第10部 ブルー・スウェアー  第19章 戻らない時間 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー
俊也はファミレスの中を入っていくと左右両端を注意深く眺めていると、直美の方が素早く俊也を見つけだして手を振った。
「俊也くん!!」直美が手を振っている方を俊也がみつけると軽く微笑みを浮かべた。

「えっ!?愛那が・・」俊也は直美からの愛那の告白に思わず絶句した。
「うん!彼女も困っているのよ」直美は鎮痛な面持ちで顔をしかめた。
「・・・でも俺にどうしろというの!?」俊也は驚きながらも半分は冷静になっていった。
「愛那がどうなってもいいっていうの!?救えるのは俊也君しかいない。愛那はずっと部屋にばかりいたし、友達なんていそうでいないのよ!」
「だって俺にだって子供いるし・・今からどうすることもできないよ!」
「そりゃ、家庭があって、守るべきものがあるからなのかもしれないけれどさ、愛那が凄く困っているよ。島に戻るといってるよ」
「えっ!?」
「しかも愛那の同棲していた男って島にいた先輩のことを好きだったというから驚きだよ。これからシングルマザーになって育てていなくちゃいけないんなんてかわいそすぎるよ!」直美はうっすら目の端にうっすら涙すら浮かべながら、無理に笑顔を作った。
「俊也君が悪い訳ではないし、愛那の自業自得なんだろうけれど、それでも俊也君と離れずにいたらそんな末路を辿らずに済んだもいうのに、愛那がバカなのよ。ほんの少しの気の迷いだった代償がこんな風になるなんて!!」直美は少し感情的になって話していた。
「・・・」俊也は黙っていた。
「愛那、島に戻って年老いたお父さんと2人で暮らすのが今の愛那にとって一番いいことなのかもしれないけれど、愛那のお父さん、知ってるでしょう?歳がいくつかって・・・。晩婚で生まれた愛娘よ!だからあんなに可愛がられて育ってきたというのに・・。もしあの年老いたお父さんが亡くなってしまったらって考えると島で愛那が一人で育てていくなんて、考えられないよ!愛那を見捨てないでよ。愛那の自業自得とはいえ、見てられないよ!」直美はやるせないといった表情でいった。
「・・・助けてよ。もし、あの男に刺された男の人が死んでしまったら、殺人犯の子供を産まなくてはいけないのよぉ・・そんなの耐えられないよ・・」直美は尚も捲し立てるようにいった。
「・・それでも愛那が選んだ道だ・・ひょっとしたら愛那はそんな助けを求めていないのかもしれないじゃないか?」俊也は下を見ながら直美の目をみないでくぐもるような声いった。
「愛那は頑として自分1人で育てていくつもりだっていっていたよ。私のお節介で俊也君に言っているのよ。あなたなら何とかしてくれるんじゃないかって・・」
「・・・それは僕にもできないよ。冷たいようだけれど・・」俊也は冷静になりながらいった。
「・・・そっか・・。そうだよね。当たり前だよ。みんなそれぞれに守るものがある訳だし・・」直美は自分自身に言い聞かせるようにいった。
「・・・」俊也は黙り込むと、直美は立ち上がって伝票を手にとると、下を向いている俊也に向かって言い放った。
「俊也君ならどんなことがあっても愛那を守ってくれると思ったよ。理屈抜きにさ。どんなことがあっても守るから命だけは助けてくださいって、あの幽霊屋敷のお地蔵にむかっていっていたって聞いたよ。その言葉は・・嘘だったんだね!」直美は理由は嫌というほどわかっていながら、愛那が自業自得だということもわかっていながら、それでも一縷の望みを託して希望を繋ぐようにいってみたけれど、やっぱり駄目だったから、俊也君は悪くないとわかっていたはずなのに、深く失望した。
「私が悪かったよ。どうにもならないことをいったから!どうにもならないってわかっていても、俊也君なら少しは力になってくれるのかもって思ってしまったから・・。忘れて!今日のことはもう、忘れてよ!」直美はさっぱりとした口調でいうとその場を立ち去ろうとして自分のお代だけテーブルに置いて店を出ていこうとしたとき、俊也は咄嗟にたちあがって店を出たばかりの直美を追いかけた。
「待って!」俊也の咄嗟の言葉に階段を降りかけの直美は思わず振り返った。

p.s
ついこないだ、、道を歩いていたら、私にとって知らない人からいきなり「久しぶり〜。元気でしたか?」と言われてびっくり。私は知らない人なのですが、「元気でしたか?久しぶりだね!」って言われて、未だにきつねに包まれた気分です💦
途中まで誰かわからないまま歩き、あまりに誰かわからないのに、一緒に歩かれて、いろいろ話してきて、どうしていいかわからず、訳わかんなくて、「こちらに用がありまして〜」といって別れたのですが、、、未だに謎!!私は知らないんだよぉ〜。ホント、、幽霊じゃないよね!?