第10部 ブルー・スウェアー 第19章 戻らない時間 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー
直美は電話で愛那と話して今からそっちに向かうと伝えると、俊也は同伴するとは言わずにただ愛那のところに向かうということを伝えると指定してきた地下鉄の出口についたら電話をしてといった。そしたら迎えにいくと・・。直美と俊也は2人で地下鉄に乗って目的地に向かった。直美はどこか不思議な気持ちに囚われた。
俊也と今、こうやって愛那のところに向かっていること自体が自分がそうさせたとはいえ、不思議でならなかった。自分がそうさせたとはいえ、きっと何かの強い縁だと思わずにはいられなかった。直美の企みはよしとする方向にでるか、裏目にでるかわからないけれど、これで本当によかったのか?と自問自答すると、その答えはまだわからなくて不安の中にいた。自分だって家庭があるから、そんなことされたら絶対に嫌だと思いながら、それでも愛那だけは別格だと思った。普通の恋人同士ではなく、どんなことがあっても強い絆があるはずだと信じてやまなかった。理屈ではない強い絆があるはずだと信じてやまなかった。
例え、今は他の人と家庭があって、子供がいたとしてもー
愛那が事故にあったとき、助かることを誰よりも望んでいたんだー。直美は俊也のあの頃の気持ちを実は母親から聞いて知っていた。直美の母親と愛那の父親はとても仲良しだった。だから愛那とも小学生の時から知っていて、島を離れるまでよく知っていた。俊也と愛那の父親が仲良しだった。そう、もうお互いだけの好きとか嫌いでは親同士のつながりさえも強かった。愛というより命の根源的なつながりとでもいうべきなのかもしれなかった。
2人が愛那がいる豊洲の地下鉄の指定された出口をでると、小雨が降っていた。
「やだー、何気に雨が降っているよ」直美がいうと、俊也も空を見上げた。
「今日の予報では雨ではなかったのになぁ・・・」俊也がいうと、向かいから傘をさしてやってくる女のシルエットが傘に隠れて顔があまりみえなかったけれど、歩みがピタッと止まった。
愛那は直美の隣にいる男が誰かということをはっきりとわかっていた。
(引き返したい!!引き返したい!) 愛那は傘で顔の半分を覆いながら、そっぉっとさりげなく引き返そうとした。
(絶対、無理!!) 愛那は足を一歩、後退りした。悟られないように顔も傘に隠して引き返そうとした時にだった。
「まぁなー!!」直美は甲高い声を上げた。甲高い声を上げただけではなく小走りで駆け寄ってきた。愛那は直美から呼び止められて、逃げるに逃げられなくなっていた。心臓がバクバクして会ってはならない人との思いがけない再会に愛那は目を覆った。
愛那は一瞬にしてつらい気持ちになっていた。
この世でいちばん、会いたくない人だというのに・・・
「愛那!!」直美が話しかけると、愛那はそっぽをむいて背中をむけた。直美は、背中を向けられている理由がわかっていたからこそ、言いづらそうに言葉を切り出した。
「・・・ごめん!!」
「何考えてんのよ!」愛那は背中を向けてたままつっけんどんにいった。
「・・・やっぱり、必要なのよ!」
「それって、直美が決めること!?私の人生なのに、何で勝手なことするの?」愛那は落ち着きながらも声には<なんて余計なことをしてくれるの!?>といわんばかりの気持ちが含まれていた。
「余計なお世話かもしれないけれど、愛那には今、必要な人なのよ」
「どうして必要なのよ!?意味わからない!!」愛那は直美をキッと睨みつけた。
「いや何となくさ」
「いや何となくって、人を何だと思っているのよ!?再会させてよりを戻せっていいたいの!?直美、頭がイカれてるの!?」愛那は直美を激しく非難した。
「・・愛那!!」愛那が直美を叱りつけていると、後ろから俊也が声をかけてきた。愛那は心臓がドクリとなりながらも恐る恐る振り返ると、俊也が神妙な面持ちで立っていた。
「久しぶりだね」

p.s
最近、いろんなことに気がつきすぎて、わかりすぎて、もっと早くに気がつけばよかったのかも・・・と何故か凹んでしまう。
いろんなことがわかりすぎてつらい。
もっと早く気がつきたかった。
でも今日より若い日はないのだから、気がつけただけでもよしとしなくては!