(「ま行やば行」)や歯茎を舌ではじいて作る音(「な行やら行」)は、見た目にもわかりやすく、調音の仕方も比較的簡単ですが、「は行」は外からは見えない喉の奥の声門の開閉をコントロールして生じさせる音なので、発音も難しくなるのでしょう。
加えて、せっかちで威勢の良い江戸っ子ですから、「は行」のような発音も難しくはっきり聞こえないような単語にはイラッとし、発音もいかに省エネでわかりやすく、かつ、インパクトのある伝わりやすいものに自然と変わっていったのではないでしょうか。あくまでも個人的な推測ですが、気持ちはとてもよくわかります。
上記で発音しにくいと書いた単語ですが、私なら伝わるように発話することを考えたら、例えば「ふくし」は「ふっくし」、「せつぞくし」は「せつぞっし」、「ひんし」と「ひとり」は言わずもがな「しんし」と「しとり」あるいは「おひんし」と「おひとり」のようになると思います。「おひんし」と「おひとり」は山の手言葉っぽいですが、下町だとやっぱり「おしんし」と「おしとり」になるのでしょう。
が、決してマネはしないでください
江戸っ子の気質からも、下町言葉は発音上の便宜のために本来の音とは異なる音便が多用されるのもうなずけます。「は行」は語頭でなければ発音しやすくなるし、言いにくい単語は音便化させて「っ」、「ん」、「い」などに変えるとストレスが減ります(少なくとも私は)。強調したいときは、語頭に「おっ」や「こっ」をつけることもあります。
今でも、音便化された「あるって」、「つっぷす」、「ぶんなげる」、「そいで/そんで」、「こっぴどい」、「おっぱじめる」、、、
どれも使います。
以前、宮城出身の(元アナウンサーの)友人と話していたら、突然「田舎者みたい」と言われたことがありますが、確かに下町言葉はかなりなまったワイルドな言葉です。標準語に近い山の手言葉に比べると、明らかに立派な方言。あ、ちなみに普段は標準語を話しているので安心してください!父は綺麗な標準語を話しますが、ら抜き言葉や間違った表現を使うとよく注意されたものです。(今でも。)英語も父の影響が大ですが、母からは下町の人情を、語学への興味は父から受け継いだのでしょう。感謝です。
先日、テレビで時の人、尾身先生の会見を聞いていたら、先生も「あすこ」って言ってました。
すごい親近感。
それから、「丁寧」が「ANA(おそらく「エイ・エヌ・エイ」との誤変換)」と変換されてしまいましたが、これは江戸っ子由来じゃなくて英語なまりの日本語が原因??新たな悩みです・・・
皆さん、スカイプの誤変換に文句を言っている時間があったら、自分の発音を磨き直してみましょう。
ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ・・・・・
関連ブログ: