「障害者はいいわよね〜、税金を払わなくていいから」
(では、あなたたちは障害者になりたいですか?)


ニューヨーク在住の友人、倉本美香さんの著書『生まれてくれてありがとう(小学館)』が出版されました。両目眼球の無い両眼性無眼球症、鼻の奇形、心疾患、発達遅延、、、複合疾患を抱えて生まれて来た長女、千璃(せり)ちゃんとの壮絶な子育てを綴った前作『未完の贈り物』(2012年出版)に続く第二弾です。

長く暗いトンネルを一人さまよっていた頃、苦しい心の内を真っ直ぐに綴った前作とは対照的に、今回はより冷静で客観的に、14歳になった千璃ちゃんのその後の成長録や家族、社会との関わり方を、温かい母親の目線で書き綴った秀作です。誰しもに起こりうる「命、家族、障害、社会の問題」について深く考えさせられる一冊です。

「ダイバーシティ」、「パラリンピック」、、、立派な言葉だけが一人歩きし、お婆さん一人にすら席を譲れない悲しい光景を日々目の当たりにする今の日本社会。自分の存在意義についても、たくさん考えさせられました。内容もさることながら、文学書としても成り立つほどの綺麗な文体に、読後、もう一度読んでみたいと思いました。あとがきにある、恩師の方のお言葉もとても印象的でした。

偏見を植え付けるのは大概が大人です。それも、本人にはどうにもならない国籍や性別、障害、出自などによる差別が、今でもフツーにまかり通っている日本。文頭の心ない会話は、そんな日本でのフツーな日常の一風景を切り取ったものです。是非お読みいただけたらと思います。

この場をお借りして、今日は大切な友人の著書を紹介させていただきました。

May your Christmas be filled with lots of love!


『生まれてくれてありがとう』

倉本美香さんのブログ:http://ny-blog.org